あれこれ、日々に感じたことを書いていきます。

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2014.12.30

あれこれ392

図はオリンパスSZH、昭和59年に発売。当時のトップ実体顕微鏡。
シマズの固定倍率の実体顕微鏡にもの足らなくなった頃、ネットで中古の顕微鏡屋さんを良く覗いていた。
そこに、これが出ていて値段を問い合わせたが24万円ぐらいで趣味の昆虫のぞきやさんには売りたくないような気配のある返事をもらい、もっともなことで、又、手が出せる値段でもないので諦めたことがある。
物作りが廃れている悲しい現実の現れかもしれないが、ここのところネットオークションで良く出てきて意外な値段で終わることがある。
それで、ハロゲンランプが切れていたり、ステージの透明板と電源コードが無かったりしていたが中古顕微鏡屋さんの1/4の値段でつい最近手に入れた。
ピント合わせの動きもスムーズで最近まで現役の気配であったが、覗くとおぼろげな形のみで細部が見えない。頭をガンと殴られた気分になった。
しかし、よく考えると対物レンズは先端のでかい奴一つで、それから後は右左の光路は平行になっている形式で分解も簡単そうだし、レンズ清掃ができるかもしれないのに気がついた。
やってみると、下の2ブロックに4組のレンズがあり中の2組が上下するようになっていたが、細かく分解しないでも棒の先にレンズペーパーをつけると拭けそうなのでやってみた。結果は一度も拭かれたことがないのかと思うほど黒々とした汚れがとれた。上の接眼部の中は拭いていないこともあり完全な見えではないだろうが、ちゃんと細部は見えるし、手持ちのメイジテクノよりもズーム比も大きいので観察の範囲が広がる。
それに撮影装置もついていて手持ちのミラーレス機で動画が撮れるし楽しみが増えて嬉しい限りだ。


2014.12.25

あれこれ391

コマユバチの1種みたいだが、小さいのは全くお手上げである。体長0.3センチメートル。
久しぶりの立体写真なのだ。
前回のものと似たり寄ったりの大きさであるが、形は随分異なる。このハチは頭は割合大きいし、腹部は細長いが細いところはないたっぷりしたものである。外骨格が薄いのか、飴色の体は内部が透けているようにも見えて弱々しい感じがする。
せわしく動き回っていたが、複眼も大きいから走るよりは飛ぶ方が得意かもしれない。
翅の中央は緑色で綺麗なもので腹も緑かと思ったが、よくよく見ると腹は赤っぽい黒だった。不思議なことがあるものだ。


2014.12.20

あれこれ390

ハチは寄生するものが多い。そしてごく小さいものがものすごくいることに驚くが、我が家の玄関先のカラーの葉を良く探すと見つかる。
上の写真のコガネコバチは最近捕まえたものだ。体長0.2センチメートル。
このほかにも違う種類のを2匹捕まえたのでいろいろでているようだ。
下はコマユバチのようだが体長0.28センチメートルなので、大きさは大体あっているだろう。

こうして並べてみると形の違いが随分あるのに驚かされる。
脚の長さの違いは、体の構えを低くするか高くするかの違いになっている。それに応じているのかもしれないが触角の長さは極端に違っていて、臭いはともかく触って探せる範囲は大きな違いがある。
頭も体に比べてコガネコバチが断然大きい。

獲物の違いが体の違いになっているのだろうが、そんな場面は見たことがないのでさっぱり見当が付かないのだ。


2014.12.15

あれこれ389

道志村写生会では河原に降りて石も拾ってきた。
仲間に石の名前を聞かれ、「名前は分からないが、ごま塩おにぎりが丹沢側、緑色が反対側からのもの。」と自信たっぷりで答えたが、答えるそばからほんとかしらんと不安になってきた。
帰ってきて調べたのが下の図だ。
真っ黒の部分がごま塩おにぎりの石英閃緑岩類だから間違いとも言えないようだが、100%正解でもないみたいだ。

プレートテクトニクス理論では、伊豆半島はフィリッピンプレートに乗ってユーラシアプレートに衝突中だそうだ。丹沢山地や御坂山地、遠くは巨摩山地までも過去に衝突、付加したらしいので、随分遠くまで影響を及ぼしているといえる。

参考にした図は、「日本の地質3関東地方」(日本の地質「関東地方」編集委員会編)共立出版1986年初版1995年初版第5刷からのもので、プレートテクトニクスの横からの力は考慮されていない。代わりに、地盤が深く沈下しながら厚く堆積した後にトーナル岩マグマの貫入により中心部が隆起したと説明してある。上下方向の変化で考える地向斜という説らしい。

ごま塩おにぎりは深成岩のトーナル岩、緑色は海底火山で吹き出た砕屑岩がトーナル岩の圧力によって変成した緑色片岩ではないかと思われるが、独学のつらいとこで明確ではない。
地質の本は難しくて手に負えなくて、いまだに目を通しているというレベルだしこのままで終わるのだろうが、地球の歴史は好きで昔から読んではいるのだ。


2014.12.10

あれこれ388

ハモグリバエの1種ではないかと思うが不明。Nの1月30日に取り上げたハエかと思ったが比べると随分違っている。体長0.25センチメートル。
玄関先のカラーの葉の上をチョコチョコと動き回っていたもの。
個展は6日で無事終了、毎日詰めて大勢の人と会って話してくたびれた。類例のない絵で拒否反応を心配したが、しっかり見て頂いた人もあり何とか通じたようだ。
しかし、一週間の緊張でへとへとになったので絵はちょっとお休み。ハエはハエでもかわいらしいものの写真で息抜きだ。


2014.12.05

あれこれ387

これも昔の記録である。この日は二匹捕まえて、ラフなスケッチで記録したわけだ。色もつけたのはハチの黒と黄色が印象的だし、ハエも黒々とした気持ち悪さのないハエを現すためなんだろうなとか思うが、ただの気まぐれだったかもしれない。
冬でもハチもいるしハエもいる証拠の記録だ。


2014.11.30

あれこれ386

5回目の個展になるが、29日夜に飾り付けをしてきた。
画廊のご主人夫妻が並べ方の助言と、作品の壁取り付けと照明の調整をして下さるが、長年のプロの仕事で、手際が良くて気持ち良く作業できる。
並べる順番と照明の仕方で絵の印象が違ってくるので気を遣う作業なのだが、おおいに助けてもらっているわけだ。
準備は出来た。来週月曜からの一週間は楽しみでもあり、恐怖の時間でもある。


2014.11.25

あれこれ385

12月1日からギャラリー惣で個展をする。もう一週間もない。
今回は珪藻の絵でまとめ、2010年の「珪藻の世界」から今描いているものまで8点を並べる。
人様に見て頂くのが本来の主旨だが、自分でも一週間自分の絵と睨めっこして、珪藻をどう見て、どう描いたか5年の変化をじっくり見ることになるわけだ。
進化していればよいが、停滞したり後退していたら大変だ。
ギャラリーの客観的な壁面は情け容赦なく実体を示唆するものだ。


2014.11.20

あれこれ384

どこまで正確かは定かではないものの、ハナアブを解剖して心臓を取り出すことがやっと出来た。

昆虫の心臓は腹部の上部に張り付いているそうだ。人間の心臓と違って筒状でそれを伸縮させる筋肉(翼状筋)はヨットの帆みたいに背中に張り付いているらしい。
心門が途中に開いていてここから体液を取り込むらしい。
そして細い大動脈で頭まで送り込むらしい。

実際の観察では翼状筋はよくわからなくて、代わりに小さなつぶつぶが沢山付いていた。栄養分なのかなとも思うがなんだか分からずじまい。
心臓の先のほうは、それこそ筋肉のような太い組織が目立つが、これもなんだか分からない。

一人でやっていると分からないことばかりだ。


2014.11.15

あれこれ383

相も変わらずMWS珪藻プレパラートAMM-01の珪藻たちだが、今描きかけの絵だ。
このプレパラートを観察し始めた頃は、小さいものが多くて絵には無理かなと思っていた。しかし、何が良かったのか、もう5枚目になる。
今回のは纏まったものと離ればなれになったものとの緊張感というものに惹かれたようだ。
そして、白バックに形がだんだんと明らかになってきたとき、何故か、平等院鳳凰堂内壁の純白の漆喰に鮮やかに浮かんだ黒ずんだ木製の天女達を思い出した。


2014.11.10

あれこれ382

体内で孵化するハエの生殖器を取り出して色素で染めたものである。
左端の黄色丸印に黒い丸いものが三つある。定かではないが、卵巣二つと交尾器と精子を溜め込むところではないかと思う。
ここから卵を生み出して左側にどんどん送り込むわけだ。
青丸の所ではまだのっぺりしたものだが、緑丸の所では頭に爪が出来ているし、見えにくいが体節毎に細かい毛が生えている。太さはあまり変わらないようだがかなり長くなっている。
そして左下の黒くなっているところが尻の外骨格の一部である。ここから幼虫が出てくるわけだ。そして、前回Bの写真のように頭を持ち上げて寄主に爪でひっかけてすがりつくのだろう。

しかし凄い数であるが、これで全てではないだろう。産み落とすとその分が又追加されるに違いない。交尾しているのを見つけて10分以上見ていたことがあるが、それでも離れなかった。精子を大量に溜め込む必要があるのだろうと思ったものだ。

爪は3分の一ぐらいのところで出来はじめている。意外に早く姿を現すようだ。だが活動のスイッチは体の中では入れられない。どんな仕組みでスイッチオンになるのだろうか。
疑問は次から次に出てくるが、命の仕組みはオドロキの連続だ。


2014.11.05

あれこれ381

2日の昼に室内に迷い込んだハエ。やけに元気に飛び回っていたが、捕まえたところ随分くたびれた個体で、左触角と右後脚を失っていたし棘毛も先が折れているものが多かった。

体長1センチぐらいのヤドリバエの1種のようだった。
尻はしっかりカバーされていて雌の様な気もしたが見分けられなかった。


トレペで小部屋を作って観察していたのだが3日になって見たら、なんと子供がでていた。
  (Aの赤丸の中)

このハエは卵を体の中で孵す種類だったのだ。寄主の居る場所を探して飛び回っていたのだが閉じ込められて、孵ったものをやむを得ず出したのだろう。

幼虫はBの写真のように壁や床に垂直に立ち頭を振っていた。寄主が来るのを待っているのだろう。20匹ぐらい出てきたが、かわいそうだがこのまま餓死することになる。


2014.10.30

あれこれ380

これは古いものだが2年半ばかり前の寄生バチの記録だ。コマユバチの1種だろう。体長0.35センチメートル。長い産卵管でイモムシなんかに卵を産み付けるわけだ。

蜘蛛の巣に捕らわれたものを横取りした。
小さくて、外骨格の柔らかいのは死ぬと形が分からないほど縮んでしまうが、蜘蛛に捕らわれたものは意外に元の形をとどめるようだ。

麻痺させられているのかもしれないし、体液を素早く吸われるせいかもしれない。なぜか大アゴは開いていて口器の様子もよく分かった。

メモは小さくて読めないので大きくして活字化した。当時の勉強ぶりが懐かしい。

上段のSHIMZU40Xは当時持っていた実体顕微鏡で2倍の対物レンズで20倍の接眼レンズを使用した場合の視野を円で描いてある。直径6ミリメートルである。

観察を続けるうちに固定倍率の実体顕微鏡に物足りなくなって、新品は無理なのでネットオークションの中古品でメイジテクノの三眼式ズームに買い換えてしまったが、こんなところにシマズの名を書いていたとは。


2014.10.25

あれこれ379

この絵は4月末に手をつけていたものだ。
無論連続していじっていた訳ではなく、間には新作家展のF120があるし、新規に手をつけている二点もある。
途切れ途切れだがそれでも5ヶ月ほどいじっていたわけだ。
ので、描いている時間より眺めている時間が圧倒的に多かったわけだ。

それがどうしたのと云われそうだが、描き始めたときの気持ちと仕上がったときの気持ちの差が凄くあるような気もする。
5ヶ月はあれこれ戸惑う時間で、必要なものだったのかもしれない。

絵ができあがるのは絵を描く本人の力には違いないが、じつは別の力がいろいろ働いて、本人の頭が考えているようにはできあがってこないものだし、ましてや5ヶ月も経つと考えも変わってくるしで、いままでのものとは異なるものができあがったような気もするが、どうだろうか。


2014.10.20

あれこれ378

ハチ(膜翅)目コマユバチ科アブラバチの1種らしい。体長0.2センチメートル。

アブラムシの幼虫に寄生してマミーにするというハチだ。アブラムシは非常に多いからこの手のハチも多くなくてはいけない道理だが、あまりにも小さいので気づく人は少ないだろう。

上の図は亡骸のスケッチ。縮こまって生き生きしたものにはならないし、腹部などはますます縮み形をとどめなくなってきて、元の形がわからなくなる。

それで、下図のように部分に分けて細かくスケッチするわけだ。

辛気くさい仕事だが、こういった地味な仕事の積み重ねが、正確で生き生きした昆虫の絵になってくれると信じてやっているわけだ。


2014.10.15

あれこれ377

撚翅目スズメバチネジレバネの雄体長0.5センチメートル。
前回の写真では姿がわからないので、図鑑の力も借りて鉛筆で描いてみた。

特殊な生き方のムシで成虫の寿命は数時間しか無いらしいが、巨大な触角で雌のフェロモンを感知してふわりふわりと目的のスズメバチにたどり着いて尻の隙間に寄生している雌とめでたく交尾するわけだ。

御浦風物誌のコガタスズメバチはカマキリの肉団子を作るのに20分以上を掛けていたとのことであったから、のんびり行ってのんびりと尻にすがりつけばいいわけだ。飛び回っている奴に素早く乗り移るなんてことはしなくても良い。というか、この体ではとても出来そうにない。
しかし、雌の在りかまではとにかく飛んでいかなければならない。それで後胸だけを極端に大きくして飛行能力だけは十分にある体にしているし、センサーの触角と複眼も立派だ。

ところがそれ以外は貧弱なもので、腹は精子を作るだけ、脳みそなぞは決められた手順をこなすだけで簡素なつくりになっていると思われる。などとまたしても妄想してしまったのだ。


2014.10.10

あれこれ376

御浦風物誌にコガタスズメバチの狩りの記事がでていた。写真を見るとこのハチみたいだった。体長2.5センチメートル。 赤矢印のところが段になっていて不思議だったが、黒いものが見えたのでピンセットでつまみ出したらネジレバネだった。
つまみ出したときは、写真のように翅を広げていなかったし、腹も白くてひとまわり小さい感じだった。
もう二度とお目にかかれないだろう貴重なムシなのに、片方の触角は取り出すときに取れてしまったし、外骨格も柔らかいので無様な形にしてしまったのが残念だ。

ネジレバネはハチやウンカの体内に寄生しているムシだそうだ。ウジ虫状で体液を吸うだけなので寄主の命は奪わない。
雄は蛹のとき腹環節の間に頭を突き出し蛹化しついで羽化するそうなので、その状態で捕まえたようだ。
雌も同じようにして頭を突き出して雄がくるのを首を長くして待っているらしいが、成虫は摂食しないらしく、交尾の期間は僅かで、ほんのひとときの逢う瀬で子孫を残すのだろう。また、大量の卵を産むらしいので生き残る確率はものすごく低いわけだ。まあ、幸せなムシとも思えないなあなどと、余計なことまで感じてしまった。


2014.10.05

あれこれ375

ヤモリの干涸らびたものを送ってくれた人がいた。しっぽの先までで5センチくらいか。昆虫を描いているので興味があるだろうと言うことだ。有り難いことである。
描かざる得ないと干涸らびたままをリアルに描くことにした。
描いてみると生体と違って縮こまっているから骨がどうなっているか想像することが出来た。
頭に大きなへこみが3個ある。目の2個は判るが後頭部にあたるところも大穴がある。意外なような気もするし当然のような気もする。また、胴体の高みで脊椎が並んでいるのも感じられた。確かに脊椎動物である。
真剣に見るといろいろ発見があるということか。


2014.09.30

あれこれ374

丹沢の西側を道志川は流れる。山間の狭い村だと思っていたら意外に開けたところもあり田んぼもあって色づいていた。
堤防に腰掛けて田を見下ろしながら道沿いの一際目立つ大木をスケッチした。宿はこの右側にある。
松かなと思いながら描いていたが、土地の老人が寄ってきて樅の木を描いてるのと話しかけてきた。たいして話もしないで去っていったが、これだけ目立つのだからいわれもありそうだ。聞けば良かったと今頃になって思うのだ。


2014.09.25

あれこれ373

アリを解剖したときに腸の間に弁のようなものがあった。ハエなんかにはこんなものはない。疑問に思っていたがひょんなことで解消した。

ドライブの徒然にラジオを聞いていたら、夏休み子供相談室でハチが餌をどう採るかの話があった。花の蜜をお腹の中に入れて巣まで持ち帰るので、腸の中に弁をもっているんですよとのことだった。

下段はハチの内部の模式図で弁は描いてないが、そ嚢と中腸のあいだにあるらしい。

上はアリの腸を染色した顕微鏡写真だが、アリもハチの仲間なので、同じように飲み込んだ餌はそ嚢に溜め込んで運ぶのだろう。弁もしっかり持っているわけだ


2014.09.20

あれこれ372

生物画家川島氏の講演内容を記事にしたものを読んだが、昆虫を描くのに形の観察はもとより幼虫までもたどってその虫の成り立ちを理解して、やっと意味のある線が引けるとのことだ。

この絵で云えば、どう幹や枝を伸ばし葉を茂らせたのかを理解していなければいけないことになる。
そんなことを考えていたら、はるか昔に見たテレビドラマ「コンバット」と思うが茂った木に潜んでいる狙撃手を、枝振りの不自然さを見抜く兵士の指すところを銃撃し狙撃手を倒す場面を思い出した。

小生は写生をするのにそこまで考えたことはないし、木の知識もない。全然平気で描いてきたが、見る人が見れば何の木かも判らないお粗末な絵だと、ひどく恥ずかしい思いがしてきたのだ。


2014.09.15

あれこれ371

MWS珪藻プレパラートDL-TESTのフナガタケイソウのなんとか。大きさ90マイクロメートルくらい。
@ABはピントの位置を上面から底面に移動して撮影したもの。上の幅と下の幅は極端に違っているので台形になっているのではないかと思う。
どんな姿をしているのか興味をそそられるものの、今のところはお手上げだ。しかし、Cのように顕微鏡で二本の縦溝と多数の胞紋の並びを見ると何とも言えず美しいなあと見惚れてしまうのだ。


2014.09.10

あれこれ370

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)カミキリムシ科フトカミキリムシ亜科シロスジカミキリ。体長6センチメートル。6センチもある馬鹿でかいカミキリなので間違いないと思う。
6月24日朝に外流しのバケツの中でジタバタしていたモノ。運の悪い虫だがこちらにとっては見たこともない大物で興奮した。
大きくて肉眼でもおおよその形が判るので顕微鏡に頼らないでスケッチした。いけるかと思ったが細部ははっきりしないので虫眼鏡の助けも借りた。曖昧なところが多々あるのは恥ずかしいがよく見えなくてごまかしたところだ。
モスグリーンに白い模様が入ったムシだが、実体顕微鏡で見ると黒い外骨格にびっしりと毛が生えている。白い模様は下が全く見えないほど白毛が密にある。モスグリーンはそれほど密ではないので下地の黒と混ざり合って不思議な色になっている。肩の黒点は外骨格が豆粒状に盛り上がっているところだ。
昆虫の模様は外骨格に色が付いているように、なんとなく思っているひとが多いと思うが、毛の色だったり透けて内部の色が見えているのもある。おもしろいものである。


2014.09.05

あれこれ369

今回は新作家展開催中でもあり忙しかったので手抜きになってしまったが、前回の小さいモノに焦点を当てるとどうなるかを試してみた。
大きなモノが、実に巨大なモノに見えてこないだろうか。
また、小さいモノも同じゾウムシとはいえ、体の分厚さや脚の太さ、口器の曲がり方など随分違う形をしているのも見えてくる。
視点を変えたわけではないが、注目箇所を絞り込んだだけで新たな発見があったのだ。


2014.08.30

あれこれ368

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ゾウムシ科のあれこれ。体長0.3〜1.6センチメートル。
体の大きさの違いを見るには横から重ねて見るのがよいのではないかと思う。アリでもしたがここ、ゾウムシで同じように1ミリ格子の上に置いて撮影し合成してみた。
大きさの順に、シロコブゾウムシ、オジロアシナガゾウムシ、コナラシギゾウムシ、コフキゾウムシ、イチゴハナゾウムシ、黒い小さなものは、はてなで判らず。どちらにしても確かさは心許ない。
この中でよく見たのはコフキゾウムシでツガっているのもよく見た。真鶴では一番栄えているゾウムシだろう。
シロコブゾウムシは大きくて目立つが1回しか見なかった。白黒のオジロアシナガゾウムシも目立つが数回といったところ。コナラシギゾウムシはコナラの大木の下で2回見た。
3ミリのイチゴハナゾウムシは庭のバラに来たもので3匹捕まえた。もう一つの3ミリのはたまたま捕まえたもの。この大きさのものは懸命に茂みをみて運良く見つかったものだ。
数えるほどの目撃例しかないのは、生態をしらず探し方が杜撰なのが一番の原因だが、箱根山裾の真鶴と云えど目につくところには昆虫は多くはいないし、蝶々の飛び方を見てもほとんど見ないから子供の頃に比べれば激減しているのは違いがない。


2014.08.25

あれこれ367

半翅目異翅亜目カメムシ科のクサギカメムシのようだ。体長1.7センチメートル。
少し前に家の中に飛び込んできたものだ。ズングリとした薄茶色のカメムシで大きさはかなりある。
植物の上でなく家の壁などで見かけることがあるが、樹上性で果樹の害虫との説明を読むと、新たな樹木に移る途中で人家に迷い込んでいる様な気がする。
カメムシはよく見かける。植物食で餌には困らないのだろう、その代わり肉食系に襲われてさんざん喰われてしまうので子供は沢山産んでないと生き残れないわけだが、ちゃんと沢山産んでいるのでどこでも見つけられるということだろう。


2014.08.20

あれこれ366

9月2日から都美術館で新作家展が始まる。22日は搬入日である。
珪藻の絵はM60号どまりだったが、今回はF120号と大きくなった分伸び伸びと描けたようだ。
形の正確さにこだわりひたすら写す作業だったが、それはあっさり捨てることにした。代わりに全体の釣り合いと部分が互いに影響し合って一体化することを心がけた。
ガラス板の上の平たい珪藻達が吹き寄せられて、あるものは離ればなれになり、あるものは寄り添いまた重なっている景である。
そこには主役もあれば脇役も居る。しかし、敵対するもの達ではない。皆仲間が戦いに敗れ敗残の身を寄せ合っているのだ。
なんとなくそんな気持ちで描いていた。


2014.08.15

あれこれ365

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ゴミムシダマシ科の1種だろう。体長0.5センチメートル。
ちょっと見たところではゴミムシの様だったが、後脚の附節が4個だったのでゴミムシダマシだろうと思うわけだが、それから先はさっぱりだ。
落ち着いてみたら頭を黒く描きすぎた。大アゴも濃茶なのに真っ黒くしてしまった。黒っぽい頭がいつの間にか黒の頭と思い込んでしまったに違いない。見るのが疎かになった証拠だ。反省すべし。
このムシは今年の5月に捕まえたものだが、葉っぱの上にいた。このてのムシは地表にいるものとばかり思っていたので妙な気がした。
ハムシとかを捕まえているのだろうか。触角も長いし複眼も巨大だ。


2014.08.10

あれこれ364

ハエの脚先がどうなっているか生物顕微鏡10xで見てみた。
先端だけを切り離して水で封入している。泡ができたのはご愛敬である。
切り離すのも難しいし、封入するのも大変だ。やっとこさでここまで来たが、形がはっきりと理解できるにはほど遠い。お粗末なものであるが珍しいものを見て下さいというところだ。


2014.08.05

あれこれ363

MWSのJシリーズから、名前もわからないが中心目の1種。大きさ70μm

下段は対物レンズ10xで撮影した暗視野写真で、その中の右側中央にあるものを対物レンズ40xで見たものが上段の写真だ。

胞紋の大きさは中央は有るかなしかで脇は一応穴の開いているのがわかる。これは、暗視野で見ると間隔が細かい開口部ほど青が濃くなるようだから、下段の写真から納得できる。しかし、下段の暗視野では、上に小円、下に大円の梁があって、その間を桁が放射状に渡してあるように見えるが、上段では単なるざるのようにしか見えない。

また、上段の40Xは白色LEDの輪帯照明で撮影しているのだが、なぜ茶と青の色がつくのかのさっぱりわからない。

ピントの移り方ではこの中心目はかなり厚みがあってお椀状のもののようであったことと、はっきりとは見えていない骨組みのせいではないか。と思うもののそれ以上は手も足も出なかったのだ。


2014.07.30

あれこれ362

国立科学博物館に展示されているルーシーである。

展示の解説は「エチオピア出土、320万年前、アウストラロピテクス・アファレンシスの成人女性。胸郭は末広がりで、骨盤は幅広い。脚は短いが腕は長く二足歩行だけでなく木登りもうまかった。脳容積は400mlと推定され、石器をつくることはなかったらしい。」となっている。

現生人類ホモ・サピエンスが属するヒト属(ホモ属)の祖先ではないかと考えられているそうだ。本当かどうかしらんが全てのヒトの遺伝子にはルーシーの遺伝子が入っているというわけだ。

中段写真左の骨格がルーシーの復元の元になった骨の化石だ。頭部だけはホンの破片しかないが他の化石から復元したもので補っているようだ。色違いの部分がほとんどだった。

下段の写真は、手前がネアンデルタール人、次いでホモ・エレクトスとルーシー。それを見つめるホモ・サピエンスというわけだ。

この復元がどこまで正しいのか定かではないのだろうが、凄くリアルで迫真的だ。小生が教育を受けていた頃はこんな立体的なものはなかった。あったのは復元図だが、それも迫真的ではなくのどかな感じのものだったような気がする。

人間の物事を突き詰めていく力はものすごいものだと感じさせられる展示だ。


2014.07.25

あれこれ361

MWSさんによると、本は理解できるまで読めとのことだが、この図のでていたリチャード・フォーティ著「地球46億年全史」は2回読んで少しは理解が深まったかなと図をコピーしてこの文を書き始めたが????になってしまった。

それで安直に文の一部を書き出してみると
@2億年ほど昔に分裂したパンゲア大陸以前にも超大陸は4回以上存在していることがわかっている。

A古代の超大陸は信用を得て名前も付いた。10億年ほど前の大陸塊はロディニア大陸と呼ばれている。

Bもっとも古い始生代後期の超大陸の真ん中にいると想像してみよう。地球に最初にあらわれた超大陸だ。緑の草木など一本もないごつごつした景色が数千キロメートル先の地平線まで全方向に広がっている。30キロメートルほど先のグラニュライトの山から、いつなんどき鉄砲水が襲ってくるかもしれない。周囲の地面には、荒れ狂う水に運ばれてきた角ばった巨礫が散らばっている。長石が厳しい陽光の下できらきら輝いている。足元でシューシュー湧いている温泉は、美しいオレンジと赤紫の斑点に縁どられている。触れるとぬるぬるしているのはバクテリアが表面を覆っているからだ。
・・・・などであるが

ロディニア時代の東南極大陸やインド、オーストラリアは北半球にあるし、オルドビス紀のゴンドワナ大陸は南極点で凍り付いていたようだ。驚くべき世界である。



2014.07.20

あれこれ360

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科オトシブミ科のセアカヒメオトシブミのようだ。あるいは7月10日の前翅が赤く変異したものかもしれない。体長0.5センチメートル。
昆虫を正面から見たことのある人はあまりないと思う。
この絵が感じをだせていると自信はないが、実物はなかなか恐ろしげなものだ。人間並みの大きさでそこらを歩き回られたら人は逃げ惑うばかりだろう。
幸いなことに、外骨格と気門と気管で直接酸素を取り込む体の仕組みは人に比べれば随分小さな体しか持てないらしい。
動物進化の初めの頃の特徴を残し動物界最大の種数を誇る繁栄した昆虫でも人を押しのける力はないわけだ。ということは、後から進化したものが常に覇権を握るということなんだろうか。
とはいえ、覇権を握られたものたちでも、しぶとく生き残るものは生き残るし、覇権を握っても恐竜のように滅びてしまうものもある。
命はおもしろいものである。

鋭い牙の大アゴを出して描きましたが、このムシは普段は出していません。しっかり閉じてほとんど見えません。


2014.07.15

あれこれ359

絵はどこまで描けば仕上がりになるのか。

それは、隅々までキチンと絵の具が塗られたときだろう。余白などはとんでもない。
それが一般解と思うが、世を見渡すとそうでないものもいっぱいある。

セザンヌは若いときは重苦しい色の厚塗りだったが、だんだん明るい絵の具を薄く塗るようになっていき、晩年は余白だらけの点々だけというものまである。

この絵を描き始めたときは、しっかり仕上げるつもりだったが何か虚しさが込み上げてきた。
残骸が空しく折り重なっているんだからぐちゃぐちゃでいいじゃないか。
その感じだけで十分だ。

明るい茶系のものだったが、だんだんグレーが浸食してブルーも入ってきた。ここで終わりにするのはどうかとためらいもあるが終わりにしよう。


2014.07.10

あれこれ358

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科オトシブミ科のヒメクロオトシブミのようだ。体長0.5センチメートル。
ハムシとかゾウムシの脚とほとんど同じなので、近い仲間に違いない。ブラシのような足先は葉っぱの上をスムーズに歩くのに都合がいいし、葉っぱの端っこを引っかけるのに都合の良さそうな爪も持っている。体も小さいのが多いみたいで葉上生活に適しているムシ達なんだろう。
オトシブミの名前の由来は葉を葉巻みたいに巻いてその中に卵を産みつけて切り落とすが、この落とされたものは江戸時代に他人にばれないようにわざと手紙を道ばたに落として他人に渡した「落とし文」のようだからということらしい。
コロッとした体に細長い首がついているような特徴的な姿と、しゃれた名前の覚えやすいムシだ。


2014.07.05

あれこれ357

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科ハムシ科のなんとか。体長0.4センチメートル。
サルハムシの一種みたいだ。
ハムシは金花虫とも書くらしいが、このハムシは金属光沢の鈍い金色でピカピカの華やかなものではないが、金花虫の表示にぴったりだ。
この絵では力不足で金色より茶色に見えてしまうが本物は間違いなく金色です。
小さいせいかもしれないが、元気が良くてせっせせっせと動き回っていた。


2014.06.30

あれこれ356

川上尉平先生の油絵が手に入った。昭和50年作(多分)「松島」F6号である。

先生の大型の絵は、渾身の力を込められた大きな世界ですごい迫力がある。
しかし、この絵は41センチ×32センチの小さな画面で、それにふさわしいこじんまりした景色を、太いタッチで絵の具もタップリつけて、細かいところは省略して伸びやかに描かれている。
この筆の動きに胸はわくわく、心うきうきとしてくるが、片方ではじつに穏やかで心静まるものを感じさせる。
先生の晩年の境地でもあろうか。

下の写真は昭和51年の職美展で先生が批評されている一コマである。この3年後に亡くなられた。62才であった。
小生はこの写真の前後5年しか先生の教えを受けていないが受けた批評の数々は今も心に刻み込まれている。
そして、当時はさっぱり分からなかった先生の絵の良さを今になってこうして味わっているわけだ。


2014.06.25

あれこれ355

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科ハムシ科のなんとかさん達が1ミリ格子の上に大集合である。大きくても7ミリくらい。小さいので2ミリくらいか。みんな葉っぱの上で捕まえたものだ。
左の青い上翅がクワハムシ、右の虹色のものがルリハムシかもしれないと図鑑の絵合わせをしたものの、他のはそれすら出来なかった。
これだけで判断してはいけないが、この写真をじっと見ていたら、大きさにグループ分けがあるような気がしてきた。
こじつけのようだが2,4,8という具合に倍々の系列になっているような気もする。そうなると1ミリのものがいて良さそうだがどうなんだろう。もっとも見つけるのは大変そうだが。


2014.06.20

あれこれ354

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科ハムシ科のなんとか。体長0.4センチメートル。
鈍い金属光沢の金色で、大きな目の周りを白い毛で飾ったかわいらしいムシだった。良く動き回ってやっとの思いで撮った写真が上のものだ。下は乾燥標本を実体顕微鏡で観察しながら描いたもの。
甲虫の外骨格はごついので元の形をかなり残してくれる。落ち着いて観察できるわけだ。

腹の下側から描いたものは立体感がなくて平板になってしまったのが残念だが、描き慣れていないところを大慌てで描くとこうなることが多い。
描き慣れているところは、形が頭の中にかなり入っていて形も取りやすい。
しかし、そうでないところはからっぽ状態で、まず正確に見て、それをしっかり写さなくてはいけないのだが、そう簡単なことではなくとんちんかんになるのだろう。

正確に見て、正確に写すことはじつに難しいことなのだと、つくづく反省させられる。


2014.06.15

あれこれ353

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科ハムシ科クルミハムシで間違いないようだ。体長0.7センチメートル。
ハムシは葉虫または金花虫と書くらしいが、新緑の葉っぱがご馳走で葉の上にいることが多いのだろう。金色に輝いたりするものは特に目立つし、それほどでなくても結構見つけられるので、この頃はよく捕まえる。
細長いものや、ズングリしたもので分厚い体の持ち主が多いが、このムシは上から見ると幅広で横から見ると薄べったい独特の体つきをしていた。
前胸両脇のオレンジ色や、藍色の前翅と平たい体がクルミハムシの特徴と図鑑に書いてあるので間違いないだろうと思うのだ。


2014.06.10

あれこれ352

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科ハムシ科クワハムシのようだ。 体長0.6センチメートル。
日本昆蟲圖鑑(北驫ル1950)に「雄は触角間に短い盃状の1角状突起があるが、雌にはない。」とあるが、このムシには突起があるので雄に間違いないだろう。何のための突起かちんぷんかんぷんであるが、初めて見たときは驚いたものだ。
ほとんど点のごく小さいものよりは一回り大きいので、目視でも青藍のムシだと分かるが、実体顕微鏡でないとその美しさは実感できない。


2014.06.05

あれこれ351

ハエ(双翅)目短角亜目ハエ下目ヒツジバエ上科ヤドリバエ科cylindromyia属らしい。 体長1.2センチメートル。
昨日の夕方の散歩で道ばたの草にとまっていたもの。頭が白で黒にオレンジの腹、翅は八の字に広げて目立つムシだった。
翅脈を見るとヤドリバエのようなのでgoogleで検索。色は青黒いがよく似た形のものがあった。見るとおなじみの「一寸のハエにも五分の大和魂。」という双翅目のサイトだった。良く似たものでcylindromyia属があるとの記載があったので、それでgoogleを再検索する。
沢山ありました。しかも横文字のサイトばかりで紅毛人たちはハエ目を属のレベルでキチンと押さえているんだと感心してしまった。
ここから種を同定するのだが、専門家が実物をじっくり調べてやっとわかるほど難しく、しかも、新種の可能性もあるというのが昆虫界で、古生代から分かれに分かれてきた生き物だからそうなるのかしらん、などと又しても妄想したのだった。

しかし、いろんなハエのパーツを組み合わせた変なハエだ。


2014.05.30

あれこれ350

甲虫目(鞘翅目)多食亜目(カブトムシ類)ハネカクシ上科ハネカクシ科の一種で体長2センチメートルもあるので、ハネカクシとしては巨大だ。
すぐ裏が石切場になっていて、ダンプ一台が通れる道が上え上えと繋がっている。ダンプが時々通るぐらいで人はいない。坂道なのでくたびれるがよい運動になるので時々散歩する。
このハネカクシは、その道にいたもの。石の粉で白っぽくなっている路面に黒い細長いものを見つけてよく見たらハネカクシだった。数ミリ位のものしか見たことがなかったので興奮してしまった。
地味なムシで絵に描いてもはかばかしくないが、実体顕微鏡でじっくり見ると見所は多かった。
こわそうな短毛で覆われているが、根元は凹凸があって細かい彫刻に覆われているとも言える。要所には長毛が立っていてセンサーになっているのだろう。
動きは素早く、大アゴも大きく鋭かった。身をくねらせながら頭を下げて尻を上げたポーズはなかなかに恐ろしさがある。
これらの特徴から朽ち葉の下などを動き回り生き餌を食っている生活が伺えるが、どうだろうか。


2014.05.25

あれこれ349

MWSの珪藻プレパラートのE−P1からゴンフォネマ(クサビケイソウ)属の一種である。
2009年に撮影した画像なのでもう5年も珪藻観察をしている。時の過ぎゆくのは早いものだ。

この珪藻は70μmくらいの中型のもので@やAのものが沢山見られた。初めは異なる珪藻のつもりで見ていたがクサビケイソウというのが分かると、@が上か下面(殻面)でAが横面(帯面)の同じ珪藻ではないかと思えてきた。

そのうちに、Bのようなのが見つかった。

Cは、こんなんではないかと想像をたくましくしたものだ。

普通はバラバラになる上の殻と下の殻が、この珪藻では分かれないものが沢山あって、上になったり横になったりで、殻面と帯面、どちらもたくさんあったのだろう。さらに斜めになったものも、まれにはあってBが撮れたということに違いない。

とは思うものの、Aをよく見ても中間に薄いうねうねした線が見えるだけで、これでほんとに上下に分割するのかとか、いつまでたっても疑問はつきないのだ。


2014.05.20

あれこれ348

これはP50をイーゼルにセットして描いているところだ。後ろは描きかけのF120号。

ここのところ続けて同じプレパラートのものばかりを描いている。

楕円型のコメツブケイソウをメインにして、それに細かいのがまとわりついている様子に魅力を感じているわけだ。

寄らば大樹の蔭という考え方もあるが、強きものを中心にして弱きものが寄り添い大きな力を出すという考え方もある。

後者の考え方を感じさせることができれば成功だ。などど出来そうもないことを考え始めたのだ。


2014.05.15

あれこれ347

ハチ(膜翅)目細腰亜目下目タマバチ上科ツヤヤドリタマバチ科の一種で。体長0.4センチメートル。
この絵だけでは何の変哲もないハチだが、ゴジラ並に巨大化すると背中にヘリポートを背負っている。翅の付け根の上にある出っ張りがそうである。腹部も大きいように見えるが、縦に扁平で薄くて容積は見たほどではない。平滑で棘毛も少ない艶のある外骨格をしているが、小楯板のところは彫刻でごつごつしている。よくよく見れば変わった奴だった。
このごろは小型のハチを見ると寄生性だろうと思うようになったが、こいつもそうで下の方に載っけたハモグリバエの卵や成熟幼虫に卵を産み付けるそうだ。
ほんに昆虫界は厳しい世界なのだ。


2014.05.10

あれこれ346

上野の東京都美術館で「バルチュス展」をやっている。ファンなので見てきた。

1984年に京都市美術館で初めて見たが270×330cmなどと巨大な作品が3点もあったし、まるで風雨にさらされた廃材で作ったような粗末な額に入れられたものもあったりして度肝を抜かれたものだ。そして、フランス語の画集を買って読めないので絵だけ見て模写をしていた。
左の絵はその頃の模写だが、今回の展覧会に来ていた。ほぼ等身大で大きな絵だった。
題名は「Alice」1933年の作品で初個展に出品したそうだ。そして友人の妹をモデルにしたと解説してあった。
瞳がほとんど点で不気味だし、ポーズもかなり卑猥だと思うが、友の妹がモデルとは驚きであった。

しかし魅力的な絵だ。生年が1908年だから25才でこんな絵を描いていたのだからもてはやされたのも肯ける。

原画は油絵でモノトーンに近いですが肌色を主にした綺麗なものです。念のため。



2014.05.05

あれこれ345

ハエ(双翅)目短角亜目ムシヒキアブ下目オドリバエ上科アシナガバエ科の一種でホソミキイロアシナガバエというのかもしれない。体長1センチメートル。
双翅目は糸角亜目の蚊の仲間と短角亜目のアブ、ハエの仲間に分かれていて、さらにハエは環縫短角群としてアブとわかれるらしい。
進化の道筋は分からなかったが、蚊からアブそしてハエという具合に分かれたのかもしれない。
そして、それぞれに発展してものすごい数の種になったということだろう。
アシナガバエはアブの仲間で金緑色の金属光沢の綺麗なものが多いらしいが、このハエは複眼だけがそうで、他は明るい茶と薄い土色だった。
絵は色を濃くしすぎたし、形もいまいちで不本意な出来だが、このムシの形を捉え切れてないからだろう。ハエの頭と蚊の体で変わった形をしているのだ。
この絵では腿節を上げて体を低く構えているが、囚われの身で顕微鏡観察されているので警戒の体制をとったのかもしれない。普通は腿節を横にして体を高く構えているようだ。ハンターのムシヒキアブはそうで、このハエもムシヒキアブの仲間のようだからハンターということらしい。


2014.04.30

あれこれ344

新作家展は9月だが、そろそろ始めないとあたふたすることになるので珪藻の絵をF120号で描くことにして描き始めた。M60号までだったので、随分大きいような感じだがのびのび描けそうだ。
縦横に糸を張って正確に写していたが、今回はパソコンの画面を見ながら真っ白のところに自分の感覚だけで写していく。
元の形を崩すわけではないが、大きくしたときのバランスを考えながら配置していくわけだ。
それぞれの大きさや、つながり具合が自然に違ってくるし、四辺の余白をどの程度にするかを非常に神経を使って決めていく。
気合いが入っていたのか、迷わずにすんなりと決まった。これから長い道のりになるが本人の独りよがりでないことを祈るばかりである。


2014.04.25

あれこれ343

ハエ(双翅)目糸角亜目キノコバエ科セアカキノコバエのようだ。体長1センチメートル。
先だって少し離れたところで売出中の建売住宅の壁にいたもの。白い壁に赤い胸と黒い翅で目立っていた。動きも鈍くて簡単に捕獲できた。
口器が針ではなく、脚が蚊ほど長くはないが、頭がごく小さいとか細長い腹部など蚊に近い体つきである。ネットでは結構でていて、それによると幼虫は枯れ葉の下などで腐敗物を食べていて4,5月頃成虫が現れるそうだから、時期はぴったりである。
交尾中の写真もでていたが、尻と尻を付けて反対向きになっていた。雄は雌よりかなり小さく、また、腹は黄色いところが無く黒ばかりであった。


2014.04.20

あれこれ342

甲虫目のツチハンミョウ科の一種。ヒメツチハンミョウというのかもしれない。体長2センチメートル。 散歩に出たミカン畑脇の側溝を歩いていたもの。藍色の金属光沢で目立つムシだった。調べると有名なムシだった。
孵化した幼虫は近くの花によじ登りひたすらハナバチの来るのを待つがハナバチを見分けられなくて、飛来した虫はなんでもすがりつくそうだ。運良くハナバチだと、その巣に着してそこの幼虫を殺して、子になりすまして育つそうだ。しかし目的のハナバチ以外はそこで終わりになるそうだから、とても確率の悪い行き当たりばったりの生き方で卵を数千個も産むムシだった。
成虫は派手なムシで動きはのろかったが、カンタリジンを含む有毒虫で、食べれるものなら食べてみろということで鳥も襲わないらしい。
日本人の木村資生が唱えた分子進化中立説によって、遺伝子の変化は一定の割合で起きていて恣意的なものではないということが明らかになったそうだ。このムシも自分からこうなろうと意図してなったわけでなく、偶然に偶然が重なってこうなったが立派に生存を続けているわけだ。
昆虫でも卵をわずかしか産まないで、しっかり子育てをするのもいるそうだから、進化の道筋は幅の広いものだということかなどと思うのだった。
もう一つ変わっていた点は触角の途中が大きくなっていたことだ。雄だけ大きくなるそうだから雌を探すためなんだろうかなどとも思った。


2014.04.15

あれこれ341

前回のナモグリバエに似ているが違うハエで大きさは1センチメートル近くある。
翅を掃除するときは後脚の掃除もしている。
翅を掃除しているところは撮れなかったが、脚の掃除は撮れた。動きが速いのでぶれているが掃除しているところだ。前脚2本と左中脚の3点で前傾姿勢を取って、残りの3本を互いに擦りあわせている。


2014.04.10

あれこれ340

ハエ(双翅)目短角亜目ハモグリバエ科ナモグリエバエらしい。体長0.25センチメートル。 成虫は何を食しているのか分からないが、幼虫は葉っぱに潜り込んで葉の中身を食べる植物食のハエのようだ。
翅は普通のハエのように八の字に広げていないで腹部に重ねているし、小さい細長い体で初めの頃はハエだとは思えなかったものだが、今はハエとすぐ分かるし、この手は毛むくじゃらでないのでかわいらしく思えるものだ。

動きは極めて速い。なかなかじっとしないが、時々このような姿になる。そして、前脚を擦りあわせ頭をくるくる回しながら前脚ではらう。ついで、頭を下げ尻を上げて後脚で翅や腹部の上面をはらう。
体に異物を付けると外界を正しく認識するのに支障があるのだろう。綺麗好きで体の掃除をしているとも思えないのだ。


2014.04.05

あれこれ339

日本昆蟲圖鑑(北驫ル1950)によると双翅目の口器について「・・・イエバエの口器は吻部と吸部と脣辨の3部分よりなり、吻部は側方より見るときは圓錐形でその表面は強い膜よりなり、その膜は頭の腹面所謂前顔孔に連なり下方は吸部に連續している。・・・・・・脣辨は橢円形の一對の葉片で靜止の場合には下脣の末端と約同幅なれど血液により著しく擴張され得る。この葉片は互いに深い切り目によって完全に分離され、その切目は下脣樋(Labial gutter)と前方にて連續しかつ後方面に多少延びている。・・・・」のように延々と記載されていて、しかも旧字体とくるので頭がくらくらするがハエの観察を続けているとだんだん分かってくるから楽しくなってくる。
大体ハエの口器は普段は外に出ているのは唇弁の一部だけなので全体像などは想像も出来ないようになっている。というので、今回はミズアメスイを飲んでいるところの写真をお目に掛けます。
末端が唇弁で、餌を吸い取るときは左右に開いてぴったりと表面につける。写真はティッシュに染みこませたものを吸い取っているところで軽く触れているだけで広げ方が少ないが、表面が固いものだと丸くなるほどピタッと付けている。
そして、下からガラス越しに見ると放射状に細管が配され見事な眺めになっているのです。


2014.03.30

あれこれ338

2014.03.25

あれこれ337

真鶴図書館で新規購入本のコーナーにダーウィンの進化論が置いてあった。有名な書物だが読んでなかったので借りてきた。
その中に「生活のための闘争は同種の個体および変種の間で最も厳しい。」との記述があった。

小生が学校で習ったのは北京原人は今の中国人の祖先という位置づけだったが、今ではそうでないらしい。現在、地球を跋扈しているホモサピエンスは7万年ぐらい前にアフリカをでて、それ以前に世界に広がっていた人類に取って代わったそうです。
争いは起こらないで自然に入れ替わったのかもしれないが、ダーウィンの書いた変種の闘争のとおりのことがおこったのかもしれない。いずれにしても、生活の基盤が共通のものは相容れないというわけだろう。


2014.03.20

あれこれ336

初めて買ったMWS珪藻プレパラートのE-P1にあるディプロネイス(マユケイソウ)の仲間である。
Eはeducationの頭文字だろうが教育用として制作されたもの。Pはpondの頭文字で池に住んでいるもの。海や川などいくつかの種類があり、まとめると割引になっていた。まずはこれを見てくださいとのことで、値段も安価だったのでE-M1などとまとめて求めたわけだ。

この珪藻は小さいが他のものと違って数珠を連ねたような表面で目立っていた。

下の絵を描いた頃は、珪藻はガラスの弁当箱のようなものとまでは分かったので、それらしい形にしてある。しかし、表面の状態はどう見ても凸凹しているようにしか見えないので、明るいところを凸にして描いた。胞紋はどう見ても見えないが間違いなくあるのだから、凹んだところにあるだろうとして一列に描いてある。

今見ると大笑いだが、当時でもクエスチョンマークを描いているところを見ると相当に疑問に思ってはいたのだろう。


2014.03.15

あれこれ335

画像の珪藻はMWS珪藻プレパラートのDL-TESTにあるディプロネイス(マユケイソウ)の仲間である。
この珪藻は光学顕微鏡で見ると元の姿はなかなか想像出来ないものである。

ネットで電子顕微鏡写真を探すのだが似たようなものが見つかった。それを模写したのが下の画像である。

下の画像ではつるりとした表面に細かいスリットが並んでいるが、上の画像では大きな穴がずらりと並んでいる。
まるで異なるが多分下のようなのが実際の姿だろう。
裏から見た電子顕微鏡写真があれば格子状の梁の上にスリット入りの薄板をかぶせている構造に太鼓判を押せると思うのだが。


蛇足ながら、複雑なディプロネイスをうまく写せたなと自慢したくなるが、撮影媒体の状態が非常によいのと照明法の指導も受けているのでこの程度は素人でも写せるということらしいのです。MWSに感謝。


2014.03.10

あれこれ334

昨年の暮れに求めたJシリーズの隅にある、ピンヌラリア(ハネケイソウ)の1種をピントの位置を変えて撮影して見た。

中段は、中心部を拡大したものである。同じものを撮影したとはとても考えられないようでしょう。

小生も何が何だか狐につままれたようなものであったが、今は進歩して、どんな構造をしているのか想像できるようになった。
最下段はネットで見つけた電子顕微鏡写真の模写だが、電子顕微鏡写真は透明なものでも不透明にしか写らないので表面がつるりとして細かな開口部がつらなっている様子がよく分かる。同じ種でないが似たようなものだと思う。

裏から写したものがないと内部構造は分からないわけだが、見つけられなかったので載せられない。しかし、中段右の写真を見れば開口部の間はリブがあるのが理解できると思う。
あれこれ想像を巡らして楽しんで頂きたいとも思うのだ。


2014.03.05

あれこれ333

前回のハエの深度合成写真と記録用のラフスケッチの一部である。

ハエもいろいろである。小型のハエはかわいらしいものも多いようだが、こいつは複眼の間が広くて、そこに巨大な触角が鎮座ましまして、ドラえもんのようなとぼけた顔つきをしていた。

ラフスケッチは動かなくなってからのものだが、腹部が縮んできたり、脚が不自然に重なったりしているのを直の姿勢をとっているように補正しながら描いたものだ。

ラフスケッチの触角はそれほど大きくないが、前回の絵はやけに大きく描かれている。動いてる実物を観察しているときに「なんて大きな触角だろうか。」と強く印象づけられていたのが、写真をもとに描いたときに正直にでてしまったようだ。
正確に描こうと思っても、なかなか思うようには描けないものである。


2014.03.01

あれこれ332

1月15日のキモグリバエによく似ていて、やはりその1種ではないかと思う。体長0.3センチメートル。
ケースに入れて観察しても良く動いて追い切れない。が、時々止まって尻を下げ、様子をうかがって安心すると体の手入れをする。というようにみえる。
附節の下側はブラシのようなもので、これでもって体を拭く。頭は口が上になるくらいぐるぐる回している。翅の上も後脚を持ち上げてきれいにしている。
それがすんだらするのか、初めにするのかまだ見分けられないが、よく前や後ろの脚をこすりあわせてもいる。
「やれ打つな ハエが手をする 足をする。」の句の通りのことをいつもしているわけだが、体をきれいにしていたのだった。


2014.02.25

あれこれ331

24日は隗展の飾り付けと初日であった。
筆を置いて一応完成として、船橋まで持って行った。真鶴から船橋まで遠いが刺激を受ける仲間たちなので全然気にならない。

今回は細密描写ではないし、形は正確に写そうとしているものの歪んでいるところもあるし、整理して描いていないものもある。
がちがちに正確さにこだわることを放棄しようとしているわけだ。
そのかわり、自分の気持ちを控えめながら出そうという試みである。

気持ちの変化がどう絵に現れたかよくわからないが、全体と部分のつながりに意識が働くようになったみたいだ。
正確に写すことに夢中になると、描いている部分だけを見て他はおろそかになっていたようである。部分は単独であるのではなく他の部分と響き合って全体ができるという大事なことを疎かにしていた。ということを感じた。


2014.02.20

あれこれ330

御浦風物詩に標本画制作の苦心談がでていた。
『もっとも労力と集中力が要るのは、スケッチやそれに続く下描きである。「想像」は無論のこと、生半可な観察の入り込む余地などはまったくない。』とあり、0.3ミリのシャープペンの芯をさらに紙で研いで細くして線を引くそうである。
そして、仕上げの墨入れに下書きの線のどの位置にペンを入れるかが問題だそうだ。
位置がずれると比例が狂ってしまうと言うのである。こちら
恐るべきプロの仕事であるが、よく考えてみると、元の昆虫の正確な形をしっかりと把握していないと狂いなんかは気付くことはあり得ない。シビアに形が頭に入っているからごく些細な違いも妥協できないのだろう。
川島氏の蓄積力があってのことだろうが、小生には蓄積されたものはないし、目指しているのは標本画ではないので、そこまでの厳密さをもとめているわけでもない。しかし、可能な限り実際の感じを表現したいと、ひたすら現物を観察して描いているつもりだ。
て゜あるがほんとにそうなのかとハナバエの1種みたいだが最近捕まえたハエの頭を描いて確かめてみた。
ハエは動き回ってじっとしてくれないし、死んだものは生きたときとは大違いでこまるが、このハエは幸いに水飴水をたっぷり飲んで口に水玉をつくってじっとしてくれたので、しっかり見て描いたのが最下段の絵だ。

動いているときは触角の位置はてっぺんにあるように見えたが、よく見ると額は平らだが顔面の4分の1の高さまで下がってきて、そのすぐ下に触角は付いていた。 口器も幅が随分あったし、先端も上にカーブしていたのにやっと気づいたほどで、実にいい加減な見方をしていたのがあらわになってしまったし、この絵も実物に迫り切れたのかというと、まだまだで残念な結果だったが、人生の残り時間も少なくなっているものの、努力しようという意気込みだけはまだある。ということで良しとしよう。


2014.02.15

あれこれ329

@は今描いているもう一枚の珪藻の絵。Aはその元写真。Bは@とAを重ねたものだ。
元写真と絵ががどれだけずれているかをBの重ねた画像で確認したわけだが、こんなにずれているとは意外だった。
絵は構図が良くないと全然駄目だと思っている。この絵の場合は、ばらけた珪藻のまとまり具合と、それらまとまったものたちの位置関係だろうが、沢山撮影した中でこれはと思って選んだ物だ。
その理由は、赤丸が画面の中心だがここを中心として珪藻たちが回るように配置されているというのを感じたからだろう。
今Aの写真を見ると、左上から右下に流れていく感じが強い。@の絵がそうなっていないのは無意識に中心点の廻りを回転させようとしていたに違いない。
ものを正確に見るのは難しい。何らかの形で見たいように見てしまうと思うのだが、絵の場合はそれが大事だとも思えるし悩ましいことである。


2014.02.10

あれこれ328

生きているままの昆虫を描く難しさは、昆虫の正確な形を捕まえることが大変なことにもよる。
このハチもちょこまか動き回ってじっとしてくれない。やっとの思いで撮影したのが上段の写真だ。
この写真を元にして大まかな形を取ることは比較的容易に出来るが、より精密に描こうとすると細部は曖昧模糊として靄の中に踏み込んだ気分だ。

それで死んだものの細部を実体顕微鏡で確認して詰めていくわけだが、外骨格がしっかりしたものはよいが弱いものはこのハチの腹部のように潰れてしまって元が分からなくなることも多い。

さらに細部構造を突き詰めていくと、最下段の写真のように金属顕微鏡の出番になる。
巨大画面で描くと絶大な迫力があると思うが、まだここまで来れてないのが遺憾である。


ところで、捕まえた昆虫を小ケースに入れ、水飴を水で薄めたものを与えると何日かは生きていてくれる。それで動き回る姿を長く観察できるようになった。
生きた姿をなかなか記憶できないが、よく見て少しずつでも体に染みこませるのが大事だと感じる。写真から形を起こしたとしても、正確でないところを体に染みこんだものが気づかせてくれるようにならなくては、生き生きとしたものは作れないと思うのだ。


2014.02.05

あれこれ327

@は今描いている珪藻の絵。Aはその元写真。Bは@とAを重ねたものだ。
格子を描いて正確に写すことをしてきたが、限界を感じて歪むのを承知で格子なしで進めている。今回は、それがどれだけずれているかをBの重ねた画像で確認したわけだ。
結果は配置からいじっているのが分かる。上部の広がりをカットして右上のまとまりを隅に追いやっているし、全体に左方向にずれているのと、細かく見るとほとんど一致していないも分かる。
省略したのも多いのですっきりしたとも言えるし物足りなくなったとも言えるかもしれない。
この画像で見た限りでは、受ける印象はそんなに変わったとも思えないし悩ましさは相変わらずだ。


2014.01.30

あれこれ326

台所の生ゴミ用の入れ物についたものを捕まえた。ミギワバエの1種らしい。体長は0.4センチもないので、じっとしていると目立たないが、動くとこうるさいコバエというところだろうか。今の時期でもハエは結構いるものだ。
翅脈や触角のひげなどを見るとミギワバエの特徴があるが、ウィキペディアで調べると水辺にすむハエとのことで、家の中にいるのは変だから違うかもしれない。

後脚の先端が黒くなっているが、附節の数を数えると第5附節が失われていた。くたびれた個体に見えないが案外長生きしていたのかもしれない。

ハエもいろいろ見てくるとだんだん愛着がわいてきて、こいつなどは金属光沢のあっさりした頭部や胸部で美しさがあるし、なぜだか、動きが実にゆったりしたものでかわいらしいものであった。


2014.01.25

あれこれ325

玄関先のカラーの葉にはムシが良く寄ってくる。前々回のコバエに続いて同じようなコバエを捕まえた。
触角がやけに大きかったり、背中の棘毛の感じなど似ているところもあったので、雄雌の違いかなとも思った。
しかし、@とAの翅のスケッチを見比べると、似ているところもあるが明らかに異なる。
保育社の原色日本昆虫図鑑の翅脈図を見るとハヤトビバエ科のようだ。
ネットで調べると不快害虫駆除のページが沢山出てきた。小さくて食品の中に紛れ込んだりもするらしい。チョウバエのように良くいるのだろう。
さらに探すとフンコバエ科(旧称ハヤトビバエ科)として図付きで解説してあるのがあった。ここ
名称変更は飛翔力が弱いなど生態にあった英名に習って改称を提案している学者がいるそうだが、普及していないともあった。
「後脚の第一ふ節が太く短いのがパッと見の特徴で、ふ節が・・翅脈が・・さらに無翅、小翅・・翅に紋がある・・後脚が太い・・顔が特徴的など、種によって、実にいろいろな形態を見せてくれて見てると結構楽しいハエなのです。」とあったが実際口器の開口部は広くて変な形をしていた。
以下にそこの解説の一部を転載します。

フンコバエ科プロフィール
@体長0.5〜6mmの種が多く、体色は黒色から褐色の種が多い。
A種によっては体の一部に黄色や赤褐色がまじることもあり、まれに体色そのものが黄色の種もある。
B翅は無色の透明の種が多いが、時には斑紋や、斑点を持つ場合もある。
C幼虫は糞、腐植を食べる種類が多いと思われるが、キノコなどの菌類を食べる種も知られている。
D生活場所は、林内地表近くや水辺などで多くの種が見られる。
E有名どころの種としてはハマベフンコバエが衛生不快害虫として知られている。


2014.01.20

あれこれ324

MWSの珪藻プレパラートはいくつか求めたが、一番覗いたのは初めて買ったE−P1だろう。
ただ覗くだけでなくスケッチもしていたので、それを引っ張り出してきて切り貼りしてみた。

初めは大きくて目立つものばかりだったが、そのうちに小さいものになり、さらに、珍しいものに移っていった。
左の画像は、ほんの少ししか入っていない珪藻がほとんどで、例外は6番目のフナガタ珪藻だけだ。
特に、一番上のギロシグマは、大きさは中程度だが薄い被殻で背景に紛れてしまっていたのを見つけたときは感激ものだったのを思い出す。
数字が2種類あるので2ヶは見つけたわけだが、わざわざ計測して記録しているのはよほど嬉しかったとみえる。
5番目のアミバリ珪藻も5,6ヶはあったと思うが、位置を記録して、再度探しても似た形のフナガタ珪藻が沢山あって紛れてしまうのでなかなか見つけられなかった。
この珪藻は胞紋が見えなくて、何とか見ようと苦労した種で思い出深い。図にも予感のみと書いている。

この試みは途中で止めたのでまとめるところまではいかなかったが、MWSのファンはものすごい人が結構いるようで、この人はキノコ屋さんだがMWSの珪藻プレパラートから65属189種の珪藻を撮影し「珪藻ギャラリー」ここ(リンク先がなくなりました。) を公開している。
時間も掛けて相当苦労しているはずであるが、容易くできたように見える、きれいにまとめられているサイトだ。


2014.01.15

あれこれ323

キモグリバエの1種ではないかと思う。体長0.2センチメートル。ほとんど黒で翅が鈍い白の小さな地味なハエである。
ウィキペディアによると世界では160属2000種、日本では52属145種いるそうだ。無論こんな地味なものでなくカラフルな派手なものもいるようだ。
食性は腐食性、植食性、肉食性、寄生性となんでもありというのだから、いろんな試みをして皆成功した種類なんだろう。
ところで、いわゆるハエは全身細かい毛に覆われているが、このハエは覆われていないようだ。対物20Xで見えなかったから間違いないと思うが。ただ部分的に、例えば小楯板などには細かい毛が沢山生えていた。
ハエと微妙に特徴が違う小さいながら興味深いハエである。


2014.01.10

あれこれ322

新年早々に家の者がアカイエカ(多分)を二匹捕まえた。一匹は腹が黒々としていて、まさに血を吸った奴だった。
はたき落とされて気絶したようでケースに入れると元気に動き始めた。蚊はパチンと叩いてつぶすのが普通だが、家の者は小生のためにそうしなかったようだ。ありがたい。

水飴を水で薄めて与えたところ、9日現在で血を吸った一匹はまだ生きている。
血の養分もあるので水飴のせいばかりとは言えないが、こんなに生きるとは思わなかった。
その分しげしげと観察できたが、全身を覆っている鱗毛がかなり脱落しているのに気がついた。

こんな時期に蚊が出てくること自体が驚きだが、片端にこそなっていないが表面がぼろぼろになるぐらい随分と長生きした奴なのか知らんと考えたものの、蚊の鱗毛は触ると簡単に飛び散るので、はたき落としたせいかとも思える。
しかし、触角の棘毛は簡単には取れないようだが、右側はだいぶ残っていたものの左側はぱらぱらだったところを見ると、やっぱり長生きかなどと不思議な感じになったのだ。


左図は深度合成をしました。途中で飛び去ったり、微妙に動くので怪しいものしか出来なかったので、説得力に乏しい写真で残念ですが、脚のところで言えば、黒い点々が残った鱗毛で、本来なら明るいところが全くないほどびっしり付いています。


2014.01.05

あれこれ321

山水の勉強はしていないが、芥子園画伝を手引きにして、というよりは模写をしてそれらしいものにしたのが左の図だ。
芥子園画伝は、樹譜や山石譜あるいは人物屋宇譜などに分類したパーツ集で、それぞれに有名画家の画風などで作った作例がずらりと並んでいる。
修行中の画家はこのパーツ集を学ぶことにより先人の苦労の成果を容易く学べるわけだ。
見るだけでなく模写をすると筆の動きまでも感ずることが出来るし、もう一歩進めてパーツを組み合わせるとインスタントの山水画になるわけだ。
それで北宋の郭熙の樹木と、時代は下がるが元の王蒙の山石、それに坡(上面が平坦な部分)の描き方の三つをまとめて模写したものだ。

ところで、昨年の暮れに国立博物館東洋館で当該館のリニューアルオープン記念として「上海美術館 中国絵画の至宝」の展示があった。小規模なものであったが郭熙の「幽谷図軸」や王蒙の山水もあった。
郭熙は日本で言えば平安中期の人だから、時代相応の古色がついていたが峨々たる岩山に、遠くは葉のある木々が小さく連なり、中央には葉のない巨木がある大きな掛け軸で迫力があった。
おもしろいことに絵の上に、後世の人の仕業だろうが大きな字で神品と書き横になにか細々と書き足しているものがあった。内容は無学で読めなかったので定かでないが、この絵は郭熙の真筆であると声高に言っているのではないかと思った。わざわざ言うのはなにか怪しい感じもした。
中国絵画を見る機会は滅多にないし、美術館所蔵の掛け軸や巻物をゆっくり見れて満ち足りた時間だったのだが、罰当たりなことも思ってしまったのだった。


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