清時代に出版された芥子園画伝という山水画の手引き書がある。原本は貴重なもので私ごときは入手できないが、日本で出版されているものもある。 山水の心得はなくとも、樹木、山石、人物屋宇などの手本が羅列してあるので、模写をすればそれらしくなるというわけだ。 年賀状用に描いてみたのだが、漠然と見ているのと違って写す作業があるので、山並みが奥え奥えとつながり、樹木が点綴されていく様がはっきり分かった。松の葉も手数は多くないが、いかにも松になるのに驚かされる。 パーツの模写はいいとしても、組み合わせは己の才覚である。たちまちにして馬脚を現すことになってしまった。
ハエ(双翅)目糸角亜目カ科ナミカ亜科アカイエカというらしい。体長0.5センチメートル。 この季節になっても暖かい日は蚊が出てくる。 日中に寝室の窓ガラスに止まっていたのを捕まえる。腹が黒かったので血を鱈腹吸った奴だろう。 昨夜蚊に悩まされていたのだが、こいつではなかろうか。などと考えた。敵はとったというわけだ。
ハエの口器は吸収式というのだが、どうなっているのか追求してみた。 注意して見ていると頭の下から伸びてくるものがあり、餌の表面に当て、せわしなく動かしている。 先端の舟型でため込んでいるのだろうなどと思って解剖したところ、二枚合わさっていて、それぞれにリング付きの細管が整然と並んでいた。 吸い込み箇所は多数ありますと言うわけだ。 (オリンパスBH-2) 1枚目 対物レンズ10X 暗視野 その他 対物レンズ40X
MWSの「日本の宝石サファイア」を求めた。もちろん微少な石粒なので、顕微鏡の友だ。 産地は奈良県二上山付近穴虫地区だそうだ。天然サファイア10粒、水晶10粒とガーネット5粒が整然と並べられていた。 本家の写真には及びもつかないが一個のサファイアの写真を紹介しよう。 三角形はトライゴンと言うそうだ。分子が規則正しく並んで結晶になるらしいが、その一つの規則だろう。残念ながら知識がなく説明できない。理屈は抜きで造形美を鑑賞するのみである。 MWSの奥氏には感謝を捧げたい。珪藻にしても自作であの美しさは作ることはできない。氏の努力のおかげで僅かな費用で美しい世界が自分のものにできるのである。
ハチ(膜翅)目細腰亜目スズメバチ科クロスズメバチのようだ。体長1.1センチメートル。 10月末に玄関のシャリンバイに飛んできたもの。この木には良く虫が飛んでくるし蜘蛛も沢山いる。原因がやっとわかった。沢山付いているアブラムシのせいだった。 クロスズメバチの目的はアブラムシの出す蜜を求めているのではないかと思うが、葉っぱの間をせわしく動き回っていたのだ。 スズメバチとは言え、小さいし、おとなしい種類らしいので安心して捕まえたのだ。かわいらしいものだった。
前回のウリハムシのポーズを変えて描いてみた。 自然でこんな格好はあまりしないと思うが、ガラスの壁が手前にあるので前脚と中脚をガラスに当てて方向転換をしているところである。 頭と前胸を突き出したので、普通は重なっている前胸と中胸の外骨格が離れて柔らかい内皮が露出した。 たいてい白っぽいものだがウリハムシは外骨格と同じような色をしている。 オレンジ色の外骨格も内皮も、体の中の色をかなり反映しているようだ。
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目ハムシ科ヒゲナガハムシ亜科ウリハムシでまちがいないだろう。体長0.8センチメートル。 玄関先のカラーの葉の裏にいたが、成虫で土の中で越冬して、春に産卵するそうである。越冬前のものかもしれない。ウリ科の植物を幼虫は根、成虫は葉を食べるので嫌われ者らしい。 1センチ以下の小さなムシなので、肉眼では赤っぽいだけでそれほど美しいとも思えないが、顕微鏡下ではガラスにオレンジで着色したような感じで実に綺麗なものである。
ハエ(双翅)目短角亜目ハナアブ科ハナアブ亜科アシブトハナアブというらしい。体長1.6センチメートル。 今の時期でも昆虫は活動している。ハエやハナアブなど日当たりのよい場所を飛んでいる。花粉か蜜のあるところ、アブラムシが蜜を飛ばしているところなどに集まるようだ。 そんなところにはジョロウグモが巣をかけていて、沢山餌を食べているのだろう。この頃は見事な体になってきた。 食べるものあり、食べられるものあり、自然界は厳しい世界なのをつくづく感じるのだ。
ハチ(膜翅)目細腰亜目アリ科ヤマアリ亜科サクラアリだと思う。家族を描いてみた。 女王は体長0.8センチメートル、雄は0.4センチメートルで働きアリは0.15センチメートルである。 働きアリは動いていないとまず見つからない。葉っぱの上を赤っぽい点が動いているのでやっと分かるのだがどこにでもいるらしい。 女王アリは何匹も右往左往している時期がある。胸部も腹部もぼってりして魅力を感じない形である。一方雄アリはすらりとしてアリらしくないスマートさである。 女王と雄は巣から羽ばたき交尾する。女王は翅を落として新しい巣を作り働きアリを産むわけだ。女王アリと雄アリは、以前捕まえていたものだが、この3種類が家族だとは思いもしなかったのだ。
ツマグロキンバエというらしいが、ヤツデの花穂に群がって花粉(?)密(?)を食べていた一匹を捕まえて撮影した。 0.7センチメートルぐらいの小さな虫で肉眼では黒っぽく見えるだけであるが、実際はカラフルである。 ただ不思議なのは、複眼が実物と異なる色に写っていることである。 赤い縞に緑が一本混じっていて華やかなもので、こちらの絵は嘘をついたことになってしまうが、でたらめを描いたわけではない。 変哲もない複眼に横縞があること自体が不思議ではあるうえに、写真に撮ると色が変わるとは、ますます不思議なことである。小難しい光学を理解している人にとっては簡単なことかもしれないが、私には説明不能である。 下段は口器を伸ばしているところ。頭を上下させなくても摂食できる伸縮自在の口をハエは持っている。 色変わりの説明ができないお詫びのつもりで載せるのだ。
個展の昆虫の細密画をみてヤモリの干涸らびたものを持ってくれた人がいた。 個展をした効用がさっそく現れたというわけだ。 頭蓋骨とか背骨とかが浮き上がっているので、ヤモリは脊椎動物なのが実感できる。昆虫には骨はない。 2センチぐらいで干涸らびて尻尾もなくなっていたので、ネットで調べて生きている時を想像しながら描いたが、子供のヤモリのようだ。 イモリは水の中にいて腹が赤黒のまだらになって気色悪かった記憶があったが、ネットではイモリとヤモリの違いを説明しているのもあった。それによると、イモリは両生類で皮膚呼吸をするのでしめった皮膚。ヤモリは爬虫類で肺呼吸で皮膚には鱗があるそうだ。確かに鱗におおわれていた。 指の先には一本爪があり、手のひらにあたるところは繊毛が数列並んでいた。これがあるので壁でも天井でも自由に動き回われるのだろう。確かに地上の生き物だ。
人の動きを素早く写し取ることはなかなか難しい。昆虫はなおさらである。 昆虫の微細な構造にこだわって写生してきたが、なんとか動きも捕まえたいとの思いが強くなってきている。 ボケボケの写真を見せられてものなぁーと言う声が聞こえてくるが、この形に顕微鏡で確認した微細構造をまとわせれば立派な絵になるという算段だ。
絵を描くのはなかなかしんどいものである。それだからと言うわけでもないが、ここのところ写真撮影に夢中になってしまった。 小道具をいろいろ工夫して、小さな箱に生きた昆虫を閉じ込めることができるようになったのである。 箱の側面を半透明の材料にして表面をガラスにしているのでなかなかいい調子で撮影ができる。 私の持っているコンパクトデジカメのマクロでは小さくしか写らないが、クローズアップレンズを使えば大きくなるのに気がついた。カメラは固定するので虫眼鏡でもいいのではないかと試してみたら結構大きく写った。 本格的なマクロ撮影の画像からすれば子供だましに近いが、生きた姿を写真に残せるのはありがたい。 デジカメは何枚でも撮れ、結果もすぐ確認できるので動き回る昆虫も数打ちゃあたるのである。 このハエはクロバエ科のケブカクロバエだと思う。複眼の間が開いているので雌だろう。ハエの同定はとっても難しく正式には交尾器を調べる必要があるなどと書いているサイトがあった。体長1.3センチメートル。
動物も「けもの」と言うくらいで毛だらけだから、昆虫だって毛だらけでも不思議ではないとも言えるが、固い殻もあるのだからつるりとしてても良さそうなものだ。 そう思ってハエを見ると、堅くて長大なものがついているのに驚かされる。肉眼ではあまり感じないが拡大すると凄まじいものだ。 金属顕微鏡でさらに拡大すると、外骨格に丸い穴が開いて、そこから溝が刻まれた剛毛が出ているのが分かる。分かりづらいが、右側の丸くなっている写真は穴と外れた毛の根元が写っている。 全身に、さらに細いものがあり、下段左側の丸の中のように微少な毛がびっしりついている。いったいどういう意味があるのだろうか。
子供の頃はハエは沢山いた。それも家の中を我が物顔に飛んでいた。蠅叩きは必需品だったものだ。 それが今では表はともかく家の中では滅多に見なくなってしまった。 今年は表でもハエをあまり見かけない。蚊もやけに少なかった。 福島から微粒子が飛んできて、雨と共に落ちてしっかり地べたに落ち着いているらしいので、そのせいかなどと気持ち悪くなるが真偽のほどを確かめるすべはない。 と思っていたら、ここ数日玄関の植え込みに大きいハエが飛んできた。 ハエは素早い。元気な奴は近寄っただけであっちへ行ってしまう。離れると戻ってきて憎らしい限りである。なんとか捕まえてやろうと粘った。 捕まえ方は背の高い透明のプラケースを上からかぶせるのだが、熟練してきているのでハエでも捕まえたことはある。 キンバエは僅かのところで入れ損ない、ふちで体をつぶしてしまった。翅が折れたり、脚が取れたりしたが、それをそのままスケッチしたのが上段の絵だ。 下のはヤドリバエと言うらしいが、きれいに捕まえたので、ガラスのふたをした小さな紙ケースに閉じ込めて観察する。 今回は撮影に挑戦してみた。 コンパクトデジカメのマクロ設定なので思うようには大きく撮影できない。それでも生きたままの姿を撮影できたので、単純に喜んで公開するのだ。
ハチ(膜翅)目ベッコウバチ上科ベッコウバチ科ツマアカベッコウらしい。体長1.8センチメートル。 いつも見ている昆虫図鑑サイトでは見つからず「ハチ、尻赤」で検索したらたくさんあった。 もともと南方にいたハチだそうだ。関東地方まで暖かさにつられて北上したのだろうか。 ベッコウバチは蜘蛛を狩るハチらしいので、このハチもサイトの写真では蜘蛛と一緒のが多かった。 個展での反省で空間が感じられなくてはというのがあった。飛行しているのを下から見ているという想定で描いた。インチキであるが、空をパソコン上の処理でつけてみた。 まだまだですね。がんばらなくては。
今回はハナアブの仲間の気管を紹介しよう。 体長1センチメートルほどのものであるが、腹部は黄色に黒の帯がはさまっていてなかなか綺麗なものである。 顕微鏡で見ると黄色く見えるところは外骨格が透けて中の様子が僅かながら見える。 下からの光を当てると網状に広がっているのが分かった。 腹部の両脇に気門があるのでここから出ているのである。 はじめは太くだんだんに細くなり酸素を必要とするところに伸びていくわけだ。 黄色と黒の写真までは去年の12月に描いたり撮影したものだ。 外骨格越しではぼんやりとしか見えないので、気管を取り出してきちんと見たいとは誰でも思うだろう。そこで、からからに乾いていた去年捕まえて保存していた標本を取り出した。腹を開いて気管を見てみようというわけだ。 慎重に開いてみると、外骨格の裏側にぴったりひっついていたものがあった。それを横からの光で撮影したものが最期の写真である。 透明で蛇腹になった管であった。この形なら簡単につぶれないだろう。またしても昆虫の体はよくできていると感心させられたのだ。
杉林は材木を採るために人工的に植えられたものだろう。 散歩の途中に放置されているとしか思えないところがある。嵐が来ると折れたりかしいだりしている。 だんだん空が広がって来るというわけだ。 そして山藤がはびこってくる。 そういうところをわざわざ描いているわけだ。健全な精神とは言い難いが芸術とはそういうものだ。・・・・・・・・などと開きなおろうではないか。
24日は個展最終日だった。毎日行っていたが、台風の日もあり短かいながらたくさんのことがあった。 昆虫を大きく細かいところまで描いたので興味を引いたようである。表の看板をみて通りすがりの人も来てもらえたし、昆虫談義をしてしまうことも多かった。賑やかなものであった。 一方、私の絵を注意深く見続けていた人たちのなかには、がっかりしたと言う人もいた。厳しい意見だが素直に受け止めよう。 今回の個展で、小さいながら植物の絵も描けた。これから発展させられば前途に光明が見えてこようというものだ。昆虫も図鑑的でなく絵画の内容をもったものを描かなければとの思いも出てきた。一週間もまれた結果である。後は成果を出すだけだ。
メダカを飼っている水鉢には水草もある。 咲いているのは小型の蓮の花。上に伸びているのはオモダカというそうだ。旅行したときに妻が採ってきたもので園芸種ではないのだそうだ。 鉢は描かずに水草だけを描いてみた。 個展の出品作だ。
メダカを飼っている水鉢から藻などを採ってくると生き物がいろいろいる。今回は生きた珪藻と球体で良く動いていたものを取り上げよう。 球体のものは植物プランクトンか動物プランクトンかも分からんと言うふがいなさであった。 珪藻はゆっくりと動き、ときどき体を捻る。楕円形が長方形になったりその逆にもなる。 何度見ても同じ種類だという気がしない。斜めから見た立体をすぐには思えないからだろう。 褐色の細長いものが葉緑体だそうだ。これがあるので光合成で酸素を出す植物になるというわけだ。動くものは動物。動かないものは植物と幼い頃にならったが、世の中はそう簡単なものではなかったのだ。 ハネケイソウ(ピンヌラリア)属だとおもう。 (オリンパスBH-2、対物レンズ40X)
19日からギャラリー惣で個展をします。 昆虫のスケッチをずらりと並べて、間に樹木の油絵を入れるとおもしろいとの勧めがあったので、ホイホイと話しに乗ってしまいました。 自分の絵は自分ではなかなか分からないものです。公の場所で他人の厳しい批評の目で見てもらうと勉強になります。また、 ずらりと並んでいるのを一週間見続けると見えてくるものがあります。 今は闇の中にいる状態なので、これを機会に展開してくれることを願っています。
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目コガネムシ上科クワガタムシ科クワガタムシ亜科ノコギリクワガタでまちがいないだろう。体長4.8センチメートル。 クワガタの幼虫は、針葉樹が腐朽したものを食べる褐色腐朽材食性と、広葉樹が腐朽したものを食べる白色腐朽材食性などがあるそうだ。 褐色腐朽材食性のものは褐色腐朽材だけを食べ、白色腐朽材食性のものは褐色も白色も食べられるらしい。 褐色腐朽材食性のクワガタは進化の古い型だそうだから、針葉樹しかない時代に生きていたのが現代まで生き延びてきて、広葉樹が出てきたときに、進取性のあるものは新しい餌を開拓し、より大きくなり、より栄えたということらしい。 広葉樹はジュラ紀の頃出現したらしいから、恐竜のいた時代だ。昆虫はとっても古い生き物だというのが実感できる話だ。
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目ハムシ上科カミキリムシ科フトカミキリ亜科ラミーカミキリでまちがいないだろう。体長1.3センチメートル。 家の周りで捕まえられる昆虫は小さなものが多い。見栄えのするものがいるかもしれないと散歩をかねて石切場の方へ出かけた。 ラミーカミキリはたいてい平べったい葉っぱの上にいるものだが、茅の中心にしがみつくようにしているのがいた。プラケースで挟み込んだが動かない。あれっと思ったが死んでいた。セミの抜け殻じゃあるまいしというところだが珍しいことがあるものだ。寿命が近づき動けなる直前に茅につかまったのだろう。そしてそのまま息絶えたがアリなどの餌食にならなかったとみえる。 前回の蚊は、スケッチするときは外骨格が潰れたりしてかなり記憶に頼らざるを得ないのでリアルさが欠けてしまう。不満が残ったので今回はそのままスケッチすることにした。付足の3カ所がとれてしまっているがご愛敬である。
ハエ(双翅)目糸角亜目カ科ナミカ亜科ヒトスジシマカと言うようだ。体長0.5センチメートル。 ヤブ蚊と言われているものだろう。黒白の蚊でたいてい表にいるものだ。 今年は蚊もハエも、昆虫そのものも少ないような気がする。 蚊に悩まされないのは結構なことだが、放射能の影響かもしれないなどと考えてしまい気持ちが悪くなる。
カメムシ(半翅)目ナガカメムシ科オオモンナガカメムシと言うようだ。体長1.2センチメートル。 先日銀座に出かけたが、看板に惹かれて入った画廊で鉛筆画や銀筆画を見た。 どちらも手練れの細密画で、うならされてしまった。 ペン画でも、インクの濃淡で強さの調節は可能だが鉛筆の自在さには及ばない。しかし鉛筆は力強さに欠けると思っていたが、勘違いだった。 微妙な濃淡の変化と力強さをもつものを目の前にして、鉛筆画に挑戦したわけだ。ミーハーなことで、結果は色がなくて寂しいねと言われそうだ。
セミ(同翅)目頚吻亜目セミ上科セミ科ミンミンゼミでまちがいないだろう。体長3.6センチメートル。 絵の才能を持つ人は何の苦労もなく素早く描き上げることができるのだろうが、私の場合は七転八倒をしてやっとこさできあがる。 セミのようにずんぐりとしているものは、正確に形を追わないと妙ちくりんなものになってしまう。 鉛筆の下書きをさんざやって、ペンで墨入れをしてパステル調の色鉛筆で彩色して完成だが、疲労感だけが残った。 ま、なにごとも勉強である。
ハエ(双翅)目短角亜目アブ下目ミズアブ上科ミズアブ科アメリカミズアブというらしい。体長1.7センチメートル。 黒い体に焦げ茶の翅で飛んでいたので地味な虫だなと思った。 実体顕微鏡で覗いてみれば、あっと驚くきんきらきんで模様入りの複眼だった。 腹の一部も透明だったし、触角は平べったい不思議な形のものだった。 ネットで調べると、外来種だった。しかも、ゴミ置き場にたむろする嫌われ者だった。 幼虫はウジとなって、食べ物を腐らせながら食べるのか、腐った食べ物でも平気なのか分からなかったが、大量に発生すると臭いも相当なものらしい。ウジとなって不潔なところで幼虫時代をすごすので嫌われるのももっともであった。 親はなにを食べているのだろう。花粉かもしれないと考えた。そうであればゴミに近づくのは産卵するときだけでいいわけだ。普段はきれいなところでせっせと配偶者を捜せばいいのだから。などと、嫌われ者に好意的なことを考えてみたが、きれいな複眼に惑わされたのだろう。
前回に色を着けたもの。 BSドキュメンタリーの再放送で「森を追われたオランウータン」をみる。熱帯雨林でオランウータンの母子がのんきに暮らしている様子から始まる。解説も音楽もなく淡々と写しているだけである。 広い部屋に保護されているオランウータンが写る。点滴を受け死んだような目をして横たわっている。若い人が世話をしている。マッサージをされてもおとなしくされるままにしている。 ジャングルの大木が切り倒される。トラックで運ばれる。製材される。製品となって出荷される。売り場が写される。 椰子の苗木が大規模に栽培されている。森が丸裸にされる。椰子畑ができる。椰子の実が収穫され工場に運ばれる。搾られて椰子油の製品になり売り場に並べられる。消費を讃える歌が流れる。 広大で荒涼とした大地に大木がただ一本、僅かな枝を残したのみで立っている。なにか動くものが見える。チンパンジーの母子であった。 作り始めた椰子畑に泥まみれになったチンパンジーがいる。作業員に捕まりバックに入れられトラックの荷台で運ばれる。 また病室が写る。いっそう弱っているように見える。何ともうつろな目だ。二人がかりでベットの位置を変える世話をする。若い人が食べ物を口に持ってくる。全く受け付けない。 死んでしまう。黒い袋に入れられ運び出され番組は終わる。 解説も音楽もなかったが悲しみが私の体にしみこんだ。2009年のフランスのドキュメンタリーだった。
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目コガネムシ科ハナムグリ亜科コアオハナムグリと思う。体長1.5センチメートル。絵を描くのはなかなか難しい。白黒だけの絵でも、筆とペンあるいは鉛筆では感じが異なってくる。 インクとペンを使うと上記の絵のように昆虫の細部まで描き込める。これから明暗を点や腺で描き加えていくと、かちっとしたリアルさが増していくと思う。
ハチ(膜翅)目細腰亜目アリ科ヤマアリ亜科トビイロケアリの雄と思う。体長0.35センチメートル。 7月に入って蜘蛛の糸に絡んでいたのを見つけた。その前にも同じ状態のがいたからこの時期に出てくるものだろう。ミリ単位のものなので肉眼では黒っぽい点に白い翅が付いているようなものだが、拡大すると体はアリそのものである。 翅があるので雄ではないかと思う。調べるとケアリ類は7,8月が結婚飛行の時期だそうだから時期は合う。 この虫は非業の運命にあったせいか、お尻の中身が丸出しになったようだ。左右対称で突起物が出ていた。
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目ハムシ上科ハムシ科イタドリハムシと思う。体長0.7センチメートル。 背中にオレンジの紋をしょってちょこまかと動いているのを見かけると、春になったなあ・・などと思ったイタドリハムシである。 こいつは7月に玄関先の植え込みを2匹でうろついていた。紋は黄色というか、カーキ色というか地味なものであったが、オレンジだけでなく変化をするらしい。色がそろっているところを見ると、成虫で越冬をするらしいので今年生まれた兄弟だったのだろうか。
ハエ(双翅)目短角亜目アシナガバエ科ヒゲアシナガバエ亜科マダラホソアシナガバエというらしい。体長0.6センチメートル。 ハエとついているがアブの仲間らしい。葉っぱの上をぴょんぴょんと飛びまわっている。 金属光沢の細長い青緑色のボディーに模様の付いた翅をハの字型に開いている。脚は長くて体の下に伸ばしているので、葉っぱの上に浮かんでいるような具合だ。 小さなもので目立たないが、光を受けるときらりと光る。美しいものである。 アブラムシ、アザミウマ、ダニなどが餌だそうだ。吸収式の口器でどうやって食べるのだろう。丸呑みするのだろうか、不思議だ。
甲虫(鞘翅目)目オサムシ亜目オサムシ科アオゴミムシ亜科なんとかアオゴミムシとかいうようだ。毎度のことであるが同定は難しいということだ。体長1.3センチメートル。 これも隠岐土産。ゴム引きの手袋をして草むしりを手伝った。終わってから手袋を洗い、物干しに干した。その手袋の中にこの虫がいたのだ。 オサムシ達は、翅も退化して地べたをうろうろしているものと思っていたので意外だった。わざわざ物干しの支柱をよじ登ってきたとしか思えない。そんなことがあるだろうか。 しかしきれいな虫だ。光り輝く緑の頭と、金色の胸、落ち着いた黒の胴と三色の組み合わせは豪華なものだ。これが描けると文句はないのだが、甘くはなかった。
「あれこれ38」で蚊の口器を取り上げた。その当時は知識がなく、ぎざぎざの付いた刀状のものに驚いただけであったので、知識を増やして再挑戦である。 実体顕微鏡下で、捕まえた蚊を口器のところを切り離してスライドグラスの上に置き、慎重に吻を広げるのだが、小さいもので難しい。失敗の連続だったが、やっとそれらしくできた。 絵のようになったので、生物顕微鏡と金属顕微鏡で観察した。 血を吸い上げるのは上唇で管状である。確認できなかったが縦に切れ目が入っているそうだ。先端は鋭く溝などもあり複雑だった。 小顎と大顎はぴったり付いているようだ。二組あるが一組の先端だけが分かれた。 これも複雑な形をしている。 筋肉はどこに付いているか定かではないが頭の中にガッチリ付いているのかもしれない。この筋肉で吻を前後に動かし、皮膚を切り裂き、突き刺すのだろう。 小顎は上唇とは別々の動きができるそうだから、切り開いて突き刺すを繰り返してスムーズに目的の血管に達するのだろう。 他に唾液を出す下咽頭がある。細長い布の真ん中に管を置いたような形をしていた。唾液はかゆみの元になるそうだが、血液を凝固させない働きがあるそうだ。 昆虫の体は知れば知るほどすばらしい。 これらがどう組み合わされているかは確認できなかった。記載した断面図は調べたものを引き写しただけで、なんとか確認したいのだが、至難の業である。 BH2は生物顕微鏡。透過照明。 OPTIPHOTOは金属顕微鏡。落射照明。 小顎の一枚を除いて深度合成。
ハチ(膜翅)目細腰亜目アリ科ヤマアリ亜科クロオオアリで間違いないだろう。 体長1センチメートル。隠岐土産である。 体の前半は筋肉が充填されているので、大型の大顎は強靱な咀嚼力があり、長く伸びた脚は強力な移動力とを持つ。後半は消化器官が効率よく納められている。酸素は節々にある気門から効率よく送り込まれ、激しい運動にも耐えられる。 このアリは無駄のない効率的な形態だと思う。スマートだなと思いながらスケッチした。
ハチ(膜翅)目細腰亜目ミツバチ上科コシブトハナバチ科クマバチ亜科クマバチで間違いないだろう。 体長2.5センチメートル。玄関のシャリンバイに飛んできたところを捕まえた。 黒と黄色の大型のずんぐりしたハチで迫力十分だった。クマンバチとか言われて獰猛な印象があるらしいが、実際は、花粉食の穏やかな性格で、木に穴をあけた巣で単独生活をしているそうだ。
ハエ(双翅)目短角亜目クロバエ科クロバエ亜科オオクロバエというらしい。体長1.2センチメートル。 ずんぐりとしたハエらしいハエである。 肉眼では、ほとんど黒であるが、実体顕微鏡で見ると結構色がある。 ハエは全身毛だらけで、太くて長いものが多数あるが、そのほかに細かくて短いものもそれ以上に全身を覆っている。 この密集した細かい毛が黒く見える原因のような気がしてきた。反射防止繊維のように光を吸収してしまうというわけだ。
妻の実家は島根県の隠岐の島である。 5月末からしばらくいたが、のんびりしてしまい絵もろくに描かずじまいであった。 僅かに描いたのが左の2点というわけだ。 島は山並みが続き緑豊かであった。開けたところも多く水田もあちこちで見られた。道路や港湾施設も整備され、民家も大きな立派なものが多く、豊かな島のゆったりとした暮らしぶりを思わせた。 一方、往き帰りの東名高速道路では、100キロの速度でも車間をとらず密集して走っている集団をいくつも見た。一台転けたら追突の山になるが、そんなことは絶対に起こらないと思っていて、すこしでも前に出たいのだろうなどと考えた。 田舎でのんびりした後だったので、なんとせかせかして危ない世界に住んでいるのかと恐ろしい思いをしたのだ。
福島原発からの放射性物質は真鶴にもかなり落ちてきたのが真鶴茶の汚染で明らかになった。横須賀の線量が低いのでたいしたことはないと思っていたが、福島から飛んできたものが箱根にぶつかって麓に落っこちたと言うことらしい。次から次に落っこちたのだろう。 MWSさんの解説によると、そうやって貯まった放射性物質が土にしみこんで、それをお茶が取り入れ濃縮した結果、規制値を超えたらしい。 真鶴でさえこうである。福島の汚染は計り知れないものがあると恐怖を感じた。生活を根こそぎ奪われた人たちはどうなるのだろう。再起を祈るばかりである。 写真の右上はコバンケイソウ(スリレラ)属、横からの光があるので立体感がでてくるし、輝いた感じもあって美しい。いやな思いをしたときは美しいものを見るに限る。 (オリンパスBH-2、対物レンズ40X)
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目ハネカクシ上科ハネカクシ科のなんとかと思う。体長0.5センチメートル。 ウィキペディアによると、二億年前の化石が知られている古い昆虫で、1mm未満から数cmの大きさがあり、種類数、生態共に多様性があるが研究は進んでいないとあった。 長い時間をかけてあらゆる試みをしながら進化してきた昆虫だろう。絵に描いたのは、翅が未発達だと原始的だが、退化したとすると進化が進んだものとなるのだろうが、美しい姿ではないから原始的だろうなどと想像したのだ。
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目ゴミムシダマシ上科アカハネムシ科アカハネムシなんとか、あるいはなんとかアカハネムシとかいうようだ。細かい違いのものが多いらしくて同定は難しいらしい。体長1センチメートル。 幼虫は腐敗した木材が餌らしいが、成虫の餌は分からなかった。そのかわり、赤い翅で体が毒のペニボタルの擬態をしているとの記事がたくさん出ていた。鳥などの捕食者に私を食べると毒ですよと言っているらしい。 触角が戈みたいに枝があるのが珍しかった。甲虫だが外骨格は柔らかいし、触角も良く動かしていたから用心深い弱い虫なんだろうなと思ったのだ。
前回のウスイロクビボソジョウカイをもう一度捕まえようと同じ場所に行った。なんと、赤黒いものがジョウカイを捕まえていた。 口吻を外骨格の隙間から差し込んで体液を吸っていたが、ひとしきり吸うと、獲物をくるくる回して吸う場所を変えた。 脚の関節の隙間に口吻を入れたときに、さらに細いものが奥深く入っていったのが透けて見えた。口吻は二重構造になっていたのだ。 気色の悪いもので恐縮であるが、これも自然の摂理である。自然界は食いつ食われつなのであった。 この虫は、カメムシの仲間でシマサシガメの幼虫らしい。ネットに写真がかなりあった。違う種類だが刺されると飛び上がるほど痛かったなどと言うのもあったので、サシガメは危険な種類のようだ。 見るからに恐ろしげであり、レンズを向けるとにらみ返すようにこちらに向きを変えてくるふてぶてしい奴でもあった。
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目ホタル上科ジョウカイボン科ウスイロクビボソジョウカイのようだ。 体長0.7センチメートル。 草の上にいたものを捕まえた。葉の裏表に限らずちょこまかと歩いていたが、捕まえようとすると体を斜めにしてヨタヨタとした感じで飛んだ。細長い体つきで中胸部から後ろが大きいし、後翅だけで飛ぶせいだろう。 上顎が鋭く肉食のように思えたが、ネットで調べると、花粉と小動物とあった。 昆虫の複眼の見え方は同じものをいくつも見ているのではなく、重なりはあるかもしれないが部分を連ねて動きを感知しやすくなっているらしい。 アブラムシなどを食べているらしいとあったが、じっとしているアブラムシを目でははっきり捕らえられないので長い触角が必要になったのではなかろうか、などとまたしても無責任に考えたのだ。
半翅目カメムシ亜目イトカメムシ科イトカメムシのようだ。体長0.7センチメートル。 4月11日に玄関の水鉢で溺れていた。去年の4月にも捕まえたので今の時期に出てくるみたいだ。 草むらに糸のようなものがスローモーに動いていたのを初めて見たとき、え!こんな生き物がいるの。 と驚いたものだ。 長い口吻なので植物の汁を吸うのだろうが、ネットで調べるとアブラムシを捕獲している写真があった。 見るからに弱々しい虫なのだがアブラムシの幼虫にすれば巨大な虫ではある。
昆虫の脚は摩訶不思議である。どんなところにも止まれる。逆さだって平気だ。 というわけで、ハエの足先を拡大した。 物の本によるとハエの脚先は爪と褥盤のセットになっていて、褥盤は袋状で細かい腺毛があり、先端は粘着性があるとありました。 ハエを捕まえて死ぬと縮こまってきます。褥盤も平らなのが丸まってきます。写真を撮ったときはそんな状態だったので生きているときと少し違いますが、腺毛の様子は変わっていないと思います。 40Xで撮影しているのでピントの範囲が狭くて分かりづらいですが、腺毛の先端はお椀のようになっているとも見えます。 粘着性の秘密はこの先端にあるようですが、私の力ではここまででした。残念。
甲虫(鞘翅)目カブトムシ亜目ハムシ上科カミキリムシ科フトカミキリ亜科リンゴカミキリのようだ。 体長2センチメートル。去年の7月に庭の枝垂れ桜に来たところを捕まえた。飛び方は不細工なものであつた。体は斜めになっているし、上翅をハの字に開いて下翅をバタバタやっていた。 植物が餌で、幼虫はバラ科の枝の中で蛹となるそうだ。成虫も若枝とか葉を食べるらしい。胴と腹部が長いのはそのせいだろうか。甲虫でも頭は頑丈そうだが、腹部は柔な感じである。 附節は鋭い爪と、3ヶのブラシ状のものからなる。ブラシの毛の先は40Xでも詳細は分からないが、吸盤的なようにも見える。凸凹したところには爪で、つるつるしたところにはブラシの毛で吸い付くようで、どこにでも止まれるらしい。
ハチ(膜翅)目細腰亜目アシブトコバチ科キアシブトコバチのようだ。 体長0.5センチメートル。去年の12月に家の庭で捕まえた。成虫はなにを餌にしているか分からなかったが、幼虫は蝶や蛾の蛹に寄生するそうだ。 この虫の特徴は後脚の腿節の異様な大きさだろう。長さはそれほどでもないが、とにかく太い。それに、基節と脛節がピタリとくっつくようになっている。 飛び跳ねるのに便利な形態だが、翅があるのでその必要はないだろうから、蛹に卵を産み付けるときにお尻を自在に上げ下げする為だろうか。などど考えた。
コウチュウ(鞘翅)目オサムシ上科ハンミョウ科コニワハンミョウかトウキョウヒメハンミョウかもしれない。ハンミョウだけは間違いないだろう。体長1センチメートル。 去年の6月に家の裏で捕まえた。近づくと跳ねて逃げて捕まらないが、幸運にも捕まえられた。 あるネットによると、ハンミョウの幼虫は地面に穴を掘って、穴の上を通る生き物を餌とするそうである。気長に待たなくてはいけないわけだ。 良くしたもので長く食べなくても平気だそうで、蛹になるまでの時間は餌次第だそうである。 そこまで読んでふと疑問がおきた。子孫を残すには配偶者を見つけなければいけないが、成虫になる時期がずれるのはまずいのではないだろうかと。 しかし、この虫は獰猛な感じがするし、成虫になってからは餌には困らないような気もする。寿命が長いので求婚期間は長いのかもしれない。
コウチュウ(鞘翅)目コガネムシ上科コフキコガネ亜科クロコガネらしいがスジコガネ亜科のヒメコガネのようにも思える。体長1.6センチメートル、中ぐらいの大きさか。 甲虫とはよく言ったものである。全身を強固な鎧兜に覆われている。 脚も、同様にガッチリした物だが、附節は細かく5ヶにわかれ、爪先は4ヶの鍵になっているので複雑な形の物でも自在に動ける能力は確保しているようだ。 防護力と機動力を併せ持った強力な昆虫なのだろう。栄えるはずである。
今朝のニュースでは電源の一部回復もあり、使用済み核燃料保管プールへの放水もできて、なんとなく原子炉をなだめられたかとの感じがありましたが、午後には2号機の原子炉内の圧力が上がっているので放射能を含んで排気し減圧するとの発表があり、まだまだご機嫌斜めなのでした。 放射性物質の拡散は注意するようにとあちこちのサイトで言っていますので、茨城県が公表している北茨木市の放射線量をグラフ化してみました。 日頃見ているMWS本日の画像にでていた避難の目安は、11.4マイクロシーベルト/時ですのでまだ余裕がありますが、放射性物質の飛来と思われるピークの後はレベルが上がっています。三浦半島などはナノのレベルなので今のところは安心です。しかし、文部科学省の発表した福島第一原子力発電所周辺のモニタリング結果を見ると、100マイクロシーベルト/時を超えているところもあります。 やはり恐ろしい事故なのだと身に染みます。 原子炉のご機嫌が直ることを祈ってやみません。
ハチ(膜翅)目ハナバチ上科ミツバチ科マルハナバチ亜科トラマルハナバチらしい。体長2センチメートル。 ありふれた昆虫のはずだかネットの画像でぴたっと合うものはなかった。同定することの難しさを感じるのだ。 東北関東大震災の被害の大きさや福島第一原発の刻々の変化に深い悲しみがおこり、サイトの更新どころではないが、嘆くばかりではいけないと更新しました。
珪藻の絵を描くと見た人はこれは何ですかという。 それで、単細胞の植物プランクトンです。などと説明することになる。 自分も珪藻を識ってから2年ぐらいしかたっていないので偉そうなことは言えないが、関心を持つようになったのはMWSのプレパラートに出会ったのが大きいと思う。 今回は、プレパラートと、顕微鏡を覗いたときどう見えるかを示そう。 プレパラートは海産で大型のものを集めたもの。形の変化も多くて華やかなものである。ただし肉眼ではわずかに点が見えるだけである。 接眼レンズ10倍、対物レンズ10倍にすると100倍になるが直径2ミリメートルの範囲が見える。多くの珪藻が散らばっている。ここから目当ての珪藻に行くわけだ。 対物40倍になるとグンと大きく見えてくる。ピントの合う範囲が狭いので、ピントの合っているものや合わないものやいろいろである。微妙に合わせていくのが楽しいものである。これで結構満足できるのであるが、つぎの対物100倍は別格だと思うのだ。 細かいところがかなりわかり迫力と実在感が増してくるのだ。しかし難しい世界でもある。顕微鏡上級者は、私では見えていない小さい胞紋まで見えるそうだから驚きではある。 なんとなく様になっている画像であるが、デジタルは怪しい世界でもあることを白状しておこう。MWS本日の画像で明視野画像を反転して暗視野にする方法がでていた。10Xの暗視野はそれを真似した。背景の照明斑はデジタル処理でなくしてある。100Xの背景も汚れを処理してすっきりさせた。 写真より実際見ている方がはるかに美しいので、つい化粧をしてしまったというわけだ。
今日はアブラムシと寄生蜂の話だ。 アブラムシの幼虫はのんきに草の汁を吸っている。平和なものである。 そこへ天敵が現れ卵を腹の中に植え付けられてしまうのだ。 卵は孵って、まず命にかかわらない生殖組織などを食べ、最期に命がなくなる組織を食べるそうだ。アブラムシが死んだら底を食い破って葉に固定させる、そうなると、ぱんぱんにふくれて、じっと葉に止まっていることになるのだ。 う−−−ん、よくできている。時間をかけて食べられるし、地面に転げ落ちてアリなどの餌食にならずにすむ。 そして、お尻を丸く食い破ってハチが出てくるわけだ。 上のアブラムシは犠牲になったものと違うが、下のものを見つけて密閉容器に入れていたら最下段のハチが出てきた。体長2ミリ、アブラバチと言うらしい。
昔使った生物の教科書にでていたカイチュウの構造図を模写した。 カイチュウは糞尿の肥やしで育てた作物を食べてた世代には有難くない生き物である。 カイチュウが属する線虫(線形動物)は寄生するものばかりとのイメージがあったが、どうもそうでないらしい。 水中や土の中にもたくさんいて、つまりどこにもたくさんいて、細菌などを食べて自由生活をしているのがメインらしい。 C.エレガンスというしゃれた名前のものもいるそうだ。 体長1ミリメートル、細胞が1000個ぐらいしかないのに、消化器官、神経、筋肉、生殖組織など動物の基本的な構造がそろっているのだそうだ。 体は透明で、それぞれの細胞が特定されており、神経回路はテータペース化、ゲノムも解読されて、発生の様子や神経の働き方遺伝子の解明など、29 最新の生命科学の強力な実験材料なのだそうだ。 嫌われ者変じて大変な孝行者になってしまったわけだ。 写真に撮ったものは、それより小さくて0.2ミリメートルしかなく、メダカを飼っている水鉢の水中にいたのだ。 シャーレにとりわけて実体顕微鏡で見ると、くねくね動いてどうも気持ち悪かった。100円ショップで仕入れた注射器でスライドグラスに移して40xで覗くと口とか食道とか見えた。体の後ろに色のついたものがありなにか疑問だったが卵巣だったのだ。この量の多さはまるで子孫を残すためだけに生まれきたかのようだ。 (オリンパスBH-2、対物レンズ40X)
昨日は隗展の仲間が展覧会をしているので銀座に見に行った。 反省会をしたので帰りは遅くなった。東海道線の車両は3両目だったので二宮辺りになると乗客が4人になった。自分は飲んでいたので半睡半醒だったが、他の人は皆寝ていた。 おもわず、うふふになってしまった。久しぶりの車内スケッチである。 藤沢か平塚辺りで乗ってきたのではないかと思う外人さんがいた。ジーパンのラフな身なりで荷物も持たないので日本に住んでいるに違いないが、髪もひげもラフな感じで、衣類も金がかかっていないし、寝顔も幸せそうなものではなかった。 しかし理知的で風情のある人だったので、現代社会を憂えているインテリだろう。などと、またしても勝手な空想を巡らしてしまったのだ。
ハチ(膜翅)目アリ科フタフシアリ亜科アミメアリ属アミメアリで間違いないだろう。 体長2.5ミリでごくごく小さい。道路の端を列をなして歩いているのをよく見かける、ごく普通のアリである。 しかし、拡大すると、え ! こんなに複雑なのと、美しいとは言えないものの楽しめるのだ。 前回のもフタフシアリで肉眼では区別がつきにくいが、拡大するとずいぶん違うのがお分かりいただけると思うのだ。
絵は構図が大切だ。白の画面にアリ一匹だけを描いてみても、部分だけを切り取るやり方もある。 あれこれの2010.07.30掲載のアリをPC上で試してみた。 紙に手書きだと訂正は難しいがPCではいくらでもできる。きりなくやってしまいなかなか決まらなかった。安易にできることは、実は問題があるという気がしてきた。
MWS(ミクロワールドサービス)の珪藻プレパラートに南極のものがある。 丸いものや舟型のもの、棒状のものなどいろいろなものがあった。 丸いものを詳しく見てみると、穴の周りが、がさがさで崩れていてどうも風化しているようだ。 海底に降り積もった珪藻遺骸とあったが、現世のものだとばかり思って覗いたが、舟型のなどはきれいなのもあるので風化の程度はいろいろあるということだろう。 これは100倍の対物レンズで撮影した。 レンズと検体の間はほとんどくっついているのだが、5φのLEDライトをレンズの先端横にくっつけるようにして無理無理照らしてみた。 すると、金色に輝いて見えたので吃驚したのだ。 (オリンパスBH-2対物レンズ100X油浸)
ダニは脚が8本あるので昆虫ではないが似たようなものではある。 血を吸っていないときは体が平べったいので、顕微鏡で覗くと体の中の様子が分かった。 体の両脇に丸いものがあり管がたくさん出ていた。 さらに拡大すると、蓮の実に細根がついているような形である。 哺乳類の呼吸は口から息の出し入れをするので、他の生き物も同様だと、何となく思っていた。 そうではありませんよとはっきり言われてしまったような気がした。 気門と気管に違いない。 (オリンパスBH-2 対物レンズ4Xと40X)
数年前BSで木下恵介や成瀬己喜男特集があった。高峰秀子がたくさん出ていて、いい女優だなと感心した。 随筆も書いているのが分かったので、真鶴図書館の蔵書以外は、提携している図書館から取り寄せもして読んだ。 それによると、死んではいるが自分の中では生きているので墓参りをしない人が二人いるとのことであった。画家の梅原龍三郎と映画監督の成瀬己喜男だそうだ。 高峰秀子が梅原龍三郎のモデルに初めてなったとき、表向きは売れっ子の女優らしくしていたが、内面は精神が壊れそうな状態だったそうだ。できあがった絵はそれがそのまま表現されていたので、見抜かれていたのかと仰天したそうだ。 成瀬己喜男と高峰秀子の組み合わせは「浮雲」がピカイチらしいが、難しい作品できちんとできるとも思えなかったが、自分のできる、ありったけの顔を出してへとへとになったと書いていた。 成瀬は高峰と、彼女一人だけを白バックで撮影する映画を作る約束をしたそうだ。 成瀬の死の直前、最期の見舞いをして病院の出口を出たところに、成瀬が追いかけてきて、退院したら約束した白バックの映画を撮ろうねと言ったそうだ。それを聞いて、戻って抱きしめたい衝動に襲われたそうだ。 読んでいたこちらも思わずジンとしてしまった。 映画の1カットから肖像を描いた。はじめは筆と墨で4枚ばかりやってみたが全然似てこない。それではと鉛筆に変えたが、これまた似なかった。恥ずかしながら苦労の跡を見て下さい。 高峰秀子さんは去年の12月28日に亡くなられました。ご冥福を祈ります。 木下恵介監督「永遠の人」から模写しました。
同一人物であるがイメージが違い過ぎるといわれそうだ。 悪ガキなのか、すましやなのか、あるいは全く似ていないのか。 絵で実際の感じを現すのは至難な技である。
朝のテレビドラマで「ゲゲゲの女房」が人気だったが、少年時代に貸本漫画のファンだったことを思い出した。 水木しげるは鬼太郎の前に戦記物を多く描いている。リアルなもので私はファンだった。その中に坂井三郎がラバウル、ガダルカナルの往復8時間半を奇跡的に生還する話があった。頭部に銃撃を受け、半身不随、不完全な視力になり、もうろうとして海面すれすれに背面飛行している場面が見開きで大きく描かれていたのが印象的だった。それを思い出しながら描いたが、記憶の彼方にあるので、どこまであっているかは定かではないが、日中にかかわらず暗い画面だったような気がする。 真鶴図書館に、坂井三郎著「大空のサムライ」があった。借りて読む。あとがきに「空戦に学んだ自己統御」があった。戦闘機操縦者には、第一に優秀な視覚。第二に瞬間的な判断力とその行動力。第三に一点集中は許されない。第四に最後の頼みは自分だけの覚悟が必要。・・と考え、そのための訓練を常に行った。そして、昼間の星をみれるようになり、文章を読みながら計算ができ、トンボやハエを素手で捕まえ、町を歩いていてあちこちの看板を瞬時に見分けられるようになった。最期のがんばりは、長距離の水泳、長時間の逆立ち、そして、2分30秒の息止めができるようになった。苦しい試練だったが我慢して乗り越えたというのである。自分は平凡な人間だが努力してできるようになったと。 氏の言葉を引用すると「私は思う。普通の人間といわれる大部分の人たちが、果たして生まれてから自然に死んでいくまでの長い期間に、自分が持って生まれた人間としての性能の何パーセントを使って、この世から去って行っているのだろうか・・・と。私は、平均三十パーセントくらいだとかんがえている。あとの七十パーセントは捨てているのである。」 これって絵を描くのも同じだよなと反省させられた。苦しくなるとすぐにあきらめてしまう。がんばれば開けるのに我慢できない。そんなおまえは人並み以下だよと叱責された気がした。
珪藻の絵を出したので、顕微鏡写真をだそう。 MWSのプレパラートはいろいろの種類がある。これは、教育用として廉価に設定してあるそうだ。鉱物の欠片が結構あったりするが、ごちゃごちゃとたくさん珪藻が入っていて、見ていて楽しいものである。 今回は、同じところを撮影しているのだが、違いがおわかりだろうか。 下段は通常の照明法で真下からのみ、色が緑色なのは、緑のLEDを使っているから。単色なので、色のにじみがでないのと、長く見ていても疲れが少ないそうだ。 上段は斜めからの光が入っているので、影がついて立体感が増して細かいところがよりよく分かる。 最初これを見たときは、お椀を普通においたように見えたが、見方によってはお椀を伏せたようにも見える。左からの光とみるか、右からの光と見るかの違いだが、どっちかは判別できないということらしい。 顕微鏡の世界は、普通の大きさのものを肉眼で見る世界とは違うということみたいである。 (オリンパスBH-2、対物レンズ40X)
2011.12.30
清時代に出版された芥子園画伝という山水画の手引き書がある。原本は貴重なもので私ごときは入手できないが、日本で出版されているものもある。
山水の心得はなくとも、樹木、山石、人物屋宇などの手本が羅列してあるので、模写をすればそれらしくなるというわけだ。
年賀状用に描いてみたのだが、漠然と見ているのと違って写す作業があるので、山並みが奥え奥えとつながり、樹木が点綴されていく様がはっきり分かった。
松の葉も手数は多くないが、いかにも松になるのに驚かされる。
パーツの模写はいいとしても、組み合わせは己の才覚である。たちまちにして馬脚を現すことになってしまった。
2011.12.25
ハエ(双翅)目糸角亜目カ科ナミカ亜科アカイエカというらしい。体長0.5センチメートル。
この季節になっても暖かい日は蚊が出てくる。
日中に寝室の窓ガラスに止まっていたのを捕まえる。腹が黒かったので血を鱈腹吸った奴だろう。
昨夜蚊に悩まされていたのだが、こいつではなかろうか。などと考えた。敵はとったというわけだ。
2011.12.20
ハエの口器は吸収式というのだが、どうなっているのか追求してみた。
注意して見ていると頭の下から伸びてくるものがあり、餌の表面に当て、せわしなく動かしている。
先端の舟型でため込んでいるのだろうなどと思って解剖したところ、二枚合わさっていて、それぞれにリング付きの細管が整然と並んでいた。
吸い込み箇所は多数ありますと言うわけだ。
(オリンパスBH-2)
1枚目
対物レンズ10X
暗視野
その他
対物レンズ40X
2011.12.15
MWSの「日本の宝石サファイア」を求めた。もちろん微少な石粒なので、顕微鏡の友だ。
産地は奈良県二上山付近穴虫地区だそうだ。天然サファイア10粒、水晶10粒とガーネット5粒が整然と並べられていた。
本家の写真には及びもつかないが一個のサファイアの写真を紹介しよう。
三角形はトライゴンと言うそうだ。分子が規則正しく並んで結晶になるらしいが、その一つの規則だろう。残念ながら知識がなく説明できない。理屈は抜きで造形美を鑑賞するのみである。
MWSの奥氏には感謝を捧げたい。珪藻にしても自作であの美しさは作ることはできない。氏の努力のおかげで僅かな費用で美しい世界が自分のものにできるのである。
2011.12.10
ハチ(膜翅)目細腰亜目スズメバチ科クロスズメバチのようだ。体長1.1センチメートル。
10月末に玄関のシャリンバイに飛んできたもの。この木には良く虫が飛んでくるし蜘蛛も沢山いる。原因がやっとわかった。沢山付いているアブラムシのせいだった。
クロスズメバチの目的はアブラムシの出す蜜を求めているのではないかと思うが、葉っぱの間をせわしく動き回っていたのだ。
スズメバチとは言え、小さいし、おとなしい種類らしいので安心して捕まえたのだ。かわいらしいものだった。
2011.12.05
前回のウリハムシのポーズを変えて描いてみた。
自然でこんな格好はあまりしないと思うが、ガラスの壁が手前にあるので前脚と中脚をガラスに当てて方向転換をしているところである。
頭と前胸を突き出したので、普通は重なっている前胸と中胸の外骨格が離れて柔らかい内皮が露出した。
たいてい白っぽいものだがウリハムシは外骨格と同じような色をしている。
オレンジ色の外骨格も内皮も、体の中の色をかなり反映しているようだ。
2011.11.30
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目ハムシ科ヒゲナガハムシ亜科ウリハムシでまちがいないだろう。体長0.8センチメートル。
玄関先のカラーの葉の裏にいたが、成虫で土の中で越冬して、春に産卵するそうである。越冬前のものかもしれない。ウリ科の植物を幼虫は根、成虫は葉を食べるので嫌われ者らしい。
1センチ以下の小さなムシなので、肉眼では赤っぽいだけでそれほど美しいとも思えないが、顕微鏡下ではガラスにオレンジで着色したような感じで実に綺麗なものである。
2011.11.25
ハエ(双翅)目短角亜目ハナアブ科ハナアブ亜科アシブトハナアブというらしい。体長1.6センチメートル。
今の時期でも昆虫は活動している。ハエやハナアブなど日当たりのよい場所を飛んでいる。花粉か蜜のあるところ、アブラムシが蜜を飛ばしているところなどに集まるようだ。
そんなところにはジョロウグモが巣をかけていて、沢山餌を食べているのだろう。この頃は見事な体になってきた。
食べるものあり、食べられるものあり、自然界は厳しい世界なのをつくづく感じるのだ。
2011.11.20
ハチ(膜翅)目細腰亜目アリ科ヤマアリ亜科サクラアリだと思う。家族を描いてみた。
女王は体長0.8センチメートル、雄は0.4センチメートルで働きアリは0.15センチメートルである。
働きアリは動いていないとまず見つからない。葉っぱの上を赤っぽい点が動いているのでやっと分かるのだがどこにでもいるらしい。
女王アリは何匹も右往左往している時期がある。胸部も腹部もぼってりして魅力を感じない形である。一方雄アリはすらりとしてアリらしくないスマートさである。
女王と雄は巣から羽ばたき交尾する。女王は翅を落として新しい巣を作り働きアリを産むわけだ。女王アリと雄アリは、以前捕まえていたものだが、この3種類が家族だとは思いもしなかったのだ。
2011.11.15
ツマグロキンバエというらしいが、ヤツデの花穂に群がって花粉(?)密(?)を食べていた一匹を捕まえて撮影した。
0.7センチメートルぐらいの小さな虫で肉眼では黒っぽく見えるだけであるが、実際はカラフルである。
ただ不思議なのは、複眼が実物と異なる色に写っていることである。
赤い縞に緑が一本混じっていて華やかなもので、こちらの絵は嘘をついたことになってしまうが、でたらめを描いたわけではない。
変哲もない複眼に横縞があること自体が不思議ではあるうえに、写真に撮ると色が変わるとは、ますます不思議なことである。小難しい光学を理解している人にとっては簡単なことかもしれないが、私には説明不能である。
下段は口器を伸ばしているところ。頭を上下させなくても摂食できる伸縮自在の口をハエは持っている。
色変わりの説明ができないお詫びのつもりで載せるのだ。
2011.11.10
個展の昆虫の細密画をみてヤモリの干涸らびたものを持ってくれた人がいた。
個展をした効用がさっそく現れたというわけだ。
頭蓋骨とか背骨とかが浮き上がっているので、ヤモリは脊椎動物なのが実感できる。昆虫には骨はない。
2センチぐらいで干涸らびて尻尾もなくなっていたので、ネットで調べて生きている時を想像しながら描いたが、子供のヤモリのようだ。
イモリは水の中にいて腹が赤黒のまだらになって気色悪かった記憶があったが、ネットではイモリとヤモリの違いを説明しているのもあった。それによると、イモリは両生類で皮膚呼吸をするのでしめった皮膚。ヤモリは爬虫類で肺呼吸で皮膚には鱗があるそうだ。確かに鱗におおわれていた。
指の先には一本爪があり、手のひらにあたるところは繊毛が数列並んでいた。これがあるので壁でも天井でも自由に動き回われるのだろう。確かに地上の生き物だ。
2011.11.05
人の動きを素早く写し取ることはなかなか難しい。
昆虫はなおさらである。
昆虫の微細な構造にこだわって写生してきたが、なんとか動きも捕まえたいとの思いが強くなってきている。
ボケボケの写真を見せられてものなぁーと言う声が聞こえてくるが、この形に顕微鏡で確認した微細構造をまとわせれば立派な絵になるという算段だ。
2011.10.30
絵を描くのはなかなかしんどいものである。
それだからと言うわけでもないが、ここのところ写真撮影に夢中になってしまった。
小道具をいろいろ工夫して、小さな箱に生きた昆虫を閉じ込めることができるようになったのである。
箱の側面を半透明の材料にして表面をガラスにしているのでなかなかいい調子で撮影ができる。
私の持っているコンパクトデジカメのマクロでは小さくしか写らないが、クローズアップレンズを使えば大きくなるのに気がついた。カメラは固定するので虫眼鏡でもいいのではないかと試してみたら結構大きく写った。
本格的なマクロ撮影の画像からすれば子供だましに近いが、生きた姿を写真に残せるのはありがたい。
デジカメは何枚でも撮れ、結果もすぐ確認できるので動き回る昆虫も数打ちゃあたるのである。
このハエはクロバエ科のケブカクロバエだと思う。複眼の間が開いているので雌だろう。ハエの同定はとっても難しく正式には交尾器を調べる必要があるなどと書いているサイトがあった。体長1.3センチメートル。
2011.10.25
動物も「けもの」と言うくらいで毛だらけだから、昆虫だって毛だらけでも不思議ではないとも言えるが、固い殻もあるのだからつるりとしてても良さそうなものだ。
そう思ってハエを見ると、堅くて長大なものがついているのに驚かされる。肉眼ではあまり感じないが拡大すると凄まじいものだ。
金属顕微鏡でさらに拡大すると、外骨格に丸い穴が開いて、そこから溝が刻まれた剛毛が出ているのが分かる。分かりづらいが、右側の丸くなっている写真は穴と外れた毛の根元が写っている。
全身に、さらに細いものがあり、下段左側の丸の中のように微少な毛がびっしりついている。いったいどういう意味があるのだろうか。
2011.10.15
子供の頃はハエは沢山いた。それも家の中を我が物顔に飛んでいた。蠅叩きは必需品だったものだ。
それが今では表はともかく家の中では滅多に見なくなってしまった。
今年は表でもハエをあまり見かけない。蚊もやけに少なかった。
福島から微粒子が飛んできて、雨と共に落ちてしっかり地べたに落ち着いているらしいので、そのせいかなどと気持ち悪くなるが真偽のほどを確かめるすべはない。
と思っていたら、ここ数日玄関の植え込みに大きいハエが飛んできた。
ハエは素早い。元気な奴は近寄っただけであっちへ行ってしまう。離れると戻ってきて憎らしい限りである。なんとか捕まえてやろうと粘った。
捕まえ方は背の高い透明のプラケースを上からかぶせるのだが、熟練してきているのでハエでも捕まえたことはある。
キンバエは僅かのところで入れ損ない、ふちで体をつぶしてしまった。翅が折れたり、脚が取れたりしたが、それをそのままスケッチしたのが上段の絵だ。
下のはヤドリバエと言うらしいが、きれいに捕まえたので、ガラスのふたをした小さな紙ケースに閉じ込めて観察する。
今回は撮影に挑戦してみた。
コンパクトデジカメのマクロ設定なので思うようには大きく撮影できない。それでも生きたままの姿を撮影できたので、単純に喜んで公開するのだ。
2011.10.10
ハチ(膜翅)目ベッコウバチ上科ベッコウバチ科ツマアカベッコウらしい。体長1.8センチメートル。
いつも見ている昆虫図鑑サイトでは見つからず「ハチ、尻赤」で検索したらたくさんあった。
もともと南方にいたハチだそうだ。関東地方まで暖かさにつられて北上したのだろうか。
ベッコウバチは蜘蛛を狩るハチらしいので、このハチもサイトの写真では蜘蛛と一緒のが多かった。
個展での反省で空間が感じられなくてはというのがあった。飛行しているのを下から見ているという想定で描いた。インチキであるが、空をパソコン上の処理でつけてみた。
まだまだですね。がんばらなくては。
2011.10.05
今回はハナアブの仲間の気管を紹介しよう。
体長1センチメートルほどのものであるが、腹部は黄色に黒の帯がはさまっていてなかなか綺麗なものである。
顕微鏡で見ると黄色く見えるところは外骨格が透けて中の様子が僅かながら見える。
下からの光を当てると網状に広がっているのが分かった。
腹部の両脇に気門があるのでここから出ているのである。
はじめは太くだんだんに細くなり酸素を必要とするところに伸びていくわけだ。
黄色と黒の写真までは去年の12月に描いたり撮影したものだ。
外骨格越しではぼんやりとしか見えないので、気管を取り出してきちんと見たいとは誰でも思うだろう。そこで、からからに乾いていた去年捕まえて保存していた標本を取り出した。
腹を開いて気管を見てみようというわけだ。
慎重に開いてみると、外骨格の裏側にぴったりひっついていたものがあった。それを横からの光で撮影したものが最期の写真である。
透明で蛇腹になった管であった。この形なら簡単につぶれないだろう。またしても昆虫の体はよくできていると感心させられたのだ。
2011.09.30
杉林は材木を採るために人工的に植えられたものだろう。
散歩の途中に放置されているとしか思えないところがある。嵐が来ると折れたりかしいだりしている。
だんだん空が広がって来るというわけだ。
そして山藤がはびこってくる。
そういうところをわざわざ描いているわけだ。
健全な精神とは言い難いが芸術とはそういうものだ。
・・・・・・・・などと開きなおろうではないか。
2011.09.25
24日は個展最終日だった。毎日行っていたが、台風の日もあり短かいながらたくさんのことがあった。
昆虫を大きく細かいところまで描いたので興味を引いたようである。表の看板をみて通りすがりの人も来てもらえたし、昆虫談義をしてしまうことも多かった。賑やかなものであった。
一方、私の絵を注意深く見続けていた人たちのなかには、がっかりしたと言う人もいた。厳しい意見だが素直に受け止めよう。
今回の個展で、小さいながら植物の絵も描けた。これから発展させられば前途に光明が見えてこようというものだ。昆虫も図鑑的でなく絵画の内容をもったものを描かなければとの思いも出てきた。一週間もまれた結果である。後は成果を出すだけだ。
2011.09.21
メダカを飼っている水鉢には水草もある。
咲いているのは小型の蓮の花。上に伸びているのはオモダカというそうだ。旅行したときに妻が採ってきたもので園芸種ではないのだそうだ。
鉢は描かずに水草だけを描いてみた。
個展の出品作だ。
2011.09.15
メダカを飼っている水鉢から藻などを採ってくると生き物がいろいろいる。今回は生きた珪藻と球体で良く動いていたものを取り上げよう。
球体のものは植物プランクトンか動物プランクトンかも分からんと言うふがいなさであった。
珪藻はゆっくりと動き、ときどき体を捻る。楕円形が長方形になったりその逆にもなる。
何度見ても同じ種類だという気がしない。斜めから見た立体をすぐには思えないからだろう。
褐色の細長いものが葉緑体だそうだ。これがあるので光合成で酸素を出す植物になるというわけだ。動くものは動物。動かないものは植物と幼い頃にならったが、世の中はそう簡単なものではなかったのだ。
ハネケイソウ(ピンヌラリア)属だとおもう。 (オリンパスBH-2、対物レンズ40X)
2011.09.10
19日からギャラリー惣で個展をします。
昆虫のスケッチをずらりと並べて、間に樹木の油絵を入れるとおもしろいとの勧めがあったので、ホイホイと話しに乗ってしまいました。
自分の絵は自分ではなかなか分からないものです。公の場所で他人の厳しい批評の目で見てもらうと勉強になります。また、 ずらりと並んでいるのを一週間見続けると見えてくるものがあります。
今は闇の中にいる状態なので、これを機会に展開してくれることを願っています。
2011.09.05
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目コガネムシ上科クワガタムシ科クワガタムシ亜科ノコギリクワガタでまちがいないだろう。体長4.8センチメートル。
クワガタの幼虫は、針葉樹が腐朽したものを食べる褐色腐朽材食性と、広葉樹が腐朽したものを食べる白色腐朽材食性などがあるそうだ。
褐色腐朽材食性のものは褐色腐朽材だけを食べ、白色腐朽材食性のものは褐色も白色も食べられるらしい。
褐色腐朽材食性のクワガタは進化の古い型だそうだから、針葉樹しかない時代に生きていたのが現代まで生き延びてきて、広葉樹が出てきたときに、進取性のあるものは新しい餌を開拓し、より大きくなり、より栄えたということらしい。
広葉樹はジュラ紀の頃出現したらしいから、恐竜のいた時代だ。昆虫はとっても古い生き物だというのが実感できる話だ。
2011.08.30
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目ハムシ上科カミキリムシ科フトカミキリ亜科ラミーカミキリでまちがいないだろう。体長1.3センチメートル。
家の周りで捕まえられる昆虫は小さなものが多い。見栄えのするものがいるかもしれないと散歩をかねて石切場の方へ出かけた。
ラミーカミキリはたいてい平べったい葉っぱの上にいるものだが、茅の中心にしがみつくようにしているのがいた。プラケースで挟み込んだが動かない。あれっと思ったが死んでいた。セミの抜け殻じゃあるまいしというところだが珍しいことがあるものだ。寿命が近づき動けなる直前に茅につかまったのだろう。そしてそのまま息絶えたがアリなどの餌食にならなかったとみえる。
前回の蚊は、スケッチするときは外骨格が潰れたりしてかなり記憶に頼らざるを得ないのでリアルさが欠けてしまう。不満が残ったので今回はそのままスケッチすることにした。付足の3カ所がとれてしまっているがご愛敬である。
2011.08.25
ハエ(双翅)目糸角亜目カ科ナミカ亜科ヒトスジシマカと言うようだ。体長0.5センチメートル。
ヤブ蚊と言われているものだろう。黒白の蚊でたいてい表にいるものだ。
今年は蚊もハエも、昆虫そのものも少ないような気がする。
蚊に悩まされないのは結構なことだが、放射能の影響かもしれないなどと考えてしまい気持ちが悪くなる。
2011.08.20
カメムシ(半翅)目ナガカメムシ科オオモンナガカメムシと言うようだ。体長1.2センチメートル。
先日銀座に出かけたが、看板に惹かれて入った画廊で鉛筆画や銀筆画を見た。
どちらも手練れの細密画で、うならされてしまった。
ペン画でも、インクの濃淡で強さの調節は可能だが鉛筆の自在さには及ばない。しかし鉛筆は力強さに欠けると思っていたが、勘違いだった。
微妙な濃淡の変化と力強さをもつものを目の前にして、鉛筆画に挑戦したわけだ。ミーハーなことで、結果は色がなくて寂しいねと言われそうだ。
2011.08.15
セミ(同翅)目頚吻亜目セミ上科セミ科ミンミンゼミでまちがいないだろう。体長3.6センチメートル。
絵の才能を持つ人は何の苦労もなく素早く描き上げることができるのだろうが、私の場合は七転八倒をしてやっとこさできあがる。
セミのようにずんぐりとしているものは、正確に形を追わないと妙ちくりんなものになってしまう。
鉛筆の下書きをさんざやって、ペンで墨入れをしてパステル調の色鉛筆で彩色して完成だが、疲労感だけが残った。
ま、なにごとも勉強である。
2011.08.10
ハエ(双翅)目短角亜目アブ下目ミズアブ上科ミズアブ科アメリカミズアブというらしい。体長1.7センチメートル。
黒い体に焦げ茶の翅で飛んでいたので地味な虫だなと思った。 実体顕微鏡で覗いてみれば、あっと驚くきんきらきんで模様入りの複眼だった。
腹の一部も透明だったし、触角は平べったい不思議な形のものだった。
ネットで調べると、外来種だった。しかも、ゴミ置き場にたむろする嫌われ者だった。
幼虫はウジとなって、食べ物を腐らせながら食べるのか、腐った食べ物でも平気なのか分からなかったが、大量に発生すると臭いも相当なものらしい。ウジとなって不潔なところで幼虫時代をすごすので嫌われるのももっともであった。
親はなにを食べているのだろう。花粉かもしれないと考えた。そうであればゴミに近づくのは産卵するときだけでいいわけだ。普段はきれいなところでせっせと配偶者を捜せばいいのだから。などと、嫌われ者に好意的なことを考えてみたが、きれいな複眼に惑わされたのだろう。
2011.08.03
前回に色を着けたもの。
BSドキュメンタリーの再放送で「森を追われたオランウータン」をみる。熱帯雨林でオランウータンの母子がのんきに暮らしている様子から始まる。解説も音楽もなく淡々と写しているだけである。
広い部屋に保護されているオランウータンが写る。点滴を受け死んだような目をして横たわっている。若い人が世話をしている。マッサージをされてもおとなしくされるままにしている。
ジャングルの大木が切り倒される。トラックで運ばれる。製材される。製品となって出荷される。売り場が写される。
椰子の苗木が大規模に栽培されている。森が丸裸にされる。椰子畑ができる。椰子の実が収穫され工場に運ばれる。搾られて椰子油の製品になり売り場に並べられる。消費を讃える歌が流れる。
広大で荒涼とした大地に大木がただ一本、僅かな枝を残したのみで立っている。なにか動くものが見える。チンパンジーの母子であった。 作り始めた椰子畑に泥まみれになったチンパンジーがいる。作業員に捕まりバックに入れられトラックの荷台で運ばれる。
また病室が写る。いっそう弱っているように見える。何ともうつろな目だ。二人がかりでベットの位置を変える世話をする。若い人が食べ物を口に持ってくる。全く受け付けない。
死んでしまう。黒い袋に入れられ運び出され番組は終わる。
解説も音楽もなかったが悲しみが私の体にしみこんだ。2009年のフランスのドキュメンタリーだった。
2011.07.30
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目コガネムシ科ハナムグリ亜科コアオハナムグリと思う。
体長1.5センチメートル。
絵を描くのはなかなか難しい。白黒だけの絵でも、筆とペンあるいは鉛筆では感じが異なってくる。
インクとペンを使うと上記の絵のように昆虫の細部まで描き込める。これから明暗を点や腺で描き加えていくと、かちっとしたリアルさが増していくと思う。
2011.07.25
ハチ(膜翅)目細腰亜目アリ科ヤマアリ亜科トビイロケアリの雄と思う。体長0.35センチメートル。
7月に入って蜘蛛の糸に絡んでいたのを見つけた。その前にも同じ状態のがいたからこの時期に出てくるものだろう。ミリ単位のものなので肉眼では黒っぽい点に白い翅が付いているようなものだが、拡大すると体はアリそのものである。
翅があるので雄ではないかと思う。調べるとケアリ類は7,8月が結婚飛行の時期だそうだから時期は合う。
この虫は非業の運命にあったせいか、お尻の中身が丸出しになったようだ。左右対称で突起物が出ていた。
2011.07.20
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目ハムシ上科ハムシ科イタドリハムシと思う。体長0.7センチメートル。
背中にオレンジの紋をしょってちょこまかと動いているのを見かけると、春になったなあ・・などと思ったイタドリハムシである。
こいつは7月に玄関先の植え込みを2匹でうろついていた。紋は黄色というか、カーキ色というか地味なものであったが、オレンジだけでなく変化をするらしい。色がそろっているところを見ると、成虫で越冬をするらしいので今年生まれた兄弟だったのだろうか。
2011.07.15
ハエ(双翅)目短角亜目アシナガバエ科ヒゲアシナガバエ亜科マダラホソアシナガバエというらしい。体長0.6センチメートル。
ハエとついているがアブの仲間らしい。葉っぱの上をぴょんぴょんと飛びまわっている。
金属光沢の細長い青緑色のボディーに模様の付いた翅をハの字型に開いている。脚は長くて体の下に伸ばしているので、葉っぱの上に浮かんでいるような具合だ。
小さなもので目立たないが、光を受けるときらりと光る。美しいものである。
アブラムシ、アザミウマ、ダニなどが餌だそうだ。吸収式の口器でどうやって食べるのだろう。丸呑みするのだろうか、不思議だ。
2011.07.05
甲虫(鞘翅目)目オサムシ亜目オサムシ科アオゴミムシ亜科なんとかアオゴミムシとかいうようだ。毎度のことであるが同定は難しいということだ。体長1.3センチメートル。
これも隠岐土産。ゴム引きの手袋をして草むしりを手伝った。終わってから手袋を洗い、物干しに干した。その手袋の中にこの虫がいたのだ。
オサムシ達は、翅も退化して地べたをうろうろしているものと思っていたので意外だった。わざわざ物干しの支柱をよじ登ってきたとしか思えない。そんなことがあるだろうか。
しかしきれいな虫だ。光り輝く緑の頭と、金色の胸、落ち着いた黒の胴と三色の組み合わせは豪華なものだ。これが描けると文句はないのだが、甘くはなかった。
2011.06.30
「あれこれ38」で蚊の口器を取り上げた。その当時は知識がなく、ぎざぎざの付いた刀状のものに驚いただけであったので、知識を増やして再挑戦である。
実体顕微鏡下で、捕まえた蚊を口器のところを切り離してスライドグラスの上に置き、慎重に吻を広げるのだが、小さいもので難しい。失敗の連続だったが、やっとそれらしくできた。
絵のようになったので、生物顕微鏡と金属顕微鏡で観察した。
血を吸い上げるのは上唇で管状である。確認できなかったが縦に切れ目が入っているそうだ。先端は鋭く溝などもあり複雑だった。
小顎と大顎はぴったり付いているようだ。二組あるが一組の先端だけが分かれた。
これも複雑な形をしている。
筋肉はどこに付いているか定かではないが頭の中にガッチリ付いているのかもしれない。この筋肉で吻を前後に動かし、皮膚を切り裂き、突き刺すのだろう。
小顎は上唇とは別々の動きができるそうだから、切り開いて突き刺すを繰り返してスムーズに目的の血管に達するのだろう。
他に唾液を出す下咽頭がある。細長い布の真ん中に管を置いたような形をしていた。唾液はかゆみの元になるそうだが、血液を凝固させない働きがあるそうだ。
昆虫の体は知れば知るほどすばらしい。
これらがどう組み合わされているかは確認できなかった。記載した断面図は調べたものを引き写しただけで、なんとか確認したいのだが、至難の業である。
BH2は生物顕微鏡。透過照明。
OPTIPHOTOは金属顕微鏡。落射照明。
小顎の一枚を除いて深度合成。
2011.06.25
ハチ(膜翅)目細腰亜目アリ科ヤマアリ亜科クロオオアリで間違いないだろう。
体長1センチメートル。隠岐土産である。
体の前半は筋肉が充填されているので、大型の大顎は強靱な咀嚼力があり、長く伸びた脚は強力な移動力とを持つ。後半は消化器官が効率よく納められている。酸素は節々にある気門から効率よく送り込まれ、激しい運動にも耐えられる。
このアリは無駄のない効率的な形態だと思う。スマートだなと思いながらスケッチした。
2011.06.20
ハチ(膜翅)目細腰亜目ミツバチ上科コシブトハナバチ科クマバチ亜科クマバチで間違いないだろう。
体長2.5センチメートル。玄関のシャリンバイに飛んできたところを捕まえた。
黒と黄色の大型のずんぐりしたハチで迫力十分だった。クマンバチとか言われて獰猛な印象があるらしいが、実際は、花粉食の穏やかな性格で、木に穴をあけた巣で単独生活をしているそうだ。
2011.06.15
ハエ(双翅)目短角亜目クロバエ科クロバエ亜科オオクロバエというらしい。体長1.2センチメートル。
ずんぐりとしたハエらしいハエである。
肉眼では、ほとんど黒であるが、実体顕微鏡で見ると結構色がある。
ハエは全身毛だらけで、太くて長いものが多数あるが、そのほかに細かくて短いものもそれ以上に全身を覆っている。 この密集した細かい毛が黒く見える原因のような気がしてきた。反射防止繊維のように光を吸収してしまうというわけだ。
2011.06.10
妻の実家は島根県の隠岐の島である。
5月末からしばらくいたが、のんびりしてしまい絵もろくに描かずじまいであった。
僅かに描いたのが左の2点というわけだ。
島は山並みが続き緑豊かであった。開けたところも多く水田もあちこちで見られた。道路や港湾施設も整備され、民家も大きな立派なものが多く、豊かな島のゆったりとした暮らしぶりを思わせた。
一方、往き帰りの東名高速道路では、100キロの速度でも車間をとらず密集して走っている集団をいくつも見た。一台転けたら追突の山になるが、そんなことは絶対に起こらないと思っていて、すこしでも前に出たいのだろうなどと考えた。
田舎でのんびりした後だったので、なんとせかせかして危ない世界に住んでいるのかと恐ろしい思いをしたのだ。
2011.05.25
福島原発からの放射性物質は真鶴にもかなり落ちてきたのが真鶴茶の汚染で明らかになった。横須賀の線量が低いのでたいしたことはないと思っていたが、福島から飛んできたものが箱根にぶつかって麓に落っこちたと言うことらしい。次から次に落っこちたのだろう。
MWSさんの解説によると、そうやって貯まった放射性物質が土にしみこんで、それをお茶が取り入れ濃縮した結果、規制値を超えたらしい。
真鶴でさえこうである。福島の汚染は計り知れないものがあると恐怖を感じた。生活を根こそぎ奪われた人たちはどうなるのだろう。再起を祈るばかりである。
写真の右上はコバンケイソウ(スリレラ)属、横からの光があるので立体感がでてくるし、輝いた感じもあって美しい。いやな思いをしたときは美しいものを見るに限る。
(オリンパスBH-2、対物レンズ40X)
2011.05.15
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目ハネカクシ上科ハネカクシ科のなんとかと思う。体長0.5センチメートル。
ウィキペディアによると、二億年前の化石が知られている古い昆虫で、1mm未満から数cmの大きさがあり、種類数、生態共に多様性があるが研究は進んでいないとあった。
長い時間をかけてあらゆる試みをしながら進化してきた昆虫だろう。絵に描いたのは、翅が未発達だと原始的だが、退化したとすると進化が進んだものとなるのだろうが、美しい姿ではないから原始的だろうなどと想像したのだ。
2011.05.10
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目ゴミムシダマシ上科アカハネムシ科アカハネムシなんとか、あるいはなんとかアカハネムシとかいうようだ。細かい違いのものが多いらしくて同定は難しいらしい。体長1センチメートル。
幼虫は腐敗した木材が餌らしいが、成虫の餌は分からなかった。そのかわり、赤い翅で体が毒のペニボタルの擬態をしているとの記事がたくさん出ていた。鳥などの捕食者に私を食べると毒ですよと言っているらしい。
触角が戈みたいに枝があるのが珍しかった。甲虫だが外骨格は柔らかいし、触角も良く動かしていたから用心深い弱い虫なんだろうなと思ったのだ。
2011.05.05
前回のウスイロクビボソジョウカイをもう一度捕まえようと同じ場所に行った。なんと、赤黒いものがジョウカイを捕まえていた。
口吻を外骨格の隙間から差し込んで体液を吸っていたが、ひとしきり吸うと、獲物をくるくる回して吸う場所を変えた。
脚の関節の隙間に口吻を入れたときに、さらに細いものが奥深く入っていったのが透けて見えた。口吻は二重構造になっていたのだ。
気色の悪いもので恐縮であるが、これも自然の摂理である。自然界は食いつ食われつなのであった。
この虫は、カメムシの仲間でシマサシガメの幼虫らしい。ネットに写真がかなりあった。違う種類だが刺されると飛び上がるほど痛かったなどと言うのもあったので、サシガメは危険な種類のようだ。
見るからに恐ろしげであり、レンズを向けるとにらみ返すようにこちらに向きを変えてくるふてぶてしい奴でもあった。
2011.04.25
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目ホタル上科ジョウカイボン科ウスイロクビボソジョウカイのようだ。
体長0.7センチメートル。
草の上にいたものを捕まえた。葉の裏表に限らずちょこまかと歩いていたが、捕まえようとすると体を斜めにしてヨタヨタとした感じで飛んだ。細長い体つきで中胸部から後ろが大きいし、後翅だけで飛ぶせいだろう。
上顎が鋭く肉食のように思えたが、ネットで調べると、花粉と小動物とあった。
昆虫の複眼の見え方は同じものをいくつも見ているのではなく、重なりはあるかもしれないが部分を連ねて動きを感知しやすくなっているらしい。
アブラムシなどを食べているらしいとあったが、じっとしているアブラムシを目でははっきり捕らえられないので長い触角が必要になったのではなかろうか、などとまたしても無責任に考えたのだ。
2011.04.20
半翅目カメムシ亜目イトカメムシ科イトカメムシのようだ。体長0.7センチメートル。
4月11日に玄関の水鉢で溺れていた。去年の4月にも捕まえたので今の時期に出てくるみたいだ。
草むらに糸のようなものがスローモーに動いていたのを初めて見たとき、え!こんな生き物がいるの。
と驚いたものだ。
長い口吻なので植物の汁を吸うのだろうが、ネットで調べるとアブラムシを捕獲している写真があった。
見るからに弱々しい虫なのだがアブラムシの幼虫にすれば巨大な虫ではある。
2011.04.15
昆虫の脚は摩訶不思議である。どんなところにも止まれる。逆さだって平気だ。
というわけで、ハエの足先を拡大した。
物の本によるとハエの脚先は爪と褥盤のセットになっていて、褥盤は袋状で細かい腺毛があり、先端は粘着性があるとありました。
ハエを捕まえて死ぬと縮こまってきます。褥盤も平らなのが丸まってきます。写真を撮ったときはそんな状態だったので生きているときと少し違いますが、腺毛の様子は変わっていないと思います。
40Xで撮影しているのでピントの範囲が狭くて分かりづらいですが、腺毛の先端はお椀のようになっているとも見えます。
粘着性の秘密はこの先端にあるようですが、私の力ではここまででした。残念。
2011.04.10
甲虫(鞘翅)目カブトムシ亜目ハムシ上科カミキリムシ科フトカミキリ亜科リンゴカミキリのようだ。
体長2センチメートル。去年の7月に庭の枝垂れ桜に来たところを捕まえた。飛び方は不細工なものであつた。体は斜めになっているし、上翅をハの字に開いて下翅をバタバタやっていた。
植物が餌で、幼虫はバラ科の枝の中で蛹となるそうだ。成虫も若枝とか葉を食べるらしい。胴と腹部が長いのはそのせいだろうか。
甲虫でも頭は頑丈そうだが、腹部は柔な感じである。
附節は鋭い爪と、3ヶのブラシ状のものからなる。ブラシの毛の先は40Xでも詳細は分からないが、吸盤的なようにも見える。凸凹したところには爪で、つるつるしたところにはブラシの毛で吸い付くようで、どこにでも止まれるらしい。
2011.04.05
ハチ(膜翅)目細腰亜目アシブトコバチ科キアシブトコバチのようだ。
体長0.5センチメートル。去年の12月に家の庭で捕まえた。成虫はなにを餌にしているか分からなかったが、幼虫は蝶や蛾の蛹に寄生するそうだ。
この虫の特徴は後脚の腿節の異様な大きさだろう。長さはそれほどでもないが、とにかく太い。それに、基節と脛節がピタリとくっつくようになっている。
飛び跳ねるのに便利な形態だが、翅があるのでその必要はないだろうから、蛹に卵を産み付けるときにお尻を自在に上げ下げする為だろうか。などど考えた。
2011.03.30
コウチュウ(鞘翅)目オサムシ上科ハンミョウ科コニワハンミョウかトウキョウヒメハンミョウかもしれない。ハンミョウだけは間違いないだろう。体長1センチメートル。
去年の6月に家の裏で捕まえた。近づくと跳ねて逃げて捕まらないが、幸運にも捕まえられた。
あるネットによると、ハンミョウの幼虫は地面に穴を掘って、穴の上を通る生き物を餌とするそうである。気長に待たなくてはいけないわけだ。
良くしたもので長く食べなくても平気だそうで、蛹になるまでの時間は餌次第だそうである。
そこまで読んでふと疑問がおきた。子孫を残すには配偶者を見つけなければいけないが、成虫になる時期がずれるのはまずいのではないだろうかと。
しかし、この虫は獰猛な感じがするし、成虫になってからは餌には困らないような気もする。寿命が長いので求婚期間は長いのかもしれない。
2011.03.25
コウチュウ(鞘翅)目コガネムシ上科コフキコガネ亜科クロコガネらしいがスジコガネ亜科のヒメコガネのようにも思える。体長1.6センチメートル、中ぐらいの大きさか。
甲虫とはよく言ったものである。全身を強固な鎧兜に覆われている。
脚も、同様にガッチリした物だが、附節は細かく5ヶにわかれ、爪先は4ヶの鍵になっているので複雑な形の物でも自在に動ける能力は確保しているようだ。
防護力と機動力を併せ持った強力な昆虫なのだろう。栄えるはずである。
2011.03.20
今朝のニュースでは電源の一部回復もあり、使用済み核燃料保管プールへの放水もできて、なんとなく原子炉をなだめられたかとの感じがありましたが、午後には2号機の原子炉内の圧力が上がっているので放射能を含んで排気し減圧するとの発表があり、まだまだご機嫌斜めなのでした。
放射性物質の拡散は注意するようにとあちこちのサイトで言っていますので、茨城県が公表している北茨木市の放射線量をグラフ化してみました。
日頃見ているMWS本日の画像にでていた避難の目安は、11.4マイクロシーベルト/時ですのでまだ余裕がありますが、放射性物質の飛来と思われるピークの後はレベルが上がっています。三浦半島などはナノのレベルなので今のところは安心です。
しかし、文部科学省の発表した福島第一原子力発電所周辺のモニタリング結果を見ると、100マイクロシーベルト/時を超えているところもあります。
やはり恐ろしい事故なのだと身に染みます。
原子炉のご機嫌が直ることを祈ってやみません。
2011.03.15
ハチ(膜翅)目ハナバチ上科ミツバチ科マルハナバチ亜科トラマルハナバチらしい。体長2センチメートル。
ありふれた昆虫のはずだかネットの画像でぴたっと合うものはなかった。同定することの難しさを感じるのだ。
東北関東大震災の被害の大きさや福島第一原発の刻々の変化に深い悲しみがおこり、サイトの更新どころではないが、嘆くばかりではいけないと更新しました。
2011.03.10
珪藻の絵を描くと見た人はこれは何ですかという。
それで、単細胞の植物プランクトンです。などと説明することになる。
自分も珪藻を識ってから2年ぐらいしかたっていないので偉そうなことは言えないが、関心を持つようになったのはMWSのプレパラートに出会ったのが大きいと思う。
今回は、プレパラートと、顕微鏡を覗いたときどう見えるかを示そう。
プレパラートは海産で大型のものを集めたもの。形の変化も多くて華やかなものである。ただし肉眼ではわずかに点が見えるだけである。
接眼レンズ10倍、対物レンズ10倍にすると100倍になるが直径2ミリメートルの範囲が見える。多くの珪藻が散らばっている。ここから目当ての珪藻に行くわけだ。
対物40倍になるとグンと大きく見えてくる。ピントの合う範囲が狭いので、ピントの合っているものや合わないものやいろいろである。微妙に合わせていくのが楽しいものである。
これで結構満足できるのであるが、つぎの対物100倍は別格だと思うのだ。
細かいところがかなりわかり迫力と実在感が増してくるのだ。しかし難しい世界でもある。顕微鏡上級者は、私では見えていない小さい胞紋まで見えるそうだから驚きではある。
なんとなく様になっている画像であるが、デジタルは怪しい世界でもあることを白状しておこう。
MWS本日の画像で明視野画像を反転して暗視野にする方法がでていた。10Xの暗視野はそれを真似した。背景の照明斑はデジタル処理でなくしてある。100Xの背景も汚れを処理してすっきりさせた。
写真より実際見ている方がはるかに美しいので、つい化粧をしてしまったというわけだ。
2011.03.05
今日はアブラムシと寄生蜂の話だ。
アブラムシの幼虫はのんきに草の汁を吸っている。平和なものである。
そこへ天敵が現れ卵を腹の中に植え付けられてしまうのだ。
卵は孵って、まず命にかかわらない生殖組織などを食べ、最期に命がなくなる組織を食べるそうだ。アブラムシが死んだら底を食い破って葉に固定させる、そうなると、ぱんぱんにふくれて、じっと葉に止まっていることになるのだ。
う−−−ん、よくできている。時間をかけて食べられるし、地面に転げ落ちてアリなどの餌食にならずにすむ。
そして、お尻を丸く食い破ってハチが出てくるわけだ。
上のアブラムシは犠牲になったものと違うが、下のものを見つけて密閉容器に入れていたら最下段のハチが出てきた。体長2ミリ、アブラバチと言うらしい。
2011.02.25
昔使った生物の教科書にでていたカイチュウの構造図を模写した。
カイチュウは糞尿の肥やしで育てた作物を食べてた世代には有難くない生き物である。
カイチュウが属する線虫(線形動物)は寄生するものばかりとのイメージがあったが、どうもそうでないらしい。
水中や土の中にもたくさんいて、つまりどこにもたくさんいて、細菌などを食べて自由生活をしているのがメインらしい。
C.エレガンスというしゃれた名前のものもいるそうだ。
体長1ミリメートル、細胞が1000個ぐらいしかないのに、消化器官、神経、筋肉、生殖組織など動物の基本的な構造がそろっているのだそうだ。
体は透明で、それぞれの細胞が特定されており、神経回路はテータペース化、ゲノムも解読されて、発生の様子や神経の働き方遺伝子の解明など、29 最新の生命科学の強力な実験材料なのだそうだ。
嫌われ者変じて大変な孝行者になってしまったわけだ。
写真に撮ったものは、それより小さくて0.2ミリメートルしかなく、メダカを飼っている水鉢の水中にいたのだ。
シャーレにとりわけて実体顕微鏡で見ると、くねくね動いてどうも気持ち悪かった。
100円ショップで仕入れた注射器でスライドグラスに移して40xで覗くと口とか食道とか見えた。
体の後ろに色のついたものがありなにか疑問だったが卵巣だったのだ。
この量の多さはまるで子孫を残すためだけに生まれきたかのようだ。
(オリンパスBH-2、対物レンズ40X)
2011.02.20
昨日は隗展の仲間が展覧会をしているので銀座に見に行った。
反省会をしたので帰りは遅くなった。東海道線の車両は3両目だったので二宮辺りになると乗客が4人になった。自分は飲んでいたので半睡半醒だったが、他の人は皆寝ていた。
おもわず、うふふになってしまった。久しぶりの車内スケッチである。
藤沢か平塚辺りで乗ってきたのではないかと思う外人さんがいた。ジーパンのラフな身なりで荷物も持たないので日本に住んでいるに違いないが、髪もひげもラフな感じで、衣類も金がかかっていないし、寝顔も幸せそうなものではなかった。
しかし理知的で風情のある人だったので、現代社会を憂えているインテリだろう。などと、またしても勝手な空想を巡らしてしまったのだ。
2011.02.15
ハチ(膜翅)目アリ科フタフシアリ亜科アミメアリ属アミメアリで間違いないだろう。
体長2.5ミリでごくごく小さい。道路の端を列をなして歩いているのをよく見かける、ごく普通のアリである。
しかし、拡大すると、え ! こんなに複雑なのと、美しいとは言えないものの楽しめるのだ。
前回のもフタフシアリで肉眼では区別がつきにくいが、拡大するとずいぶん違うのがお分かりいただけると思うのだ。
2011.02.10
絵は構図が大切だ。白の画面にアリ一匹だけを描いてみても、部分だけを切り取るやり方もある。 あれこれの2010.07.30掲載のアリをPC上で試してみた。
紙に手書きだと訂正は難しいがPCではいくらでもできる。きりなくやってしまいなかなか決まらなかった。安易にできることは、実は問題があるという気がしてきた。
2011.02.05
MWS(ミクロワールドサービス)の珪藻プレパラートに南極のものがある。
丸いものや舟型のもの、棒状のものなどいろいろなものがあった。
丸いものを詳しく見てみると、穴の周りが、がさがさで崩れていてどうも風化しているようだ。
海底に降り積もった珪藻遺骸とあったが、現世のものだとばかり思って覗いたが、舟型のなどはきれいなのもあるので風化の程度はいろいろあるということだろう。
これは100倍の対物レンズで撮影した。
レンズと検体の間はほとんどくっついているのだが、5φのLEDライトをレンズの先端横にくっつけるようにして無理無理照らしてみた。
すると、金色に輝いて見えたので吃驚したのだ。
(オリンパスBH-2対物レンズ100X油浸)
2011.01.25
ダニは脚が8本あるので昆虫ではないが似たようなものではある。
血を吸っていないときは体が平べったいので、顕微鏡で覗くと体の中の様子が分かった。
体の両脇に丸いものがあり管がたくさん出ていた。
さらに拡大すると、蓮の実に細根がついているような形である。
哺乳類の呼吸は口から息の出し入れをするので、他の生き物も同様だと、何となく思っていた。
そうではありませんよとはっきり言われてしまったような気がした。
気門と気管に違いない。
(オリンパスBH-2
対物レンズ4Xと40X)
2011.01.20
数年前BSで木下恵介や成瀬己喜男特集があった。高峰秀子がたくさん出ていて、いい女優だなと感心した。
随筆も書いているのが分かったので、真鶴図書館の蔵書以外は、提携している図書館から取り寄せもして読んだ。
それによると、死んではいるが自分の中では生きているので墓参りをしない人が二人いるとのことであった。画家の梅原龍三郎と映画監督の成瀬己喜男だそうだ。
高峰秀子が梅原龍三郎のモデルに初めてなったとき、表向きは売れっ子の女優らしくしていたが、内面は精神が壊れそうな状態だったそうだ。できあがった絵はそれがそのまま表現されていたので、見抜かれていたのかと仰天したそうだ。
成瀬己喜男と高峰秀子の組み合わせは「浮雲」がピカイチらしいが、難しい作品できちんとできるとも思えなかったが、自分のできる、ありったけの顔を出してへとへとになったと書いていた。
成瀬は高峰と、彼女一人だけを白バックで撮影する映画を作る約束をしたそうだ。
成瀬の死の直前、最期の見舞いをして病院の出口を出たところに、成瀬が追いかけてきて、退院したら約束した白バックの映画を撮ろうねと言ったそうだ。それを聞いて、戻って抱きしめたい衝動に襲われたそうだ。
読んでいたこちらも思わずジンとしてしまった。
映画の1カットから肖像を描いた。はじめは筆と墨で4枚ばかりやってみたが全然似てこない。それではと鉛筆に変えたが、これまた似なかった。恥ずかしながら苦労の跡を見て下さい。
高峰秀子さんは去年の12月28日に亡くなられました。ご冥福を祈ります。
木下恵介監督「永遠の人」から模写しました。
2011.01.15
同一人物であるがイメージが違い過ぎるといわれそうだ。
悪ガキなのか、すましやなのか、あるいは全く似ていないのか。
絵で実際の感じを現すのは至難な技である。
2011.01.10
朝のテレビドラマで「ゲゲゲの女房」が人気だったが、少年時代に貸本漫画のファンだったことを思い出した。
水木しげるは鬼太郎の前に戦記物を多く描いている。リアルなもので私はファンだった。
その中に坂井三郎がラバウル、ガダルカナルの往復8時間半を奇跡的に生還する話があった。
頭部に銃撃を受け、半身不随、不完全な視力になり、もうろうとして海面すれすれに背面飛行している場面が見開きで大きく描かれていたのが印象的だった。それを思い出しながら描いたが、記憶の彼方にあるので、どこまであっているかは定かではないが、日中にかかわらず暗い画面だったような気がする。
真鶴図書館に、坂井三郎著「大空のサムライ」があった。借りて読む。あとがきに「空戦に学んだ自己統御」があった。戦闘機操縦者には、第一に優秀な視覚。第二に瞬間的な判断力とその行動力。第三に一点集中は許されない。第四に最後の頼みは自分だけの覚悟が必要。・・と考え、そのための訓練を常に行った。そして、昼間の星をみれるようになり、文章を読みながら計算ができ、トンボやハエを素手で捕まえ、町を歩いていてあちこちの看板を瞬時に見分けられるようになった。最期のがんばりは、長距離の水泳、長時間の逆立ち、そして、2分30秒の息止めができるようになった。苦しい試練だったが我慢して乗り越えたというのである。自分は平凡な人間だが努力してできるようになったと。
氏の言葉を引用すると「私は思う。普通の人間といわれる大部分の人たちが、果たして生まれてから自然に死んでいくまでの長い期間に、自分が持って生まれた人間としての性能の何パーセントを使って、この世から去って行っているのだろうか・・・と。私は、平均三十パーセントくらいだとかんがえている。あとの七十パーセントは捨てているのである。」
これって絵を描くのも同じだよなと反省させられた。苦しくなるとすぐにあきらめてしまう。がんばれば開けるのに我慢できない。そんなおまえは人並み以下だよと叱責された気がした。
2011.01.05
珪藻の絵を出したので、顕微鏡写真をだそう。
MWSのプレパラートはいろいろの種類がある。これは、教育用として廉価に設定してあるそうだ。鉱物の欠片が結構あったりするが、ごちゃごちゃとたくさん珪藻が入っていて、見ていて楽しいものである。
今回は、同じところを撮影しているのだが、違いがおわかりだろうか。
下段は通常の照明法で真下からのみ、色が緑色なのは、緑のLEDを使っているから。単色なので、色のにじみがでないのと、長く見ていても疲れが少ないそうだ。
上段は斜めからの光が入っているので、影がついて立体感が増して細かいところがよりよく分かる。
最初これを見たときは、お椀を普通においたように見えたが、見方によってはお椀を伏せたようにも見える。左からの光とみるか、右からの光と見るかの違いだが、どっちかは判別できないということらしい。
顕微鏡の世界は、普通の大きさのものを肉眼で見る世界とは違うということみたいである。
(オリンパスBH-2、対物レンズ40X)