あれこれ、日々に感じたことを書いていきます。

過去のあれこれは下線のある番号から
      2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 最新

2018.12.30

あれこれ680

今年最後の「あれこれ」はMWS放散虫プレパラートJ482だ。 オリンパスBH2、対物10倍、暗視野照明である。深度合成は品に欠けるところが多多生じるようだがピントの範囲が広くなるので形は捉えやすいと思う。
壊れたもの主体で注文したので球状のものは内部を直接観察できるものが多くある。多重構造になっているものも多いが、ここにあるのは一皮だけで、特に中央上部の二点は華奢でいびつな形のはかなさに引かれた。

顕微鏡の世界の大きさの放散虫でも長い時間をかけて海底に死骸の分厚い層を作り、ついにはチャートとなって大陸の一部になっている。単調だが恐るべき時間の長さでやり遂げているわけだ。
それに較べると人間の歴史は短時間で輝かしい成果をあげたとも思うのだが、生まれては消えを悠然と繰り返し分厚いチャートになる生き方もなにか尊いもののような気もするのである。


2018.12.25

あれこれ679

カシバードで、日課になったサイクリングコースを表示した。コースの国道135号線は真鶴道路の裏道になって交通量は少ない。狭小な場所は順次整備されて残り少なくなっているし、曲がりくねった道路で海と山の間を楽しくサイクリングできるところだ。難点は平坦なところはなく下りは快適だが登りはエイヤエイヤになることだろうか。
電動アシストで走って居たところだが自力で走りたくなり、クロスバイクを求めた。車重13.5kg、ギア比 1〜3.43である。走りきれるか不安だったので中古にしたが、はじめは息も絶え絶えで大汗をかいたものの走り切れたし、3ヶ月たった今では鍛えられたのか大分楽になった。
しかし、この道を走っているのはロードバイクばかりで、あっという間に追い抜いてゆく。ロードバイクならではの走りかもしれないが男はともかく女性に抜かれると情けなくなる。自転車を変えると追い抜かれないようにできるかもしれないが今のままではどんなにがんばってもあの速度は出ない。などと考えながら走っているのだが、今の平均時速15〜16km/hが一年たってどのくらいになるか楽しみでもあるのだ。


2018.12.20

あれこれ678

昆虫の観察を始めた頃は何も知らないに等しかったので捕まえては熱心にスケッチして驚いてばかり居た。
アブラムシも成虫に翅ありと翅なしのものがあるのさえ知らなかったぐらいで暢気なものだった。
この図は10年ぐらい前のものだが昆虫の胸部が三つにわかれているのでその正確な形を捉えようと努めていたのだろう。当時のことは思い出せないが熱心に書き込みをいれているので多分そうだと思うのだ。
新しい発見がつぎつぎとある幸せな時代でもあったわけだ。


2018.12.15

あれこれ677

コフキゾウムシの脚でも脛節の棘毛は針のようで毛らしくなるが、やはり虹色に輝いている。ほとんど寝ているので根元の外皮はそれに適した凹み方だ。
附節は接地して体重を支えるところだが、脛節の端部も土や葉に当てて体重を支えているときがある。太く短い形に溝がついたりしていかにも頑丈そうである。


2018.12.10

あれこれ676

昆虫の色は不可思議なことが多多ある。
実体顕微鏡を覗いて驚いたことの一つが色だった。さらに金属顕微鏡の世界は想像もできないものだった。前回の白い毛が透明だったりするのがそれである。
白い毛がないかと言えば、あるところにはちゃんとあります。図上段のコナラシギゾウムシの小楯板は肉眼でも白い点で目立つが、太くて明解な白毛がびっしり生えている。体の下面にも疎らだが白い毛がある。
毛状ではなく鱗片状のもある。下段のコフキゾウムシはキラキラ輝く不思議なものだ。しかも形の違うものが幾種類もあって体のアチコチを飾り立てている。外皮そのものは真っ黒クロスケである。肉眼で見ると薄緑の粉がまぶされているように見える。まさに粉吹象鼻蟲である。


2018.12.05

あれこれ675

ヒシモンナガタマムシの毛の色違いを確かめようと軽い気持ちで金属顕微鏡を持ち出した。
結果は画像の通りで、え!と驚かされた。白いところは透明で黄金色の感じもある毛があるだけで白はどこにもない。紫色のところは全体に紫で毛もその色になっている。
大型のタマムシは美麗な金属光沢色のものが有名だし、その色が構造色によることもよく知られているので、小型種でも構造色で光の当たり方で色違いになるのはおかしくないと思うが、常時、白と紫の菱紋になるのはどんな仕組みなのか見当もつかない。
表皮に小さな鏨を真っ直ぐに、あるいは斜めに細かく打ち付けて丸い窪みを多数作り、窪みの中心には毛を植える。というのが点刻のある昆虫の普通の姿と思うが、この場合は、毛の根元を保護するように頭の三角な板があって一段と複雑になっている。こんな構造は初めて見た。
実体顕微鏡で見ていたときと大違いになったわけだが、小さな昆虫では良くあることである。


2018.11.30

あれこれ674

甲虫(鞘翅目)目タマムシ科ナガタマムシ亜科ヒシモンナガタマムシ、体長0.6センチメートル。
ナガタマムシは平べったい頭部の中央が凹んでいるところに、かわいらしい目と触角が目だつし、小さい胸部と後ろの方が膨らんだ特徴のある腹部に、細くて短い脚などで見分けやすい虫だ。
小型の虫で肉眼でははっきりしないが紫色のキラキラした模様がある綺麗なものである。ネットにいくつかでているが、毛の生えているところが白くなり、生えていないところが紫色になる。という解説がついている。
確かに白い毛が沢山あるところが白色になっている。では、紫色のところに毛はないかというと実は透明な毛がある。全身毛に覆われているのだ。ただ種類の違うものが混ざっており、それが模様を作り出しているわけだ。
表皮も彫刻や点刻で刻み込まれている複雑なもので、実体顕微鏡で70倍程度まで拡大しても見極めが難しく歯がゆい思いになる昆虫である。


2018.11.25

あれこれ673

アステロムファラス属(Asteromphalus)はどんな姿をしているかは電子顕微鏡写真を見るのが一番だ。ネットにはいくつかでているが、微妙に変化しているので、これが正解だというものがひとつあるわけではないようだ。
それで、ここに描いたものはアレンジしたものだ。帯面は2個のものしかなかったが全体図程度の厚みだろう。殻面の模様は盛り上がり方の程度がいろいろあるようだ。内部は二重構造になっているのは間違いがないようだが形は種によって変化しているようだ。
実は珪藻はガラス細工なので電顕写真は実際と違う。復元図は透明なガラス細工に表現しなくてはいけない。しかも生きているときは薄い有機質の皮膜に覆われているし、内部は葉緑体などもあり複雑な色模様もある。人間が珪藻よりも小さくなって珪藻を見上げれば素晴らしい姿に心打たれると思うのだ。


2018.11.20

あれこれ672

MWS珪藻プレパラートのKMR-01(沿岸)は大きめで変化に富んだ珪藻が沢山あって楽しいものである。画像のアステロムファラス属(Asteromphalus)は、ほんのわずかしか入っていないが南極の化石種のものにも入っていたから息の長い珪藻だ。高台のない薄い皿をひっくり返したような珪藻だと思う。しっかり見える筋は内部を補強するように細く盛り上がっているだけで、表面は平滑で細かい穴が多数空いているといったものだろう。同様なもう一枚があって数個の輪っかを挟んだ物が生きているときの姿に違いない。なんとか形を保っていたが封入剤が固まるときに割れてしまったデリケートなやつ、という趣もある。
白光色の砲弾型LEDの照明に変えた古くさいオリンパスFHAで検鏡したものだ。顕微鏡はここ。


2018.11.15

あれこれ671

玄関先にシャリンバイとカラーを植えているが良い昆虫採集場になっていた。シャリンバイに着いたアブラムシと、それがカラーに落とす蜜を目がけていろいろやってきたのだ。それがいつの頃からか寂しくなってきて最近は何も居ない時が多くなった。アブラムシが居なくなったせいである。
隣家にもシャリンバイがあってアブラムシがいたが、それにも居なくなっている。地域全体にアブラムシが少なくなっている印象もある。何が原因か不明だが、おおもとの餌になるような奴が減れば影響は大きい。これに限らず昆虫にとっては住みにくい世になっているのは確かだろう。
そんなこんなで虫集めもご無沙汰状態だ。なので悲しいが2014年1月撮影のコバエをご覧頂だこう。触覚と頭のピンボケを3枚の合成で改善した画像だ。


2018.11.11

あれこれ670

国立科学博物館の生物の歴史の一部で三ドメイン説の系統樹だ。40億年前に誕生した起源生物から真性細菌(バクテリア)が別れ、その後、古細菌との共通祖先から古細菌(アーキア)と、真核生物が別れて現世に続く華麗な生物相ができたわけだ。複雑な生物界も整理するとたったの三つ、原核生物の真性細菌と古細菌、そして真核生物に纏まってしまうわけだ。
たまたま見ていた放送大学で二河教授がRNAの塩基配列の分析で三ドメインの系統樹が明確になることを話されていた。確か国立科学博物館で写真を撮っていたよな。で探したのが今回の画像だ。薄暗い館内でバックライトで浮かび上がる絵と文字を読み取る方式のものを手持ちで撮影したものだ。鮮明さには欠けるがブレなくて良かった。


2018.11.05

あれこれ659

アリの体は硬い外骨格で包まれているが、口器は柔らかい部分が多い。普段は体の中に引っ込めて小アゴと下唇の固い部分で開口部をふさいで柔らかいものはでていない。でているのは大アゴと小アゴひげだけだ。初めて口器が出てくるのを見たときはたまげた。昔見た「エイリアン」でリプリーが宇宙船を破壊し脱出したカプセルで眠りにつこうとすると潜んでいたエイリアンの歯がユックリとでてくる恐怖の一瞬を思い出したほどだ。
解剖して取り出してから上面と下面をスケッチしたのが今日の図だ。ハエの口器も複雑だがアリもなかなかである。外皮が口から陥入して肛門まで達し開口するのが動物の基本形態だろうが、上唇とか下唇が外皮で口の開口部から陥入しているのだろう。柔らかい外皮では動かせないから、固い部分がアチコチにある。図の濃く描いてある部分だ。これに筋肉と神経がついて動かせるわけだ。
と、頭をめぐらせるのが精一杯。正確で明解な形はどのようか、筋肉がどうついているか、神経は、と見極めるのは工夫がいるし手先が動いてくれないと話にもならないし。である。


2018.10.30

あれこれ658

これも大分前に撮影したものだ。最初に買ったものの一枚で教育用プレパラートE-M1である。安価に設定されているかわりに封入材を厚めにして作りやすくしてあるそうだ。買ってすぐではないが、クモノスケイソウの構造を想像しているとき、水平面だけでなく横面も見られないかなと思ったが、大きくて厚みがない珪藻なので、そんなものは見られない。もしかして、カバーグラスからはみ出たところにはあるのではないかと探したら見つかりました。
E-M1は海の珪藻をマウントしたもので、大きくて変化に富んだ珪藻たちなのだが、散らしといえどもぎっしり詰まってはい ない。なので、はみ出したのもぱらぱらある程度なのだが、クモノスケイソウの二枚重なったのが上手い具合にあったわけだ。横の線がカバーグラスの縁で、はみ出たもののガラスに吸い寄せられたようだ。
カバーグラスの外はごちゃごちゃと埃が見られるが、これは数年間の取り扱いで、はみでた封入剤の上に付着したものだろう。クリーンさもMWSプレパラートの特徴のひとつなのだが、その状態を維持するのは簡単ではない。という見本にもなってしまった。


2018.10.25

あれこれ657

初めて顕微鏡を買ったのは2008年の5月だ。シマズの簡単な実体顕微鏡で蜘蛛や昆虫を見ていた。最大40倍だったので倍率に不満を持ちだした。何を血迷ったのか高倍率を求めて生物顕微鏡をネットオークションで買った。3000円の極簡単な奴だった。400倍まで拡大できるが昆虫のような大きさのものや厚みのあるものを見るものではなかった。それで何か見るものはないかとネットで探したのがMWSの珪藻プレパラートだ。2009年の1月だった。
これは届いたプレパラートを初めて撮影したものだ。写真鏡筒もない単眼の接眼部にニコンE5000を押しつけたコリメート法での撮影だ。顕微鏡は反射鏡の光をコンデンサなしでターレット式の絞りで照明する原始的なものだったが、絞り部にはトレーシングペーパーをセットして、光源は8灯式のLEDを使った。MWSの「本日の画像」を見ていたので、その指導に従った照明方法だった。
結果はご覧の通りである。明暗を調整しているのと、ネットに載せるので画素数を減らしているがほぼオリジナルだ。この画素数ではクチビルケイソウの胞紋を見分けられないが、もと画像ははっきり見分けられる。初めての撮影は大成功だったようだ。これに味を占めて10万円弱でオリンパスBHSの中古を買ったりして珪藻の世界に深入りするようになったのだ。


2018.10.20

あれこれ656

MWS珪藻プレパラートのKMR-01(沿岸)を探して4個入っていたAuricula属と思われるうちの二個目だ。画面は前回も今回も撮影した範囲をそのまま見せているので大きさは比較できる。やや小さな奴なのが分かる。
完全な姿で水平に封入されているから条線が綺麗に流れているのが心地良い。他の珪藻が絡んでいるのはご愛敬だ。


2018.10.15

あれこれ655

F120号、ヨコ194センチメートルタテ130.3センチメートルである。これでも都美術館の壁面では小さく見える。他を威圧するにはこの倍の大きさでも不足する。大手の公募団体では見上げるような巨大な画面がこれでもかと言う具合に並んでいるところもある。
小生の出品している新作家展はこじんまりした会なので100号クラスが平均の大きさで、大きいのはそれほどないし、50号は結構ある。気張らなくてもユックリ見て貰える会だと思っている。
この絵はそんな場に相応しいだろう。自分でもなんで描いているのかよく分からないが、手数を少なくして、はかない感じがでれば良いと思いながら描いた。弱々しいものがもぞもぞと群れている感じが心地良く思っていただければよろしいのだが。


2018.10.10

あれこれ654

少し前のこと、MWS「本日の画像」に柄のない団扇のような珪藻がでた。「Auricula属と思われるが分解能検査に使える特性がある。非常に被殻が薄くて取り扱い困難な部類に入ります。」とのことであるが、散らしのプレパラートで見ていたものだ。KMR-01(沿岸)を探すと4個入っていた。貴重品ですね。その中で壊れていたが、一番大きくてほぼ水平でもあるし、一緒に映っている居るのも魅力的な奴なのをご覧頂きたい。


2018.10.05

あれこれ653

当時どんな気持ちで描いていたのか思い出せないが顔とか手とか部分に集中して描いていたものが残っている。今日の画像はその一部だ。
筆ペンは少ない手数で確実に写すことを求められるので厳しい道具だったが、何とかものにしようと頑張っていたわけだ。 ボールペンも的確な線を一発で決められれば繊細なものができるが至難な技である。それで何本も重ねるような描き方になりやすいし、それが柔らかな味ともいえる表現になる。陰影をつけていくと立体感も増してくるわけだ。モデルの方とどの程度似ているか確かめようもないが、年齢とかを感じていただければ上手くいった部類だろう。


2018.09.30

あれこれ6562

15年前のスケッチで、万年筆型の筆ペンで描いたものだ。

電車の中で真正面の人を描いている訳なので今思えば大胆なことをしていたものだ。

じっと見つめてじっくり描くなどとはできないから、ちらっと見てぐいっと描くという具合だ。筆ペンだと力強い線が引けるし、細くも太くも筆の扱いひとつで使い分けられる。

無駄な線は御法度である。それだけ厳しい道具だと言えようが使いこなせるように学んでいたわけだ。

あちこち破綻があるがご愛嬌だ。


2018.09.25

あれこれ6561

真鶴道路の旧道を小田原から走る。真鶴町の標識が出てからしばらくすると切り通しにかかる。過ぎると眺望が開けてこの景色を見ることになる。
真鶴港の水面がわずかに見え、真鶴半島越しに大島が姿を現す。右に初島が浮かび、天気が良ければ利島や~津島も見える場所だ。
この緑に包まれて家々が港を囲んで立ち並んでいる。この小さな画面にしっかり地べたにひっついたように描ければ小生も威張れる。さんざん歩いているので、真鶴トンネルの排気筒の周りとか半島の付け根の魚料理店とか岡の上のマンションとか、見当のつく建物はいくつもあるので描きやすいはずなのだが難しいことである。


2018.09.20

あれこれ6560

家に閉じこもっていると体の調子が悪くなる。散歩すれば良いので盛んにしたものだったが、連れの犬が亡くなり一人歩きはつまらなくなっていつのまにかしなくなっていた。
妻が使うからと購入した小口径の電動アシスト自転車が遊んでいたのを引っ張り出して乗ってみたら行動半径が広がって快適だった。平らなところは少ないが電動アシストなので坂もたいして気にならない。
今日の絵は米神に入る手前の細道を描いたものだ。この先を左に、坂を降りると集落になる。ここまで約9キロメートル30分ほどで来れる。一休みを兼ねてスケッチをしたわけだ。遠景は大磯丘陵でその上の雲はミニ入道雲だろうか。いったん涼しくなっていたが暑さが戻ってきたのでできたものと見える。


2018.09.15

あれこれ6529

MWS放散虫プレパラートJ482から。CombineZPの深度合成を手作業で補正したものだ。これも破片だから完全な姿は知るべくもない。球状に見えるところも脇を見ると凸凹だが上は滑らかに見えるのも不思議なことだ。
頭を悩ますのはよしにして何か連想できないかなと画像を回してみたら、蓋の切れ目とつまみがあったらぎっちょ用の急須に見えなくもないなと一人にんまりしてしまった今日の画像だ。


2018.09.10

あれこれ6528

電車に乗ることも滅多にない生活になっているが、先だって東京に出かけた。酒を飲み遅い時間に帰る。だんだん人が減り疎らな乗客達を酔った目で眺めるともなく眺めていたが久しぶりにスケッチしたくなった。

それで描いたのが左の図だ。
スマホに夢中で余り動かない。絶好の対象なのだ。


2018.09.05

あれこれ6527

MWS珪藻プレパラートBKK_02沼からキンベラ(クチビルケイソウ)だ。盛大に壊れているし周りも小型のものがひしめきあっている。散らしのプレパラートの特徴だが、こういうものに引かれてしまうのは何故だろうかとも思う。
白色LEDで照明したままなので色収差がでている。科学的にはアウトだが、これも好みだ。やはりへそが曲がっているとみえる。


2018.08.30

あれこれ6526

10月の新作家展出品作だ。元画像を見ながら大体の形をおとしたところである。今回は珪藻の姿は消えて欠片達の乱舞といったところであるが抽象画みたようなものになってしまった。
このようなものが理解を得られるか怪しいが変遷を重ねてここまで来てしまったと言うことだろう。始めたばかりでこれからどうなるか定かではないが、部分と全体の関係に緊張感があり躍動感のあるものになってくれることを切に願う。


2018.08.25

あれこれ655

昔のスケッチブックを見たら小笠原がでてきた。20年程前だ。今でもやっているか定かではないが、出航の時ボートの見送りがあった。1枚目は港を出て父島の端を見ている。ここで6隻を描いているがもっといたかもしれない。2枚目は兄島の脇で弟島も端に見える。ここまでついてきたのが1隻ドリーム号Uで舳先の4人が海に飛び込んだ。すっかり忘れていたのだが時間までメモしてある。
小笠原は行きも帰りも大変なところだが独特のしきたりなのだろう。沢山のボートが併走するのにビックリし、だんだんと減ってゆき最後は飛び込みのアトラクション付きだった。遠ざかる停止したボートが名残惜しさをいや増したことが懐かしい。


2018.08.20

あれこれ654

MWS放散虫プレパラートJ482から。CombineZPで二段に分けて深度合成し手作業で重ねたものだ。10日に載せたのと同様のものだろうが壊れ具合も多いし骨太で荒々しく見えた。綺麗と言うより怪奇さがまさるのではないだろうか。


2018.08.15

あれこれ653

暑い日々が続いている最中に湯河原の幕山公園にゆく。あまりの暑さからか人は少なく奥に進むと無人状態だった。自転車をノンビリ漕いでいると前方路面に緑色にきらりと光ったのがこいつである。
拾い上げると小アリがでてきたから中身を喰われつつある状態だったが、まだ形はしっかりしていた。残念だったのは脚の附節まで無事だったのは1本だけだったことだ。もげる理由は分からないが、まともな死骸のように見えても触覚とか脚の欠けているものは多い。

カナブンかと思ったが後肢基節が接しているのでアオカナブンらしい。カナブンにもこの色はあるらしいが今まで見つけた奴は緑色でも褐色味を帯びていた。

手元に実物を置いてこの画像を見るとあまりの違いに愕然としてしまう。本物はキラキラと輝いていて向きを変えるとどんどん変化してくる。蛍光灯の光でも綺麗だが、強い太陽光線の下では宝石のようなきらめきだった。

広い世間には、この美しさを再現できる人もいるので妥協してはいけないと思うのだが。これが精一杯だ。


2018.08.10

あれこれ652

MWS放散虫プレパラートJ482から。CombineZPで深度合成し手作業で補正したものだ。この放散虫は姿を想像しやすいと思う。ふっくらとした四角錐状で、頭に小球と角をいただき、数本の尖った脚を持っている。
下側の半分がなくなっているので重なるものがなくスッキリ見れる。しかも、スカートの部分は断面が顕われているので厚みが分かる。かなり分厚いが、もしかしたら中空かもしれない。毎度のことであるが、このようにいろいろ考えさせて貰える絶妙の位置で封入されていると唸らされるのである。
検鏡するのに目に優しく色収差のでない緑はおすすめというのは随分昔に教えて頂いたのではあるが、実際こんな感じで見えて美しいものだ。色フィルターを使う方法もあるが今は緑のLED、しかもパワーLEDが簡単に手に入る。多少の電子工作で緑色の顕微鏡光源が自作で簡単に手に入るわけだ。


2018.08.05

あれこれ651

我が師、川上尉平先生の岳父は日本画家尾竹竹坡である。結婚されたときは既に他界されていたので接点はないし岳父の話をされたこともなかったのだが、誰から聞いたのか定かでないが先生の岳父は尾竹竹坡だという名前は記憶に残った。1988年に東京都美術館で開催された「1920年代日本展」で斬新な日本画にビックリしたがその作者が竹坡だった。
1920年代は大正末から昭和初期にかけて近代化が進み日本が大きく変わって輝いたときである。絵画、彫刻、写真、建築、都市計画、舞台、映像、工業デザイン、グラフィックデザインなどおよそ150人が生み出した400余点が展示され旧弊をすてたモダニズムの成果で時代の息吹を感じられる構成になっていた。もっとも、1930年代に入ると満州事変から支那事変、太平洋戦争と破滅の道を歩み自由な表現は弾圧されたのであるが。
尾竹竹坡の本来の作品は伝統的なものであるが、岡倉天心と衝突した影響もあって斬新な抽象とも言える作品群を制作したらしい。
氏の人となりが感じられる文章も紹介したい。菱田春草を追悼して語ったものが山種美術館で開催された「春草展」の図録に記載されていたものである。
菱田春草氏の遠逝
尾竹竹坡談
春草君の作品に就て、今更彼此いふ必要もない、明治の第一人である事は無論である、春草君は美術院時代から毛色が変ってゐて、四十を過ぎたら什麼物を書くのか計り知れなかった。然し最近三年の作品を見るに、氏が生涯の目的としてゐた為すべき丈けのものは、総て現はれてゐるのではないかと思ふ。世間では年を老らねば大家でないようにいふが、氏は何といっても現代の第一人で、五浦派の観山、大観、武山よりも、私は後れてゐないやうに思ふ。氏は古い画をも人より以上に味って、而して新しいズバぬけた画を成したが、過渡期の今日画家が発展する方面に迷ってゐるのに、氏独り新らしい作を出したのは、実に感嘆の外はない。私が不思議と思ふのは、一昨年以来「落葉」から「黒き猫」「烏と雀」などを画いたが、支那人は斯ういふ物を画にすると、其人の寿命が縮まると云ってゐる。夫れに氏は感興がさう浮んで、不縁起な事を描いたが、後で巽画会で評判の「南天」を描いた。之れも縁起の悪いものだが、遂に死んで了ったのは不思議である。氏の性格は世間に誤解されて、不人情などゝ云はれるが、氏は無口で心から許した友でなければよく語らぬので、夫が因となったのであらう。我慢強くて寂しい深みのある氏の気質は、軈て氏の作品に遺憾なく現れてゐるのだ。ア、明治の大きい人を失って了った、惜しい事をした。(日々)
(東京美術学校校友会月報十巻二号明治四四年十月)


2018.07.30

あれこれ650

MWS放散虫プレパラートJ482からもう1種をお目にかけるが、どんな形をしているか想像しにくいものだ。中央は穴あき球が大小2つあるようだがその周りの円盤がどうなっているのか全く考えられない。もやもやしていて、ここがピント位置だと明確に言えるところがないせいだか、なぜそうなるか分からないから始末に困るのである。
素直に考えるとバームクーヘンの中央に球を埋め込んだようなものだが、説得力零である。


2018.07.25

あれこれ649

MWS放散虫プレパラートJ482から十字型のものだ。名前などもサッパリ分からないし、どんな生活をしているかも想像もつかない暢気さであるが、単純に眺めて喜んでいるわけだ。
厚みの薄い十字型の箱に、もっと薄い円盤がついたような形をしているように見える。全面に小穴があいたガラス板で組み立てられた箱なのだろうが、画像を見る限りでは穴はあいて無くて凹ましたように思える。
多数で深度合成しても上手くゆかないので4枚を撰んで簡単に合成したものだか、このほうが特徴が良くでていると思うのだ。


2018.07.20

あれこれ648

昆虫の外骨格表面は興味深いものがある。赤矢印先の画像はコナラシギゾウムシ(多分)を金属顕微鏡対物レンズ40Xで撮影したものだ。ピント範囲は狭いから、わずかな高低差でも一枚では納まらない。
@の上翅はほぼ平で亀甲模様が刻まれている。もともと翅で、それが固くなったものだ。A、Bは前胸の同じ位置でピントを変えたものだ。外骨格に凹ませた穴の中心から棘毛が生えているのが見て取れる。
このような違いを見つけ出すと実に嬉しい気持ちになる。なんとか絵に出来ないかとずっと思っているのだが、これだけ描いても何が何だか分からないし、全体を描きながらとなると大画面で気の遠くなる作業になるのは確実で悩ましいことだ。


2018.07.15

あれこれ647

ナビクラ(フナガタケイソウ)の計測間違でめげるところを頑張って20個を集めてグラフ化した。
長さ方向の大きさの違いは、最大47.6μm最小は33.3μmで最小値は最大値の71%であった。幅方向はそれぞれ10.7μm9.2μm86%になった。いい感じかなとも思うが、縦横比は直線に乗らなくてばらつきが大きい。違う種が混じっているのか、ピント位置や珪藻の傾きなどの影響もあるかもしれない。素人がチョコチョコと作ったデータの信憑性は低いと言うことだろう。


2018.07.10

あれこれ646

MWS珪藻プレパラートASK_01池でナビクラ(フナガタケイソウ)はいろんな種類が沢山入っている。細長いのやズングリしたものなど形の違いがはっきりしているものもあるが、似たようなものもある。@とAは太り具合が随分違う。AとBは似たような姿で比率を変えないで単純に半分ぐらいにしたように見えるが胞紋の10マイクロメートル当りの数は小型の方が倍くらいある。
@ABそれぞれ別種と言うわけだ。

いくらなんでも相似形はないなと元データを見直したら@Aは撮影器具を取り違えて計測していた。赤数字が正しいので、ABは同種だった。


2018.07.05

あれこれ645

今年4枚目の油絵だ。P50でコナラシギゾウムシを色を無視して描いた。グレーのモノトーンも数描いてきたので目先を変えてセピア調にしたのだが、だんだんコントラストが強くなってきて、これではセピア調とは名乗れない。どうしたものか。悩ましいところだ。


2018.06.30

あれこれ644

MWS珪藻プレパラートBKK_02沼でプラノチディウム(フトスジツメワレケイソウ)は一個しか見つけられ無かったが池ではどうかとASK_01を調べたら結構あったので寸法を計測して比較した。
グラフは昔調べたフルツスリアも比較のために載せた。プラノチディウムの倍ぐらい大きい珪藻だ。サンプル数は少ないが似たようなまとまり方なので傾向は見て取れると言って良いだろう。
この珪藻は裏表で形が違うが、Fで縦条線のある面を載せた。@Aは大きさや形、胞紋の10マイクロメートル当りの条線数の違いから別種は明らかなので平均値や線形は除外した。
珪藻は細胞分裂して増えていくので形は似ていても大きさは3割前後は違うようだが、5個しか比較していないもののそんな数字になった。長さ方向に比べて幅方向はそれほど小さくなっていかないのもわかる。そこもフルツスリアと違いがあところだ。漠然と見ているだけではなにもわからないが、計測して表にしたりグラフ化すると色々分かる。散らしプレパラートならではの楽しみなのである。


2018.06.25

あれこれ643

F25に描いた二枚の油絵だ。上が「顔(エントツドロバチ)」下が「顔(オオハキリバチ)」と題した。
写真とスケッチを元に、しっかりした手順で描いているので破綻無くスッキリ纏まっている。と思う。
しかし、何となく物足りなかった。淡々と描いているだけで、なにかを強烈に表したい気持ちがないのがそのままでたようだ。それはそれでよいとして、というか無いものは仕方がないではないかと言うところであるが、そのかわり、見ていて「綺麗だな−。」となれば良いような気がこの頃はしている。
そうはならなかったのが残念ではあるが。


2018.06.20

あれこれ642

ネットで電子顕微鏡写真を見ていたら内部に小部屋のある奴がいた。20マイクロメートルぐらいの小さな奴だが、生物顕微鏡で観察していたときにそれらしい変わった奴がいたのを思い出した。極小さくて撮影したのはないのでMWS珪藻プレパラートBKK_02沼を引っ張り出して検鏡したらすぐに見つかった。簡単だったので拍子抜けしたが、その後は探せども探せども全く見つからなくて往生した。どうも希少種のようだ。すぐに見つけられたのは実に運が良かったわけだ。
プラノチディウム(フトスジツメワレケイソウ)と言うらしいが和名は上手く付けたものと感心する。
胞紋の付き方はピンヌラリアと同様みたいだ。なので小生は穴ではなく太い線でしか見れないがMWSさんは@のような画像を機材の選択や照明法のテクニックを駆使して撮っているような気がするのだが、どうであろうか。


2018.06.15

あれこれ641

50マイクロメートルぐらいのピンヌラリア(ハネケイソウ)をネットカメラの撮像素子で記録したものだ。@は上から見た感じに近いと思う。Bは殻のところで輪切りにした感じだろうか。
Aは似たようなピンヌラリアの電子顕微鏡写真を模写した。表面に胞紋が全く映っていないのは信じがたいのだが、電子顕微鏡で解像できないような細かさなのだろうか。
ピンヌラニアを生物顕微鏡で観察すると、胞紋は見えないものの窪んだ太い条線が連なりピント位置を変えると大きく変化するので、なかなか楽しい奴だと思っている珪藻だ。
窪んだ条線は薄い殻で他の所は同じ厚さで二重になっていると思う。脊椎と肋骨が中空になって軽くて強いと言うわけだ。
Aの「内部から」では黒丸があるので一皮の条線をさらに薄くして丸を連ねているのが分かる。胞紋はこの丸の中にさらに小さい穴をいくつか開けているのがピンヌラリアの特徴だが、Aの「表面」に点々がないので、もしかしたら三重構造になっているのかもと想像をするのだが、いくらなんでもありえないよねー。とも思うのである。


2018.06.10

あれこれ640

マルガタゴミムシの1種ではないかと思うが、体長0.8センチメートル。
庭の草取りをしてたらでてきたのを摘み取った奴だ。これと同種とは限らないのだろうが、今の時期はチョロチョロと良く出てくる。
元気そのものだが、よく見ると脚の欠けている奴だった。何故無いのか興味をそそられるところだが、一本だけならまだしも二本だし、体は綺麗だしで、何かに襲われたようにも見えないので不思議である。


2018.06.05

あれこれ639

イエバエの1種ではないかと思うがはっきりしない。体長0.6センチメートル。
我が家に迷い込んできたハエだ。殺虫剤をかけないでプラケースで捕獲、しばらく様子を見ていたが激しく動き回るので撮影は諦めて放置。翌日見たらひっくり返っていた。
それを脚の形を整えて撮影し深度合成したのが今日の画像だ。多少なりとも動ける奴だと脚がぶれて映るのだがそれがないので動くことは出来ない。筋肉の収縮はまだ強くないので比較的楽に整形できた。体液は残っているので収縮変形はこれからなので体型、体色共まだまだ残っている状態だ。棘毛も抜けなかったので生きている状態をかなり残して撮影できたわけだ。


2018.05.30

あれこれ638

前回に続いてMWS珪藻プレパラートASK_01池からのものだ。散らしのものの封入剤の厚さは顕微鏡的にはかなりなものである。この画像の右側は底に沈んでいて左のものにピントを合わせた状態では単なる影なのだがデジタルの手軽さで二枚を合成したので形が分かるわけだ。さらに、よく見ると6個の珪藻が重なっているのが見て取れる。
一番綺麗なのはカバーグラスに張り付いたようになっているもので、ここでは2個ある。そのようなものを素直に探して観察するわけだが、へそ曲がりとしては、斜めに沈みこんだ奴からなにか情報が引き出せないかとか、絵にならないだろうとか欲張りな心がむくむくと湧きだすのである。


2018.05.25

あれこれ637

MWS珪藻プレパラートASK_01池からのものだ。リサーチグレードの散らしスライドである。Jシリーズと違って多種類で大量の珪藻がランダムに封入されている。これは池のものだから静かな淡水に棲息しているものたちを見ているわけだ。といっても、人間で言えば骨が散らばっているのを見ているようなものだが。
対物レンズ40X、NA=0.95、自作の輪帯照明もどきの撮影でかなりトリミングしている。下の円心目が斜め左上からのような影になっているところが輪帯照明もどきの所以である。通常の明視野照明では立体感は出てこないが偏斜とか輪帯照明は結構立体感を表現できる。この画像は、ピンヌラリア(ハネケイソウ)の盛り上がった感じや円心目の細かい凹凸が上手く撮れたとお気に入りの奴だ。


2018.05.20

あれこれ636

「沖縄の旧石器時代が熱い!」は頭部だけでなく2万年前の港川1号人骨の全身復元像も展示してあった。鏡で後ろ姿も分かる。パネルでは骨の状態と沖縄にある初期の復元像と最新のものとを並べていた。あまり変わっているようにも見えないが、顔の細部がより鮮明になり、毛深かさが少なくなっているようだ。アクセサリーを付けているとか、獲物が鳥から魚に変わっているとかも重要なのだろうか。縄文人との関係は分かっていないようだが、新しい復元の方がより今の日本人に近いような気もする。
若い頃、民族学の本を読んだとき、どんな未開の人達でも性器は隠している。男性は棹だけ筒で覆っているのもある。などと読んだのが妙に記憶に残っているが、はたしてすっぽんぽんの復元は正しいのか、首を捻りながら見たのだ。


2018.05.15

あれこれ635

国立科学博物館で特別展「人体ー神秘への挑戦ー」が開催中だが、本館日本館では「沖縄の旧石器時代が熱い!」をしている。沖縄は珊瑚礁の島でもあるから骨が残りやすい。初めて日本列島に移住してきた人類の骨が残っている可能性まではないかもしれないが初期の人達のは見つかっているようだ。日本最古の人骨は3万6500万年前の幼児の脚の骨だそうだ。那覇市の市街地に残された石灰岩の丘にある小さな洞穴で1968年に発掘されている。
画像は博物館で撮影してきたものだが、2万7千年前の白保4号の復元頭部だ。骨の方は3号でそのものずばりのものではないが、頭部は同じような感じで全身の骨も合わせて寝かして展示してあった。頭蓋骨が完全な形で残っているわけはないので、破片をつなぎ合わせなくてはならないが、最近はデジタルで計測して、不足部分も対称のものから補ったりして3次元出力を繰り返してより正確な復元が可能になったようである。費用を抑えるため半分のサイズにした途中のものも沢山展示してあった。
人の顔は人生経験と加齢で魅力的にもなり無様にもなるものであるが、この復元は壮年の穏やかな顔つきで、背広にネクタイをさせると垢抜けた人ではないが、ごく普通の人で通りそうだ。それでも旧石器時代に沖縄で暮らしていた人なのだ。


2018.05.10

あれこれ634

1970年のコロンビア映画「ワーテルロー」の戦いを待つナポレオンだ。ナポレオンはロッド・スタイガ゙−、ウェリントンはクリストファー・プラマー、ルイ18世に巨体のオーソン・ウェルスがでていた。監督は「戦争と平和」を撮ったセルゲイ・ボンダルチェクである。映画はエルバ島を脱出したナポレオンがワーテルローで敗れるまでを描いているが、ワーテルローの戦いを再現したような戦闘場面ばかりのものだ。巨費をつぎ込んだ大作で小生は興味深く見たが世の中には受け入れられなくて大コケして、スタンリー・キューブリックが準備していた「ナポレオン」が中止になるオマケまでついている。
1819世紀初頭の歩・砲兵と騎兵が入り乱れるヨーロッパの戦いが忠実に再現されているのだろうが、これでもかと言うぐらいな激突で死傷者がおびただしくでるも互いに引かないで戦い続けるが、遅れてきたプロシャ軍の到着でフランス軍は追い詰められていく。最後まで戦い続けた部隊は降伏勧告を受けず全滅するところが出てくるが、この場面を見てフランス革命のエネルギーはここまで戦わないと納まらなかったんだろうなぁという気になったものだ。
それにしてもヨーロッパ人は争いが好きで、工夫をこらして勝利を収めようとする人種だと思う。この時代はまだ戦場での軍隊だけの争いだが、第一次大戦以降は総力戦になって前線の後ろも戦場になってしまったし、ろくでもない奴らだとも思うが、日本人も太平洋戦争を引き起こして同じようになってしまったのは残念ではあるが。


2018.05.05

あれこれ633

今描いているエントツドロバチの絵だ。ライトレッドで形を取り色づけを始めたところだ。

F25は横80.5センチ縦65.2センチで手頃な大きさだが、昆虫の頭を画面一杯に入れてあるのを初めて見た人はギョッとするかもしれない。

描いてる本人は実体顕微鏡で馴染んでいるから愛着もあるしかわいらしく感じるのであるが、世の中一般はそうでないだろうなとは想像できる。

歌麿の画本虫撰のように植物にまとわりつく昆虫の絵は日常の体験通りで親しみやすい。小生もそのように描けば人様には受け入れてもらいやすい。とも思うのであるが、どうしても昆虫主体の、しかもなにか奇をてらったようなものになってしまう。困ったものである。


2018.04.30

あれこれ632

キノコバエと言うらしいが肉眼でちょっと見たところでは小さい蚊だ。しかし、蚊のように人の肌に刺して血を吸う針はないし、触角も違うし鱗粉もない。似ているのは、頭が小さいし、胸に比べて腹がかなり長い細長い体つきと6本足の根元が寄り集まっているので脚が一か所から出ているように見えるせいだと思う。
昆虫の腹は消化と生殖の場所だから、餌をたっぷり食べたときと卵をたくさん抱えた時はパンパンに膨れる。こいつは雌で卵タッブリの状態だろう。そんなことに気付くようになって後ろめたい気持ちにもなるのであるが、と言って逃がそうという気にはならないのだ。


2018.04.25

あれこれ631

ヒメバチかコマユバチかも見分けられないが1センチ未満の小型の狩り蜂だ。小型の狩り蜂は黒々としたものが多くて目だたないものだが、こいつはオレンジとか黄色とかの部分が多くて居るのがすぐ分かる。
下からの画像は珍しいと思うので紹介しよう。この画像を見ると昆虫の6本脚はどう体についているかがよく分かると思うのだ。


2018.04.20

あれこれ630

MWSのJシリーズの続きだが小型の円心目でいままでどうやっても見れなかった胞紋が見れるようになった。赤の矢印で引っ張ったものがそうだが、左が対物レンズ10X,Na=0.25暗視野照明、右が40X,Na=0.95輪帯照明で撮影したものだ。暗視野だと胞紋が小さく密集していると青く発色して、見分けるのは難しくない。しかし、ここに並べられている円心目は円の中は真っ黒で穴があるようには思えないが、絶対にあるのが珪藻だ。見えていないのは被殻が薄くてコントラストがついていないせいだろうと見当を付けていたので何とかして見たいわけである。
大きいのはかすかに見えていたので中心が小さい胞紋が密集し縁に向かって大きくなっていくのが分かっていたが、小さいのも中央部の解像が出来てないので確かではないものの似たようなものと思える。安物のウェッブカメラだが肉眼だとよく分からなくともモニターを見ながらごちゃごちゃやっていたらうっすらと現れてきて人様から見ると他愛のないことだろうが「おお!見えた!!」と大感激なのだ。


2018.04.15

あれこれ629

MWSのJシリーズでは珪藻がこのように並べられている。小生の持っているものはこんな調子で73点が整然とあるわけだ。
少し前のNHKで制作されているところが放送されたが、実体顕微鏡下でシャープペンシルの先端に眉毛睫毛をつけたもので珪藻をハンドリングされている様子が拝見できた。眉毛睫毛の先で楽々と動かしているのだが、実体顕微鏡を使い慣れている小生でも、高倍率の視野に毛先を持ってくるだけでも簡単でないし、やっと持ってきて毛先をほんの少し動かしたつもりでも大きく動いて肝心の珪藻を視野の外に撥ね飛ばしてしまうことは確実だ。修練を積んで初めて出来ることだと思う。しかし。世の中には修練を積んだ人もいて、「本日の画像」にすべて自作の放散虫の見応えのある投稿画像が紹介されていた。それを見てるとため息をつくばかりなのだが出来る人は出来ると言うことだ。
下の画像はピクセル等倍で切り出したものを載せました。右側の胞紋はなんとか解像しているし、これで左も解像できていれば威張れるのですがね。


2018.04.10

あれこれ628

MWSのJシリーズからディディモだ。
ここのところの「あれこれ」で小生の関心はキチンとしたものよりはフリークなものに向いているように思われるだろうが、Jシリーズを覗いているとそんなことはどこかに飛んで行ってしまう。と言うわけで大型の見栄えの良いものを紹介するわけだ。
Jシリーズは夾雑物のないピュァーな空間に整然と珪藻が鎮座しているので、これぐらいの画像は難なく撮れて腕があがったような気分になる。実は錯覚なのですね。本家の画像を見ると一目瞭然なのだが、光り輝いております。ホントにどうしたらあのように撮れるのでしょうか。悩ましいことです。


2018.04.05

あれこれ627

喜多川歌麿の「画本虫撰(えほんむしえらみ)」模写の第三弾だ。

けら  あだしみはけらてふ虫やいもとせの ゑんのしたやにふかいりをして

耶奈伎浪良年加布(やなぎはらむかふ)

はさみむし  みし人を思ひきるにもきれかぬる はさみむしてふ名こそ鈍けれ    桂 眉住(かつらまゆずみ)

はさみむしは今でもよく見るが、けらはついぞ見かけなくなった。子供の頃は前脚を挟み込むと強い力で跳ね返してくるので、おまえのちんぽはこれくらいなどとはやしては楽しんだ記憶がある。
この絵をじっと見ていたらタケノコは女体の下半身に見えてきたし大事なものもあるようだ。江戸時代もけらを同じようにして遊んでいたとも思えないが浮世絵の歌麿だけのことはあるなどと妙な感心をしてしまった。


2018.03.30

あれこれ626

ツマグロハナカミキリと言うみたいだが例によって怪しいものである。ハナカミキリの1種は間違いないようではあるが。体長1.5センチメートル。枯れ木に産卵するらしいから自然の掃除屋さんだ。
カミキリムシはオオアゴを真下に向けた種類と斜め前に向けたのとがあるが、こいつは斜め前に向けた奴だ。なので、この絵の下側は手前につきだしているように描けないといけないのであるが、まあ無理ですね。


2018.03.25

あれこれ625 まだ先のことだが秋の新作家展の下図だ。

MWS珪藻プレパラートMZK_01(池 )からのものだが珪藻はない。鉱物のカケラだけの場面だ。

Aは上面のカケラにピントが合っているが、その下のは大きくぼけている。
BはAよりわずか下のところがピント位置だ。
@はAとBを適宜に重ねたものである。@はAよりも空間の厚みが増すような気がする。そのための合成だが、これが下絵になるわけだ。後は120号のキャンバスにひたすら写すだけである。

珪藻も入っている場面もいくつか試したがいつの間にかカケラだけのものになってしまった。MWSさんには「けしからん選択だ。!」と怒られそうだが、小生の今の気分はこんなふうなもやもやしたものなのだ。


2018.03.20

あれこれ624

最近描いている絵の元はこの状態のところを撮影したものだ。右の立体的に見えるところは封入剤が回らなかったところか、あるいは管理が悪くて剥離したところではないかと思う。その部分は例えて言えば野球場が検体の部分だとするとベンチ部分程度のものではあるのだが。
これをじっと見ていると生物顕微鏡で見る封入された検体の正しい姿は頭の中にしか存在しないとつくづく思う。まあ、それだからあの手この手と工夫を凝らして想像をたくましくする楽しみもあるとは言えるのであるが。


2018.03.15

あれこれ623

クロマルエンマコガネと言うみたいだが体長0.8センチメートルの真っ黒で半艶のかわいらしいもの。とは言え、獣糞を好むそうだ。採集したのは我が家の車置き場だが、影になったところで犬のうんちをさせたのがいたようで固くなった奴を始末しようとしたら五匹ほど飛び出してきたのを捕まえたわけだ。嬉しいような腹立たしいような妙な気分だったのを思い出す。


2018.03.10

あれこれ622

春季新作家展は12日飾り付けで13日から始まる。この絵の状態で出品となる。

馬齢は重ねたが描いた量はたいしたことがない。この頃は有名な画家の名前も出てこなくなって画集を引っ張り出す始末だ。水墨の世界に惹かれて中国の画家の作品を見ても名前はすぐ忘れて覚えられない。心身共に危うくなってきたなと感ずる日々が増えてきた。絵を描くのもめんどくさい限りだが展覧会に間に合うように描けているのは感心と言えば感心だ。


2018.03.05

あれこれ621

オオハキリバチの姿はこのようなものだ。この画像を見ると、全体が円筒状で触覚も短いし竹筒などの穴に潜り込んでゆくのにふさわしい体つきと思える。ウィキペデアでは雄の体長20から25ミリメートル、雌は13〜20ミリメートルとなっていて雌雄で随分違うが、生き残るには大きな体が良いが穴に潜り込むのには小さい体がふさわしいなどと頭をめぐらしたみたものの意味不明である。気になるところだ。


2018.03.01

あれこれ620

オオハキリバチというらしいが、体長2.6センチメートルもあるので自分としては超大物だ。秋が始まる頃我が家の二階流しの前で転がっていたものだ。迷い込んで脱出できずに水のあるところにたどり着いて力尽きたというところだろうか。体長から言えば雄だし夏が交尾の時期らしいので役目を果たした奴だろう。
竹筒などに花粉団子を詰めて卵を産み、松ヤニで仕切りをするのを繰り返して最後は土で蓋をするそうだ。ドロバチと巣の作り方は似ているが餌が動物と植物で大違いの奴だった。
生態の違いはオオアゴに顕著にでていると思うので頭部をスケッチした。前回のエントツドロバチと大違いなのがご覧いただけるのだ。
しかしこのハチの彫刻は複雑怪奇だった。その違いがはっきり分かるように描ければ威張れるのだがなどと思いながら描いていたのだが。


2018.02.25

あれこれ619

エントツドロバチはネットに沢山記事が出ている。巣の入り口に泥筒を煙突みたいに立ち上げるそうだ。条件が良いと一匹だけでなく数匹が集まって巣を固めて作るらしい。しかも、孵化した後も餌を与えているので長い間出入りに便利なように煙突を作っているらしい。スズメバチみたいに集団で子育てをする真社会性ではないものの、その一歩手前まで来ているハチだそうだ。
ところで、前回のハチはお湯で柔らかくして丸まった体を戻したが大あごは交差したままだったのでもう一度お湯につけて柔らかくしたところ広げるのに成功した。今回の画像がそれである。あたかも臼歯が付いているような変わったオオアゴだ。巣作りの泥を捏ねて運ぶことや、獲物のイモムシを無傷で捕まえて運ぶのに適した形だよねと感心してしまったのだ。

(注)触覚の先端は丸まっているのが本当でこの画像はもげているので平になっている。残念だ。


2018.02.20

あれこれ618

最近物陰に転がっていたのを見つけた。去年の夏に家の中に迷い込んだエントツドロバチのようだ。上段は見つけたときのもので埃まみれで丸まっていた。干涸らびてこちこちになっているのだがお湯につけて柔らかくして、なんとか形らしくした。駄目かと思いながら試したのだが意外に上手くいった。もっとも翅が取れたり脚がもげたりしてしまったが。
広げてみると案外に大きくて体長2センチメートルもあった。


2018.02.15

あれこれ617

昆虫の顔を正面から見る機会はあまりないと思うが興味深いものがある。かわいらしいのもあるが、おどろおどろしいものもある。
左は体長0.5センチメートルのオトシブミ、右は1.6センチメートルのキマワリだ。オトシブミは極小さいコロコロッとしたかわいらしいムシで顔がどうなっているか肉眼では分かりづらいがエイリアンみたいな恐ろしい顔をしている。
キマワリは道ばたをせわしく顔を下に背中を丸めながら横切っているのを見かけるとかわいらしいムシだなどと思ってしまうのだが、これも骸骨みたいな面妖な顔だ。


2018.02.10

あれこれ616 MWS放散虫プレパラートJ482から小さめの三種類だ。
CombineZPで素直に深度合成したもの。下側の三分の一以上は壊れて無くなっている個体だと思う。
上下の球状のものは中に薄いが黒い固まりや輪がみえるので、もう一つ球状のものが残っているのと思われる。
ラッパ型は中はなしの四角錐なのだろう表面が綺麗な円の並びになった。

無造作に並べるとこのような整然とした感じにはならないと思う。中段の面は斜めになって印象がまるで変わると思うし、下段の角のつき方はこれ以上ない平面性がある。

珪藻に較べると大きいので取り扱いは楽になるのだろうが、厚みのある形で破損しているのだからどの面を上にするか頭を捻るに違いない。そして、ぴたりと狙った位置で止めなければならない。想像していると頭がおかしくなりそうだ。


2018.02.05

あれこれ615

今年初めてのMWS放散虫プレパラートJ482だ。

主要部の半面が残った個体だと思う。これと同じようなのが反対側にあって、上には角上のものがついているような気がする。

形を想像すると、下のスカートは稜線の丸まった6角錐で、それにつのを持った球状のものがついていると思えるが、はたしてどうだろうか。

CombineZPで深度合成したが表面の荒れた感じがでなかったので手作業で修正したのが左の写真だ。


2018.01.30

あれこれ614

春の新作家展が3月にあるので作品を描き始めている。まだ始めたばかりなのでライトレッドで描いた下書きの色が大分残っている。
仕上がるとグレーになって別物になってしまうのだが、この状態で色味のあるのも良いものだなどと思いながら、この上にグレーを重ねていくわけだ。

スケレトネマも4枚目になる。円筒型で細かい胞紋がなく荒いタッチが似合っている気がする。細密描写に疲れたというか、荒々しいタッチに惹かれるという気分なのもかもしれない。

「セザンヌの構図」という本があるが、その中でセザンヌとピサロが同じ場所で描いた作品の比較をしてある。ピサロの絵はあたかも写真のような正確な形で描かれている。セザンヌのと2つ並べてみるとピサロの描いたものの一つ一つがセザンヌの絵に確認できるので同じ場所だというのは納得できるが、セザンヌの絵はディフォルメされた形と荒いタッチの絵だ。しかし、実際その場所に立ったとき、セザンヌの絵はその場所そのものだなと感じられるのではないかと思う。
小川国夫の紀行文でプロバンスを旅したときにセザンヌの絵のままの景色だった。というのがあったが実物から受ける感じをしっかり表現し、かつ、セザンヌとすぐ分かる個性をも表現している。そんな絵なのだろう。だからこそ名画として今の世に伝わっているわけだ。


2018.01.25

あれこれ613

ハチ(膜翅)目細腰亜目セイボウ上科アリガタバチ科ムカシアリガタバチの1種のようだ。体長0.9センチメートル。
上段は標本化したものを鉛筆スケッチしたもの、下段は小型箱に閉じ込めて撮影したものだ。これは雄で、雌は翅がないそうだ。コメツキの幼虫に卵を産み付けるらしい。
雄は何を食べているか分からなかったので想像してみた。触角が長い、大アゴが鋭い、がっちりした体をしていて写真では何かを狙っているようにも見える。葉上のハムシとかの小昆虫を触覚で探りながら食らいついているのがお似合いだ。


2018.01.20

あれこれ612

ハエ(双翅)目短角亜目クロバエ科クロバエ亜科ケブカクロバエというらしい。体長0.9センチメートル。 黒い胸部に藍色の金属光沢で嫌われ者のハエらしいハエである。
クロバエに違いないが、ケブカは怪しいのだが、1センチ未満で小さいのでオオクロバエでなくてケブカではないのかと思うのだ。
この写真は捕まえた翌日に脚を縮こませてひっくり返っていたので、脚を伸ばして深度合成したものだ。動けないが死んではいない。翅は跳ね上がっていないし体の収縮も触覚が始まっているくらいで原型をほぼ保っている。
水を与えていればしばらくは生きているのだが、あっさり動かなくなった。捕まえるときも簡単だったから弱っていたに違いない。
以前にも同様のことがあって、その時は解剖したが線虫に寄生されていて驚かされた。今回もそれでないかと思うのだが綺麗な標本になりそうなので解剖までして確かめてはいない。
それにしても自然界で生き抜くのは大変だ。あらゆるとこに敵はいると覚悟しなくてはならないのだろう。


2018.01.15

あれこれ611

前回のハエをスケッチしたものだ。死んだあとなので動かないのをじっくり描けるのは良いのだが、外骨格が薄くて弱いので縮こまってしまうなど生きているときとは大違いになっているところは閉口させられる。
0.3センチ程度のコバエで金属顕微鏡で実体顕微鏡で確認できない細部を見ることができるのも動かないからこそだ。実体で見ていた限りでは描いてある棘毛だけだが実際は背中以外の胸部は微少の棘毛で覆われている。些細なことで何と言うこともないがこんなところが顕微鏡覗きの喜びの時だ。


2018.01.10

あれこれ610

久しぶりの昆虫画だ。絵はなかなかしんどい。サボっていると楽なのでいつまでも描かないことになってしまう。年始めでもあるし心を入れ替えて絵筆を取ったわけだ。
このハエは極小さいし、棘毛も少ないし、金属光沢の頭だしでかわいい感じがする。ハモグリバエの仲間ではないかと思うが、そうだとすれば植物に寄生するので死体や糞に産卵するイエバエのようなババッチィものではない。


2018.01.05

あれこれ609

今年の年賀状に使ったもの。呉歴の「岑蔚居産芝図」の部分模写をした。

呉歴は清朝初期の画家。伝統的画法を創作の規範としたが時代の寵児として持て囃されたそうである。王時敏(おうじびん)、王鑑(おうかん)、王き(窒フしたに軍)、王原祁(おうげんき)、呉歴(ごれき)、ツ寿平(うんじゅへい)の六人を清朝初期の六大画家、四王呉ツというそうだ。

一方で対照的な画風の人達もいる。石谿(せっけい)、弘仁(こうにん)、八大山人(はちだいさんにん)、石涛(せきとう)、梅清(ばいせい)、きょう(龍のしたに共)賢(きょうけん)などの画家で、自己の意志や感情を表現することを重視したそうだ。

いつの世も保守と革新のせめぎ合いはあるわけだ。そして、今の人達の評価は時代の寵児であった四王呉ツより石谿らが高いのであろう。

模写したのは保守の人なので穏やかなものである。彩色もされ晴れ晴れとした気持ちになればと思い筆を執ったが、集中できなかったか生ぬるい絵になってしまった。


過去のあれこれは下線のある番号から
      2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 最新