あれこれ、日々に感じたことを書いていきます。

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2016.12.30

あれこれ536

今描いている珪藻は、STK-01(内湾)プレパラートのスケレトネマだ。まだ始めたばかりでおおまかなところを描いただけだが、完成しても見た印象はあまり変わらないように思う。むろん、ここで終わりにすると絵の具は薄いし、形もラフに描いてあるだけなので未完成感満載で、途中のものだよねとなるのだが、表現の大事なところは捉えられている。という具合に思うのだ。
何言っているのか分からんと言われそうだが、これ以上は良くならないばかりか描き続けると壊れていくように感じるのだ。
あるいは、薄っぺらな表面しか感じていない現れかも知れない。もっと深いものを感じなんとか表現しようとしていないことなのではないかと悩ましくも思うのだ。


2016.12.25

あれこれ535

甲虫目(鞘翅類)多食亜目(カブトムシ類)コガネムシ科カナブン。体長2.6センチメートル。

カナブンは大きくて見栄えのする甲虫だ。生きているのを捕まえたことはないが、道に転がっていたのを拾ってきたのが数匹いる。

体の金属光沢は死んでも変わらない。じっくり見て描けるわけだ。しかし、描くのは簡単ではない。

大きい昆虫だと言ってもデティールは眼に入ってこない。点刻は全く分からなくて、つるりとした表面だが実体顕微鏡を覗くと、いろいろ見えてくる。大きいのもあれば小さいのもあるし、シワシワ状に段になっているところもある。

そんなところまで表現していくと細かい描写が必要で技術がないと描けないし、とてつもなく時間がかかることにもなる。

この絵はそこら辺は手抜きをして、肉眼でみた感じに見えない点刻を少し入れて仕上げたものだ。


2016.12.20

あれこれ534

ロイコスフェニア(マガリクサビケイソウ)を帯面からみたものを前回載せたので、今回はどんな形をしているか調べてみた。
@はネットで見つけた電子顕微鏡写真を模写したもので、ばっちり写せたわけではないが、こんなものだろうという程度のものだ。
ABは殻面が上下ともある個体をさがして写したものだ。帯面のものは少ないとは言え見つけやすいが、殻面の上下そろったのはなかなかみつからない。しかしながら、散らしのMWS珪藻プレパラートの有り難みは大量の珪藻がマウントされているので、慎重に探していくと見つかるのだ。
凸面を上にしていた個体だったので、AのほうがBよりはっきり写った。縦溝が片方だけにあるのが特徴だそうで、Aは縦溝がないのが明確に分かるが、Bにある縦溝ははっきり写らなかったのは残念であるが異なる形状は確認できた。また、両端に隔室があるのもこの珪藻の特徴だそうだがBの右上を見るとそれらしいものが写っている。マガリクサビケイソウに間違いないことになるのだ。


2016.12.15

あれこれ533

MWS珪藻プレパラートSEK_01(小川 )に入っているロイコスフェニア(マガリクサビケイソウ)をウェブカメラで撮影したもの。

@がピントの最下段でAが最上段のものなので、@が下面をAが上面をみていることになるのだろう。ガラス質のものを顕微鏡で見ると常識では考えられないことが起こる。

解説本を見ると折れ曲がったくさび形は横から見た帯面で、上から見た殻面は長楕円型をしているそうなので、体が二つに割れずにそのままの形で封入されたものだと分かる。

どちらも両端より中央部が膨らんだ形にならなくてはいけないのだが、Aは平にしか見えない。ピント位置が体内に入り込んでいるとこれでもいいしなどと考えを巡らした。これより上でピント合わせをすると@の様なものが撮れるかも知れないが撮っていないのはピンぼけして使えないと思ったからだろう。

「あれこれ」に載せると考えが深くなっていいものである。


2016.12.10

あれこれ532

暖かいとヒラタアブとかハエとかが玄関先のカラーの葉に飛んでくる。冬でも昆虫はいるものだ。

7日は寒かったが、何かいるかなと見ていたら何もいない。がっかりしたがさらに目をこらすと先端に白点のついた小さな黒豆が目についた。それがこのハエだ。

シマバエの1種らしいが0.2センチくらいのかわいらしいもので初めて捕まえた。
じっとしてくれなくて、こちょこちょと動き回っているが、そこをなんとか撮影しスケッチにとったのだ。
小さいが見所は多い。
まず、複眼に模様がある。
触覚が真っ直ぐ伸びているのもめずらしい。
くの字型の姿勢は滅多に見ない。
それに合わせて翅が折れているのは初めて見た。
止まった時に前脚を互い違いにユックリ空を切るように動かすのもビックリだ。何かを探っているような感じもある。

いまも元気でいるので、まだ観察し記録できる。死んでしまえば別物になってしまうので貴重な時間だ。


2016.12.05

あれこれ531

ハエの種類はお手上げ状態で、なんだか少しも分からないハエ。しかし1センチくらいある細い体に、太く長い立派な脚を持っている変わったハエだ。似たようなものはあまり見かけない。
しばらく絵を載せていないので今回こそは絵だとばかり勇んだのであるが、根っこが怠け者でボーとしているのが性に合っている人なのでまたまた楽ちんしてしまった。


2016.11.30

あれこれ530

コンボウヤセバチの1種だそうだ。1.5センチぐらいだからまあまあの大きさだ。
我が家のテラス周りをのんびりと、飛ぶと言うより漂っている感じでうろうろしているのを見るのが毎夏の楽しみになっている。
初めて見た時は体を立てたまま漂っている変な虫と驚いた。正確さに自信はないが白丸の絵が 飛んでる時の姿だ。
短い産卵管の種類もいるようだが、こいつは長い産卵管でハナバチなどの巣に卵を産み付けるらしい。産卵管の長さが異なるのは寄生先の巣の深さとかで棲み分けているのかなとも思う。同じ場所でも寄生先は競合しないわけだ。昆虫の種類が多いのは、こんなところにも工夫を凝らしているからかなとも思うのだ。


2016.11.25

あれこれ529

少し前のことだが花の蜜やアブラムシの出す蜜を求めてだろうか玄関先のカラーの葉や近くの小花に寄ってきた。1.5センチもある大きめの虫だ。オオハナアブと言うみたいである。翅が2枚だし触覚を見ればハエの仲間だとすぐ分かる。
のんびりした虫なのか警戒心もなく採餌に夢中だったので難なく捕らえた。ハエの拡大顔はギョとさせられるのが多いが、この顔を見てなんだかとぼけていて、可愛らしいと思ってしまうのは私だけだとも思えないのだが。


2016.11.20

あれこれ528

知人が東京都美術館での展覧会に出品しているので見に行ったついでに国立科学博物館を覗いてきた。
手持ちでこんな写真が撮れるのも驚きだが、地球館1階「地球史ナビゲーター」で出迎えてくれたアロサウルスを写してきた。
古い記憶ではっきりしないが、昔の入り口は本館(日本館)の正面から入っていたように思う。玄関を入ると吹き抜けの大広間になっていて、そこにこのアロサウルスが出迎えてくれた。印象深かったのでアロサウルスははっきり覚えている。それも立ちポーズで足元から見上げるようになるので実に迫力があった。
いつしか日本館は脇役になり、アロサウルスのいた広間は後ろから入りアロサウルスも消えて寂しい思いをしていた。それが装いも新たに復活したわけだ。実に喜ばしい。

ところで、恐竜学の進歩で恐竜の姿勢は大きく変わって、尻尾が地に着くような立ち姿から、頭から尻尾まで水平に体を伸ばした躍動感溢れるものになっている。これはこれで素晴らしいが、昔から見ているじいさんとしてはゴジラ並の立ち姿も良いものだったと思うのである。


2016.11.15

あれこれ527

友人が遊びに来たのでちっこいハチの複眼を金属顕微鏡で見てもらった。
熱心に覗いて感心してくれたので、今回は複眼がどう見えるか見てもらおうというわけだ。

アブラムシに寄生するコマユバチの1種ではないかと思うが、体長0.25センチメートルの小さなハチだ。

下が金属顕微鏡の写真だが、真上からの落射照明なので水平面は白く光り、傾斜している面は黒くなる。すべての昆虫が同様の複眼とは限らないが、このハチはピッタリくっついた複眼ではなく、互いに少し離れているのと、表面が盛り上がっている特徴を見分けることができるのだと思うのだ。


2016.11.10

あれこれ526

前回に引き続きスケレトネマの画像だ。こちらの方がより円筒状に写っている。
影がはっきり出る方向と、出ない方向があるので偏斜の方向は明確のようにも見えるが、よく見ると矛盾しているところもある。金色っぽいのも普段は見ることがないので、これも不思議なことだ。
光学の知識は無し、解明の手段も気力もないが、いじくり回していると幸運の女神が微笑んでくれると言うことだろうか。


2016.11.05

あれこれ525

ここのところ、MWSの「本日の画像」は微分干渉法の顕微鏡写真のオンパレードになっている。小生はそのような高級機材は持っていないので真似することは出来ない。しかし、ちょっと不思議な写真が撮れたので紹介したい。
東京湾でとれたスケレトネマが沢山入っているSTK-01(内湾)プレパラートの端にわずかに封入剤がまわらずに気泡があった。初めからあったのか、取り扱いが悪くてできたのかはっきりしないが、両者にまたがっている珪藻を撮影したのが今日の画像だ。
右上が封入剤がまわっている部分、左下の立体感あふれるものが気泡の中だ。円筒形の珪藻なので、真円に写っていないのはおしいが、見たことのない吃驚の画像だ。

顕微鏡は古くさいオリンバスFHAであるが。コンデンサが偏斜照明ができるので、輪帯照明の自作アタッチメントと併用した、偏斜輪帯照明の画像だ。何故こうなるのか、さっぱりであるが楽しい絵が撮れた。


2016.10.30

あれこれ524

「大陸地殻進化論序説」の付録2は、「わがカコウ岩史を語る」で大正生まれの岩石学者の歩みが書かれている。

子供のころから岩石好きで、家庭の事情で高等師範の理科3部(博物学)に入り、弘前中学教諭、旧満州国新京工業大学助教授、東京文理科大学助手、講師から東京教育大学教授の経歴で、教育と研究一筋の人だ。

独創性という点から、わりといい線をいった二つの仕事として、終戦前後ころにやった斜長石双晶法と、60年ころ始めた同位体岩石学を上げている。

前者は、現地の踏査と標本収集、そして切片をつくり顕微鏡観察の地道な作業をしている内に斜長石の双晶の違いが、カコウ岩の成因解明の鍵としてさらに深く研究を進め、海外からも素性のはっきりした標本をとりよせるなど約二千の双晶測定をして、ユニバーサルステージのガラス半球を埋め込むネジ穴がすりへって使えなくなり付け直したほど顕微鏡を覗きまくったらしいが、その成果は火成なのか変成して出来たのか判定できるようになり、「斜長石双晶の牛来」となったそうだ。

後者は、火成岩の成因に関心が移って、多数の標本の微量元素成分割合を調べまくって研究の方向性を確信し、ついで、やっている人がほとんどいない同位体を有力な手法として手を付けたそうだ。同位体岩石学は今では実験岩石学とともに岩石成因論の大きな柱になっているそうである。

この本に書かれている内容は分からないことばかりであるが、付録2はおもしろかった。
学術書や論文からの知識は勿論であるが、現地踏査と標本の顕微鏡観察や成分分析を多数積み上げ、大きな構成が組み上がっていく様がなんとなく感じられる。千里の道も一歩からではないが、細心な観察の小さな積み重ねが大きな成果を生み出すわけだ。
とはいえ、序論の段階で2002年に牛来先生は亡くなられ同調者も少ないようだし、この説はこれから先どのようになっていくのだろうか。半世紀も経てばウェゲナーのようになるのであろうか。


2016.10.25

あれこれ523

1990年12月に発行された牛来正夫著「大陸地殻進化論序説」の、表紙カバーに載せてある絵である。この絵は本文の中で使われているもので、古生代初期ころのローレンシアの位置についての諸説の説明図だ。
今の世は「地球博物館」の展示を見ても、NHKの科学番組でも、プレートテクトニクスで地球の歴史は決まりみたいに受け止めさせられる。
ところがこの先生はそれに反対の地球膨張説で、プレートテクトニクスをとおしての"大陸移動"ではなく、膨張による"大陸放散"がおこったという考え方である。プレートテクトニクスだと大陸移動を繰り返して大陸面積が拡大したと考えるらしいのだが、この先生はそうではなく一割程度しか増えない大陸地殻進化の道のりというのでこの本を書いたわけだ。
この本を読むと、例えば地球初期のマグマオーシャンも全面溶けていたものから部分溶融まで、いろんな説が紹介されていて、多くのことが諸説紛々の印象を受けた。この本が発行されてから26年経っていて最近の進歩は眼を見張るものがあるようだが、地球の歴史を確定するのはまだまだで、ノー天気に世に吹聴される説を信じ込んではいけない。ということを考えさせる本であった。


2016.10.20

あれこれ522

甲虫目(鞘翅類)多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科カミキリムシ科カミキリ亜科タケトラカミキリか?体長1.6センチメートル。

カミキリムシというと大アゴが頭の下にあるフトカミキリムシ亜科のものを思い浮かべるのであるが、こいつは前に突き出している。
一口にカミキリムシというがいろんなのがいるわけだ。

漢字で書くと髪切虫とか噛切り虫とかがあるが、天牛というのもある。

中国名で、長い触覚を牛の角に見立てたそうだが、なんかおおらかでいいよねーと思ってしまうのだ。


2016.10.15

あれこれ521

砂利をひいた入れ物に三匹のハマアシナガアリを入れて黒砂糖の粉をあげたら一匹が早速大アゴを開いてくわえた。そのうちに乾燥していたものがしめってきて、どろどろ状態になったところで別のアリがお裾分けにありつこうと寄ってきた。口の茶色がどろどろの黒砂糖で少し分けてもらったところだ。
そこの所を撮影し、アリの部分だけを鉛筆画に変えたのが今日の画像だ。小粒の砂利だがアリにとっては巨岩である。それでも何の苦もなく動き回っている。この細長い六本脚の威力は大したものだ。


2016.10.10

あれこれ520

昆虫単体では絵としては物足りないものがある。生態系の中にいれてありのままに描くのが常識的だろう。
日本画の花鳥画は良いお手本であるし、最近人気が過熱している若冲なんかは御物になっているシリーズ画がある。
B級映画だと巨大化した昆虫が大暴れなんてのもあった。円谷特撮の「モスラ」「空の大怪獣ラドン」は子供の時に見たが、筑豊炭鉱の謎の殺人で幼虫のモスララドンが登場する所などは密閉空間の暗闇に姿がなかなか現れず恐怖を感じたものだ。
といふわけで手持ちの材料をいじってみたのが今日の画像である。


2016.10.05

あれこれ519

ハチ(膜翅)目スズメバチ上科スズメバチ科 ドロバチ亜科チビドロバチかもしれない。体長1.1センチメートル。
黒に黄色の飾りを付けた甲冑に身を固めた狩人バチ。1センチ位で小さなものだが精悍な感じがする。触覚の手入れをしているのを動画に撮ったので、いくつか止めた画像をスケッチした。後ろ脚4本で上体を持ち上げ前脚を触覚にあてて振り下ろすという単純なやり方だ。
動画からではデティールが見えなくて物足りなかったので頭部のスケッチをした。
りっぱな大アゴだが凝った形をしていた。獲物を毒針で麻痺させるのにくわえて動けなくしなくてはいけないのだろうが、それに都合が良いようになっているのだろう。


2016.09.30

あれこれ518

甲虫目(鞘翅類)多食亜目(カブトムシ類)ゾウムシ上科チョッキリゾウムシ科ケシツブチョッキリ族のクロケシツブチョッキリ。体長0.3センチメートル。
族まで書けたのはめずらしいが、詳しく解説したサイトを見つけたからだ。バラの著名な害虫とあり写真もでていた。バラについていたのを捕まえたし写真もそれらしく見えたので間違いないようだ。
チョッキリの産卵法は茎や実に産卵する簡単なものからオトシブミのように葉で揺籃を作るものまで多岐にわたっているそうだが、この族は、新芽、つぼみ、茎に産卵し、産卵部の下方に穴をあけたり切ったりして産卵部分を枯れ死させる原初的なものだと書いてあった。動かないと眼に入らないような小さなものだが、バラにとっては大敵なのだろう。
それにしても前脚が長くて頭を上げたポーズがかわいらしいムシだ。


2016.09.25

あれこれ517

ハチ(膜翅)目ハナバチ上科ミツバチ科コハナバチ亜科なんとかコハナバチ。体長0.7センチメートル。
8月に庭の花に来たものを捕まえたものだが、黒いころころした小さなハチでかわいいものだ。
8月25日に写真を載せたものと同じかと思ったが、脛節と附節が薄い橙だし、大アゴも鋭いので違う種類だった。
こういうのが分かると、一寸目では区別の付かないのがゴロゴロしているのが昆虫なのだなと改めて思うのだ。


2016.09.20

あれこれ516

ハエ違いだがヒラタアブの翅のつけ根がどうなっているかを調べてみた。

翅の構造材とも言える翅脈の内、特に強固な前縁脈と亜前縁脈が翅の動きで重要な働きをしていると思う。

この先端は、固い材料と柔らかいものと複雑に組み合わされている。(背板の一部と翅脈が透明でピンクに染色されているが、それ以外のピンク部分が柔らかい膜状のところだろう。)

背板とは二ヶ所で接続しているようだ。ここで上下の動きを直接受けるのだろう。そして、側板接続部との位置の違いが上下運動をはばたきに変えているのだろうが、そこまでは見分けられなかった。

前縁脈と鱗弁は筋肉が接続しているみたいで、いろいろな動きができるようだ。実際、翅を前に持ってきたり後ろに納めたりしなくてはいけないし、羽ばたく時も微妙な動きがハエの素晴らしい機敏さもたらしているのだろうから動きを制御する筋肉はどうしたって必要だ。そして、それら全ての動きを可能にしているのが、このつけ根の硬軟組み合わせた構造なのだろうかと思うと興奮してくるが確かめるのはたいへんだ。


2016.09.15

あれこれ515

「昆虫の生態図鑑」から、翅はどのように動くかの模式図を載せたが、解説では

「昆虫が飛んでいる時の翅の動きは、たいへん複雑で、しかも、昆虫の種類によっても、ちがいます。それは胸と翅のつながりかたが、じっさいは、いまのべたことよりずっと複雑だからです。機械のすきな人だったら、昆虫の翅のつけ根がどうなっているかを、よく調べてみるとおもしろいでしょう。」

となっていて、自然界は簡単ではないことが述べてある。

それではと、解剖したものをスケッチしたのが上段の絵だが、これでは何が何だかサッパリなので色分けした。

翅の下に団扇みたいな2枚重ねの鱗弁というのがあってわかりにくい上に、側板も硬質と膜質部分があって、やけに複雑だねとなってお手上げ状態だ。


2016.09.10

あれこれ514

ハエの胸部は筋肉で充ち満ちていて、飛行用の背腹の筋肉とたての筋肉は太く整然と並んでいる。

その2種類の筋肉を互い違いに収縮させて腹部振動し、それで翅が動くという仕組みだそうだ。

気門は前と後ろに2組ある。前にあるのが長く大きい。そしてここのところに背腹の筋肉がないので気嚢があるのかもしれない。潰れたのか確認できなかった。

筋肉に薄く汚れたような筋がかろうじて見えるが、これは膜状だが気管だと思う。激しい動きをするわけだから大量の酸素が必要だ。それにしては気管が少ないなと思われようが、本当は細かいピッチで整然と付いているのだがうまく残せなかったのだ。

食道、唾液腺、神経、血管と気管が首で頭とつながっているが、食道と神経だけがかろうじて分かった。針を潰したような自作のメスだが切れ味がもっと良くならないといけないし、切る位置とか順番もよく考えないといつまでたっても見分けられないで終わりそうだ。


2016.09.05

あれこれ513

昆虫の体の中は図鑑など見ても実感が湧かないが、それではと解剖してみると図のように整然としているわけでもなく何が何だか分からなくなるものだ。

ハエの腹部前部は大きな気嚢が二つ並んでいるが、初めの頃は腹を開くときに潰してしまって空洞があるくらいにしか理解できなくて気嚢ということに気がつかない暢気さだった。

水中で解剖すると元の形が分かりやすいのに気がついて初めて気嚢がどんなものかはっきり眼にしたわけだ。

昆虫の呼吸は腹部と胸部の多数の気門からで、口からではないが、ハエなどは空気を溜め込む巨大な空間も確保しているわけだ。これから先は気管が網状に各器官に広がっていて空気のやりとりをしているわけだが、下の写真でも太目のものの一部が見えている。その先がだんだん細く複雑になっていくわけだ。

栄養分と排泄物はたっぷりの体液で循環させていると思っていたが、腹部は消化管と生殖器にこの気嚢でびっしり詰まっているし、胸はほとんど筋肉みたいだし、頭部も脳や口器に気嚢もあって隙間は少ないようだ。意外に少量の体液を効率よく使っているのかもしれない。


2016.08.30

あれこれ512

フタフシアリ属のハマアシナガアリのようだ。体長0.6センチメートル。
真鶴半島の付け根は岩場に遊歩道があって夏はバーベキューなどで賑わっている。そこで捕まえた。細長くて頭と腹はやや黒いが胸は赤っぽい中型のアリだ。脚の長いアリだが海岸が生活の場で岩の隙間などで生活しているらしい。
前回、短い脚で穴を掘って生活しているのも肯ける。と書いたが地中生活者でも長い脚のアリもいるしで世界はひろい。いろいろだ。
ところで、このアリは右前脚は腿節の根元で、後脚は先端で切断されていた。図の手前側は三本の脚があるが、向側は矢印の一本しかない。傷口は古そうだったので、これでかなり生きてきているのだろう。よくこれで生き抜いてきたとじわっと来るものがあるが、絵の素材になったことで成仏してもらおう。


2016.08.25

あれこれ511

コハナバチ科の一種みたいだが、花に飛んできて盛んに花粉を体につけ蜜も吸っているようだし、胸とか脚のフサフサした棘毛をみれば蜜蜂系はすぐ分かる。こいつは0.5センチくらいで小さいのだが、よく似た感じで1センチくらいのも良く来る。
蜜蜂=集団生活のイメージだったが、こいつらは地中に単独で営巣し花粉と蜜を蓄えその上に卵を産み付けるそうだ。
ズングリした体、短い脚、シャベルのような大アゴを見ると、確かに穴を掘って生活しているのも肯ける。


2016.08.20

あれこれ510

最近のネットでは地形図と標高データを組み合わせて鳥瞰図を作ることも出来る。標高データは5メートルメッシュのもあるので驚くべき詳細さだ。しかも、断面図まで簡単にできるので立体図では読み取りにくい部分も理解しやすい。
図は大磯、二宮間で二宮に近いところだ。大磯丘陵南端の平地であるが、海抜10メートルぐらいはある。葛川が北から南下しているが、海岸線の15メートルほどの高まりで東へ向きを変えている。
Aは明治時代のものだが、標高は鉄道や住宅地で削られている現代のもので当時とは異なるのを頭に入れて見ないといけないが、東海道沿いに集落がある他は田や畑で葛川の南は荒れ地だったようだ。江戸時代もたいして変わらないどころか室町時代でも似たようなものかも知れない。などと思って眺めた。
しかし今は海岸線に沿って西湘バイパスが通り、葛川南の荒れ地はゴルフ場と大磯ロングビーチで大変な変わり様だ。
西湘バイパス、国道一号線はよく利用し、東海道線は毎日のように通って窓の景色はなじみ地形図も好きでよく見たが、この鳥瞰図を見るとなにも理解してなかったのがよく分かった。
なにごともそうなんだろうなとも思う。沢山情報に接して全体像を捕まえたように思ってるのだが、実はほんの一面だけしか見ていないのだ。


2016.08.15

あれこれ509

9月第一週は都美術館で新作家展がある。その出品作だ。

ARK-01(干潟)のニッチア一本をF120の中央に置いただけというものは、手抜きの絵だと見る人がほとんどだろうなと思う。
それでもめげないで単純化に努めているわけで、立ち止まってユックリと見てくれる人がでてきますようにというのが今の望みだ。


2016.08.10

あれこれ508

御浦風物誌にヒゲブトオサムシの標本画がたくさんでていた。ここ(リンク先がなくなりました。) どれも似ていて一寸見では区別がつかない。じっと見て較べると些細な違いが見えてくる。それを重ねていくとだんだん違いが大きく見えてくると言う案配だ。
九州大学総合研究博物館のMさんからの依頼だそうだ。19種を一度に描くので、一枚ずつ仕上げたのでは初めと終わりでは仕上がりに差が出るため平行して描いたそうだ。名人のされることは毎度唸らせられます。
依頼主はイニシャルで紹介されていたが、「断虫亭日乗」というブログで論文完成の紹介がされていて、ここ すべての全形図を世界一の標本画家に依頼したとあった。丸山宗利研究室がリンクされていて、Mさんは丸山宗利教授だとわかる。
世界一の標本画家は、ほんとかどうか小生には判断する力はないが、そうだろうなとも思う。
それらの画に刺激をうけたわけでもないが、前回のハンミョウを形の正確さを第1にして鉛筆で描いた。写真からでなく実体顕微鏡を覗きながら直に描いたものだが、落ち着いて写真と比べると実体顕微鏡は右と左ではえらく違っているせいもあるのだが、正確に見ていないのがはっきり分かる突っ込みどころ満載の絵になってしまった。


2016.08.05

あれこれ507

この間のハンミョウを標本化したので写真に撮り深度合成した。
動かないから深度合成できるわけだが、重なっている所など具合の悪いヶ所も多くて修正に手間取ったし、照明も後方からなので不満足な出来だが、なんとかそれらしく出来た。
ハンミョウは正面の獰猛な顔だよね。といつも思っているが、複眼の大きさとか大あごの形や大きさは、いかにもハンターだ。手掴みしたことはないので挟まれたことはないが、これに挟まれると相当な痛みだという話だ。


2016.07.30

あれこれ506

MWSのACC_01(南極)に入っているアステロランプラ属と思われる珪藻。

2009年3月の「本日の画像」にこいつの画像がでて、「研究者でも入手困難な、南極海の海底に沈んでいた珪藻をプレパラートにした。」と言うことだったのでさっそく求めて撮影した。

上はその時のもので、本家のようには撮れないのは当たり前としても、それに近づけようと工夫を凝らしたものだ。
どんな照明をしたか、さっぱり思い出せないが、平板なものが立体を感じるものに変わったのだけは確かだ。

下は最近ウェッブカメラで撮った物。まともなカメラと比較すると荒い画像で恐縮するが、裏の骨組みの様子が分かりやすいと思う。海底に沈んでいる間に壊れたのか、奇形か、判然としないが、上のような整然さがない。普通の人は好まない画像だろうが小生はこんなのに心引かれてしまうのだ。






MWSの元画像をリンクしないわけは、久しぶりに見直したところ小生の画像とあまりの違いにがっくり来てしまったからなのだ。簡単に比較されたらたまらんというケチな考えからなのだ。

2016.07.25

あれこれ505

コウチュウ(鞘翅)目オサムシ上科ハンミョウ科コニワハンミョウかトウキョウヒメハンミョウかもしれない。体長1センチメートル。
ハンミョウはカラフルなものが有名だが、こいつは肉眼では焦げ茶色の地味なものだ。ところが実体顕微鏡下では、赤銅の鎧に、にぶく光る金や青がなかなかに美しい。
どんな生活をしているのか、さっぱり分からないが、6,7月頃我が家の周りにあらわれる。見つけても素早く飛び退き捕まえるのは難しいものだが、住み着いているようで逃しても日が改まると捕まえられたりして、いくつかは持っている。
スケッチしたのは6年前に捕まえたものだし、写真はついこの間捕まえたものだ。


2016.07.20

あれこれ504

スズメバチやアシナガバチは飛んでないときは翅は棒のような感じで腹部の上にちょこんと納まっている。
前回の絵でそうなるか試してみた。
@の赤線が大体の中央に当たるから、ここで二つに折れればよいわけだ。
左翅は旨い具合に翅脈のところだったが、右翅は翅脈が二つに別れるところで赤線に当たってしまった。
こんなところが勘所で、ちゃんと理解してないことが露わになるわけだ。
ところで、大型のハチは下翅の前縁にある何本かの爪を上翅の後縁のめくれたところに引っかけて、一体化した翅で飛んでいるが、さらに降りるとコンパクトに畳んでいるのには、全く大したものだと感心させられるのだ。


2016.07.15

あれこれ503

ハチ(膜翅)目細腰亜目スズメバチ科ヒメスズメバチ。体長3センチメートル。

御浦風物誌にキイロスズメバチの巨大巣をオオスズメバチの集団が襲撃中の体験記事が載っていた。ここ(リンク先がなくなりました。)
スズメバチは意外にも返り討ちにあって、犠牲者は次々とその姉妹たちに噛み砕かれ、肉団子へと姿を変えて、出立した巣へと帰ってゆくのだそうだが、肉団子にしている写真が掲載されている。さすがに専門家のサイトだけあって、短文ではあるが情報量も多く密度の濃いものだ。

ところで、小生もスズメバチの標本を持っている。オオのつくのはなくて、ヒメとかモンとかしかつかないのは残念なのであるが。


2016.07.10

あれこれ502

5月から始めた絵の完成だ。残滓と名付けた。

廃墟でもよかったかもしれない。

破壊された跡を現しているわけだ。

無残な気分が漂っているのが感じられるか、感じられないかが成否の分かれ目だろう。

それにはエネルギッシュに細かく細かくと描き込んでいくのはちと拙いかなと思えたので、じっくり見て筆の動きはすくなくした。

そのかわり何度も乾かしては塗り重ねる薄い絵の具の層が明暗と深みを生み出し、荒いタッチも離れて見るとリアルさを示してくる。

それが絵の力となって見る人になにかを感じさせる。

そうなっていると良いのだが。

はかない願望だ。


2016.07.05

あれこれ501

ここのところ続けて取り上げるコメツブケイソウ(コッコネイス)だが、傾いているものを撮影すると@Aになる。平面ではなく強く折れているように見えるが、顕微鏡画像だけに解釈が難しい。
困ったときのネット頼みで珪藻図鑑を見ると、Cocconeis pediculusの電子顕微鏡画像があった。
それを参考にして描いたのがBである。付着の様子は珪藻図鑑にはなかったが、他のサイトで見つけたので併せて描いた。どうも、アオミドロのような極細の水草に付着している珪藻らしい。しかも、付着する面にピッタリするように体を湾曲させたようである。
興味深いことはまだあって、Aの面は大きな胞紋がぱらぱらとあるだけだが、珪藻図鑑ではこのようなものの他にBのような微少の胞紋のものもあった。Aに薄く縞状の影があるのは、この微少胞紋のせいだろう。

これからはまったくの想像だが、胞紋の大と小の面が二つあり二重構造になっているのは他に例があるので不自然ではない。曲面の形もあって、流れの速いところでもしっかりと付着できて、栄養塩だけを効率よく吸収する巧妙で頑丈な体に進化させた優れものなのだ。


2016.06.30

あれこれ500

前回の画像が不本意だったので、裏表が分離したのを写そうとSEK-01(小川)を覗いた。

ところが、意外にも分離したものがなかなか見つからない。やっと見つけても裏だったりしたが、裏があれば表は必ずあるはずだとさらに探すと、見つかりました。でも、変に傾いていて前回のようには撮れない。

粘りが足りないが、あきらめて、くっついた奴で撮ったのだが、これだと、まあ裏表が違うのが分かるだろうと思うのだ。

端部の影の出方を見ると輪帯照明でも中心がずれているのが分かるが、それが幸いしたのかもしれない。


2016.06.25

あれこれ499

これも横0.03mm縦0.025mmの範囲いっぱいの極微少珪藻で、コメツブケイソウ(コッコネイス)の一種だろうが、MWSのSEK-01(小川)に入っていたものだ。珍しく上下に分かれないでそのまんまの姿をしているみたいだったのでピントを変えながら撮影したのだ。

上面でピントを合わせたのが@で、下面に合わせたのがAになるのだ。

コメツブケイソウとは殻の溝は表の面だけにある楕円型の珪藻というのだから、@は溝なしの裏、Aは溝ありの表で間違いなしと胸を張りたいところだが、こうしてキチンと画像にしてみるといまいち不鮮明だなあと反省させられる。

これは検鏡の腕のせいだともいえるが、検体のせいでもあるかもしれない。この照明は輪帯照明だが球状で透明なものを周り中の斜め下から照らしているのだから、@では下の影が避けられないのだろう。それで、溝らしきものがあるような、ないような紛らわしいものに見える。

などと苦しい言い訳を考えてみたわけだ。


2016.06.20

あれこれ498

5月25日に出したアリバチを横からスケッチしたので、既出のものと写真を合わせて比較した。

スケッチは乾燥標本で、姿勢も良くないし腹が凹んでしまっているしで生きているときとは大違いだが、形を見極めるために描いているわけだ。
一方、写真の方は密閉空間に閉じ込めた時のものだから、これも自然のままとは言い難いしで、どちらも中途半端なものではある。

しかし、こうやって並べて見ていると前脚の基節が体にピッタリ付いたり付かなかったりしているのとか、腹の断面は丸くなくて平べったいのだとかに気づかされる。

複眼も随分大きいなと思いながら描いたのであるが、絵を見るとそうでもないので見方が甘いななどと反省させられるしで、成果はいまいちでも勉強にはなるのだ。


2016.06.15

あれこれ497

ライレラの一種でしょうけど、MWSのKRS-01(沿岸)に入っていたもの。
横0.03mm縦0.025mmの範囲いっぱいの極微少珪藻だ。

DL-TESTやJシリーズなら水平面を維持しているが散らしプレパラートなのでわずかに傾いている。
ピントをずらしながら12枚撮影してペストショットのつもりだが、どうなのだろうか。


2016.06.10

あれこれ496

プレウロシグマの一種でしょうけど、MWSのDL-TESTに入っていたもの。

@からBは輪帯照明でピント位置をわずかに下げていって撮影し、中央部をトリミングしたものだ。

全体に綺麗な個体であるが、矢印のところにわずかに傷があった。
このようなものに会うとピント位置を正確に判断できないかと頭を巡らすことになる。

@は表面のわずか上のピントで開口部は黒く写っていて、胞紋は規則正しく配置されているものの、なにか乱れも感じられる。

Aは矢印先の濃い黒穴がピント位置ではないだろうか。中央部の被殻の中にピントがあると思う。@では見えていなかった白点があるところはピント面より上側かもしれない。

Bは黒かった胞紋が一部白くなっているが、その変わり目のところがピント位置で、白いところはビンと面より上、黒いところはピント面よりしただと思う。


なぜそう思うのかは今までの経験で、胞紋が黒丸から白丸に変化するのを沢山見ていて、どうもピント面からの位置の違いしか考えつかないからだ。

判断を迷うのは濃い黒丸である。上に薄い皮膜やめくれ上がったものがあって光が回り込まないのでひときわ濃くなるのではないかとも思うがどうだろうか。


2016.06.05

あれこれ495

絵の具を重ねるにつれ下描きのライトレッドが消えてくる。

だが厚みはまだまだだ。

形も靄がかかっている。

絵の具を重ねても重ねてもこの状態は長く続く。

そして、突然しっかりした形と厚みがあらわれてくる。

楽しく描ければよいのだが、そこまでは長く苦しい道のりだ。


2016.05.30

あれこれ494

今描いている油絵だ。
始めたばかりのようにも見えるが延べ五日もかかっている。
何回か塗り重ねていくと、しっかりした形が浮き上がってくるが、そこまで行くのに時間は掛かるし、しんどいものであるが避けては通れない。

しんどい中でも楽しみもある。タッチの荒さと形の不明瞭さが思わぬ躍動感を生み出す。それこそ、感情のままにといったところだ。

描く手を休めてこの絵を眺めていたら、現代美術風に描いたものを代表に感情が感じられない。と言われたことを思い出した。
絵とは本来感情がてで来るものだよなと思う。そうだとしたら感情を感じてもらえなかったのは、感情抜きで頭で描いていたのがもろに出たということだ。

構成を単純化した現代美術風の作品は、これをどうしても描きたいという強い気持ちを持てるかどうかにかかっているのだろう。この絵も最後まで感情を感じられるように描きたいものだし、この後は感情を感じられる現代美術風作品に再挑戦をしよう。


2016.05.25

あれこれ493

5月1日に捕まえた0.7センチメートルの黒いハチ。

ヒメバチとかコマユバチとかの寄生蜂とはえらく形が違っていてアリのようにも見えたので、アリバチでネット検索したら沢山見つかった。

それも、人を刺す室内害虫の記事ばかりだった。室内にいる甲虫の幼虫に寄生するハチで雌は翅もなくアリのような形で人を刺すというのである。ただし大きさは2,3ミリで絵の奴とは違う種類のようだった。

写真ではコメツキの幼虫に寄生している1センチくらいはあるのが出ていたので、いろいろな甲虫に寄生する種類がかなり居るみたいである。絵の奴はその一種だろうが同じものは探せなかった。

ところで、絵は標本化したままを描いたものである。腹部が縮んでしまったし、脚もバラバラなままだ。胸部の彫刻が素晴らしかったので片翅を取ってよく見えるようにした。棘毛は省略してある。


2016.05.20

あれこれ492

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)カミキリムシ科フトカミキリ亜科ヒトオビアラゲカミキリで間違いないようだ。体長1センチメートル。

5から7月にかけてあらわれる広葉樹の枯れ枝に宿るカミキリだそうだ。ついこないだ近くの森の縁で捕まえたもの。草の上にいたから冬眠から醒めて出てきたところだろうか。小生の標本にされてしまって運の悪い奴だ。

ゴマフカミキリみたいにミカンの害虫だと真鶴の住民にエイと見つけ次第踏みつぶされる運命なのだが、こいつは生木ではなく枯れ木を食するみたいで自然界の掃除人で感心なものだ。



ちゃんとした絵を描こうと思っていたが、どうもこの頃気力体力衰え気味で、下絵の段階でギブアップしてしまった。
で、完成品は標本の深度合成写真でお茶を濁すのであった。


2016.05.15

あれこれ491

サビヒョウタンゾウムシ、あるいはトビイロヒョウタンゾウムシを角度を変えて描いたものだが、どこまで真に迫っているのかは、はなはだおぼつかない。シンプルな形は難しいのだ。
前胸の一部が欠けていて珍しいのでそれは描いた。結構生きてきた個体だろう。
前回、地中で越冬するので土が付いているような書き方をしたが、土中を住まいにしているアリやモグラに土の付いたのを見たことはない。ミミズを掘り出しても土は付いていなかったような気がする。
土の中にいても土が付かないのが普通なのではないかと思えるが、そうだとするとこのムシは何なのだということになる。
他愛のない疑問が又出来てしまった。


2016.05.10

あれこれ490

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ゾウムシ科サビヒョウタンゾウムシ、あるいはトビイロヒョウタンゾウムシのようだ。体長0.8センチメートル。
薄茶色の目だたない小さなゾウムシだが家の近くには良く現れる。小さいので見分けにくいが土にまみれていて、地中にいるのでもあるまいし不思議なことだと思っていた。
ネットで検索すると千葉で研究されていた。にんじん、ごぼう、落花生の大害虫だったのだ。そして、ねぎ、大根、ほうれん草、こまつなまで被害が拡大しているとのことだった。 ここ
研究内容は幼虫と成虫の土壌中の越冬状態で、おおざっぱに言うと、幼虫は30センチメートルぐらい、成虫は10センチメートルぐらいで越冬しているそうだ。ただ、ゴボウが残置していると80センチぐらいでも幼虫、成虫とも居たそうだ。
収穫した後30センチぐらいのところまで何らかの措置をすれば退治できるということらしい。


2016.05.05

あれこれ489

前に出した絵だが手直しをした。
多少絵らしく背景に色を入れたり地面の感じを出したりしている。
アリそのものにも色を足しているので賑やかな感じになった。


2016.04.30

あれこれ488

ラミネートフィルムで小箱を作り、ハエを入れてガラスの蓋をする。言葉にすると簡単だがここまでくるのに随分試行錯誤したものだ。

その小箱を実体顕微鏡で観察して撮影するわけだ。昆虫は天井、壁、床の区別無く自在に動き回りなかなか止まってくれないので往生するが、止まるときは何処ででも止まる。その時が撮影チャンスで壁に止まっているのを撮ると左の画像になるが周りが白だけではどう見ても床に止まっているとしか思えないだろう。

それはさておいて、観察を重ねてくるとハエの姿勢のとり方もいろいろあるのに気付いてくる。これは、中型のハエだが支持面に対して尻は下がっているもののほぼ水平に体を保持し、時に応じて低く構えたり高く構えたりする。

低く構えている時は、強い照明を突然浴びるなど観察を初めた時が多いみたいで、警戒モードのような気がする。そう思うからかも知れないが、なんとなく周りの様子をうかがっているようにも感じられるのだが本当はどうなのだろう。

ハエに聞くわけにもいかないし、暢気に想像するだけだ。


2016.04.25

あれこれ487

MWS本日の画像に、Cの小さい珪藻くらいな0.01mm程度の超微小珪藻を並べたプレパラートを作った話がでていた。 ここの4月23日の記事

MWSさんはごく小型の珪藻に関心があるのはいくつかの記事が過去にもあったので承知していて、最近実体顕微鏡下の拾い上げの画像が出たのはあまり驚きはしなかったが、今回のプレパラートとして完成し納品までされていたのには正気の沙汰でないような気分にもなった。本当に出来るのだろうかと疑いの気持ちを持っていたに違いない。それが実現したのだから驚くのも当然だ。

この程度のものは顕微鏡の目視では対物100倍でも華々しい絵面になってくれないので、積極的に見ようとしてこなかったが、webカメラを顕微鏡用に改造してパソコンのモニターで見るようになって俄然興味が湧いてきている。

@は0.01mm目盛りのマイクロメーターを対物レンズ40X,Na=0.95でモニターした画像で、0.03×0.025mmの範囲を見ることになる。
だから、0.01mmはともかく 0.02から0.03mm位の大きさの珪藻はAからEのようにモニター上に大きく映し出されるので、顕微鏡を肉眼で覗いているのとは大違いになって、0.1mmから0.2mmの大型のものを見ている感じになるのだが胞紋の見え方が全く違ってくる。大型のものは細かくなりすぎて見にくいが小型のものはEのように適度な大きさと間隔で実に見やすい。FはEのピクセル等倍の画像だが胞紋も点として解像している。
ただ、AからDになると胞紋を点として解像するのは至難の技になる。光学顕微鏡の限界に近づいているからだ。

MWS超微小珪藻プレパラートは、限界胞紋解像の力強い味方に違いない。


2016.04.20

あれこれ486

ハエもいろいろだが、今まで描いてきたものを合成した。
上から、クロバエ、ハモグリバエ、ヤドリバエ、キノコバエ、そしてキモグリバエだろうか。
体長1.2センチメートルから0.2センチメートルぐらいの大きさだ。
ハエにはカブトムシやクワガタのような超大型のものはいないようだが、それでもキモグリバエからすればクロバエは巨大な怪物だ。


2016.04.15

あれこれ485

前回のニッチアは本当に裏返しで、さらに傾いているのか確かめてみた。ピントの位置を慎重に下げてどう変化したかを見れば分かる。
水平ならば全面にピントが合うが、傾いていれば一部分しか合わないし、合う位置の動きを見れば上下も分かるわけだ。
左の画像を見れば傾いているようには見えないが、明らかにビントの合う範囲が変化しているので傾いているのは間違いない。



次は輪帯照明と偏斜照明の違いを見た。下側に並んでいる条線が輪帯は真っ直ぐで偏斜は右傾きと左傾きになると思ったのであるが、妙な結果になった。
紙と糸で手作りした部品をコンデンサに付けて輪帯照明と偏斜照明にしているので、その粗末さが原因かなとも思うが悩ましいところだ。




最後は右上からの青色LED偏斜照明で胞紋が見分けられるか試した。
威張れるほどの絵ではないが確かに点々になっている。

水平を保って整然と並べられているMWSのJシリーズやDL-TESTではこんな経験はできない。散らしプレパラートならではの楽しみなのだ。


2016.04.10

あれこれ484

ARK-01(干潟)のニッチアは胞紋が点にならなくて悔しい思いをしたのでwebカメラで再挑戦をした。
@は肉眼でかろうじて点状の胞紋に見えているニッチアで、撮影してもはっきり点状を確認できる。
問題はAのニッチアだ。位置を記録していなかったので、探すのに手間取ってしまった。18ミリ角の範囲なのだが、顕微鏡では広大なものになるので大変なのだ。
今回は緑のLEDで照明しているので多少は有利になっているだろう、緑からモノクロ変換をしているので白黒だがBが撮影できた。はっきりではないが赤点のように点が連なっているように見えなくもない。
この点の並びは@のものともほぼ重なるので同じ種類のようだ。どうもBは裏返しで、かつ傾いているようだ。わざわざ難しいのを選んで撮影していたのだと言える。へそ曲がりな人なのであった。


2016.04.05

あれこれ483

ヤフオフをよく見ているとオリンパスBH2の撮影用アタッチメントが時々出てくる。一年ほど前だが、U−PMTVCというのを入手した。ニコン1がびったりとのことであったが、正確な使い方も分からないままに落札したので乱暴なものであるし、カメラはAPS−CサイズのソニーNEX5なので視野が欠けて図のように緑丸内だけが写るという結果になった。
それで、撮像素子を変えるとどうなるか試したのが今日の画像だ。
フォーサーズも欠けるが、T型は実に旨く入っている。ヤフオフの説明は嘘ではなかった。


2016.03.30

あれこれ482

MWS珪藻プレパラートARK-01(干潟)はニッチアやギロシグマが沢山入っている濁りのない美しいものだが、これはその中のニッチアの一つをニコンアポクロマート40X,Na=0.95で撮影したものだ。
他のニッチアは胞紋がかろうじて点に解像できたが、これは条線になってしまった。胞紋なので本当は点にならなくてはいけない。
ピントの位置もこれで良いのか迷うところだが、元の姿がわからないので判断できない。一見シンプルなようだが複層の複雑な姿をしてるような気がする。

アポクロマートは三つ以上の波長の光について、色収差を補正したレンズだから色がついているのはおかしいのだが、撮影レンズがオリンパスで組合せが正しくないせいらしい。微妙なところで本来の性能が出ないわけだ。
LED照明に改造してあるので緑や青の単色に変えてモノクロ変換すればよいのだが、しかし、小生は絵を描くのでこの色合いも好きである。この色調で描いたものがいくつもあるのだ。


2016.03.25

あれこれ481

ハチの触覚を手入れをしているところだ。甲虫は口器でしていたが前脚を使っていた。

写真@からBの順に、脚を上からかぶせて下に動かすと同時に頭も持ち上げて手入れしている。脛節の根元には距という棘状のものがあるが、ハチやアリの前脚はブラシ状のものになっている。
このブラシを使っているのではないかと思うが、動きが速くて見極められなかった。漠然と見ているのは簡単で楽しいものだが、正確かつ詳細な観察はなかなかできないものである。


2016.03.20

あれこれ480

カミキリモドキ科のキバネカミキリモドキみたいだが、手持ちの図鑑と形も色もいまひとつ合わない。ネットで調べ直したが、ハムシダマシ科のナガハムシダマシみたいだ。色は変異が多いみたいでピッタリではないものの形は合っているし、附節の数が前、中脚が5節、後脚が4節なのでハムシダマシ科は間違いないだろう。体長1.3 1.1センチメートル。

甲虫の触覚掃除をしているところ第二弾で、今度は絵だ。
上から見ていて肝心なところは見えないので詳細は不明のままだが、クワハムシと違って前脚を触覚の下にあてがっていた。
同じ動きをすると思っていたので意外だった。個体差なのか種によって違うのか気になるところだ。


2016.03.15

あれこれ479

甲虫は、長い触覚の手入れは口器でするようだ。その証拠のクワハムシが手入れをしているところだ。
口器をくちゃくちゃして根元から先端まで順送りにして綺麗にしていく。
小あご髭と外葉を使っているようだったが、正確には見分けられなかった。残念。


2016.03.10

あれこれ478

甲虫の口器もなかなか複雑だ。クワハムシを水で柔らかくして口器の写真を撮ったが分かりませんね。
やはり、絵にしないといけない。しかし絵にするのは見慣れない形なので、偉い草臥れる。ここに載せないのなら放棄してしまいそうだった。
大あご、小あご、下唇と、描いてないが上唇の四つの部品からなっているみたいだ。小あごは枝分かれしているし、つついて一つ一つを確認しないとごちゃごちゃしているだけに見分けられないものだ。

大あごの形を見るとパワーショベルを彷彿させる。桑にぐさっと食いつき切り取りかいこむのだろうか。小あごには外葉の奥が幅広くなっていてくわえ込んだものを取り込みやすくなっている。
昆虫の祖先はあるひとつの節足動物らしいが、さまざまに形を変えてきて元が一つとは信じられないほどだ。


2016.03.05

あれこれ477

ラミネートフィルムで箱を作りガラスでフタをすると昆虫観察器だ。
このハエはそれで観察したもので箱の隅に水分があるので唇弁をガラスに押しつけて吸っているところだ。

ハエの口器が伸びきったところはいつ見ても素晴らしい。これだけの大きさのものが頭の中に良く格納できるものだと感心するのだ。

この状態で標本化できれば嬉しいのだがそうはいかない。
下は動けなくなって翌日のものだが複眼の色は失われている。この後どんどん縮んで来る可能性も高い。

「ままにならぬは人生よ」などということもあるが、「ままになってよハエの標本」だ。


2016.03.01

あれこれ476

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科ハムシ科クワハムシのようだ。体長0.6センチメートル。 藍色金属光沢の上翅が美しいムシだ。触角間に短い盃状の1角状突起があるのでクワハムシの雄に違いはないだろう。時期になると大抵捕まえることができる。真鶴では栄えてるわけだ。
頭部にも特徴があって、ドーベルマンのように口先が尖っている。ここの仕組みをキチンと描けなくてはいけないが、ごちゃごちゃになってしまった。簡単に描けそうで難しいのだ。


2016.02.25

あれこれ475

3月8日からは銀座で新作家春季展だ。
会場が小さいので、会員だけでF50縦までの大きさ制限がある。この絵はP50なのでオーケーだ。

今回の絵はシンプルな構成だ。頭をひねくり返して考え出したものではなく、単純に並んでいる珪藻の部分を描いてるだけだ。

神経を使ったのは、切り取る範囲と傾きである。

描く手を休めて離れて眺めていると不思議な絵だなぁと感ずる。自分の絵を不思議な感じがするなどというのはおかしいかも知れないが、淡々と描いていて意図して不思議さをだそうとしているのではないので意外な感じがするわけだ。

ミクロサイズまで体を小さくして珪藻の世界に入って絵を描くとしたらこの絵のようにはならない。ガラス質の透明なものだし、胞紋は綺麗な開口を開けている。想像をたくましくしてリアルなガラス細工にすると美しい絵になるだろう。
しかし、この絵はあくまで顕微鏡下のものだ。その証拠は、左の珪藻の胞紋は上端が黒丸でその他は白丸になっていることだ。これは、上端が膨らんでいる珪藻なのだろう。上端にピントを合わせると他はピンぼけになる。ピントのあったところの開口は暗色になり、ピンぼけの開口は明色になる顕微鏡像の特色なのだ。


2016.02.20

あれこれ474

甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)カミキリモドキ科キバネカミキリモドキというようだが、ネットの画像では前胸の凸凹が目だたないのばかりだったので違うかもしれない。体長0.8センチメートル。
2012年5月に捕まえたものを今頃になって描いたものだ。
ハエが続いたので甲虫にしたが、この頃捕まえていないので昔の標本を出してきたのだ。


2016.02.15

あれこれ473

昆虫の微細構造を見るには電子顕微鏡が一番だろう。個人でも500万円ぐらいで用意できるらしく、ネットでもそんな人のサイトがある。
小生はとても用意できないので金属顕微鏡で見ている。ピントの合う範囲が狭いので形を読み解くのがなかなか困難で間違う可能性も多々あるのだがあっているかどうかで悩むのも楽しみの一つではある。

今日の画像はキノコバエの頭部の頭楯と前口(?)の対物40Xでの深度合成写真でどこまでこの通りだかいまいち自信はない。

意味は分からないがハエは全身が微小毛で覆われている。それに長さと太さはいろいろだが剛毛がある。
上の頭楯は微小毛だけで剛毛はない。下の前口は大きさの違う剛毛があるが、小さいのは寝そべっているが大きいのはやや立っていたので、いじくっている内にとれてしまってソケットだけが残ったようだ。意外に簡単にとれるので元の儘で標本化するのは難しいものだ。

剛毛のとれたソケットにみえても鐘状の突起がついている鐘状感覚子というのがあるそうなので、それが混じっている可能性もある。剛毛も神経がつけば毛状感覚子になるし、ただの毛か感覚器官かは内部を調べて神経が付いているかを確認しなくてはいけないとか、どんどん複雑さが増していくのだ。


2016.02.10

あれこれ472

キノコバエの1種みたいだ。体長0.5センチ弱のかわいらしいものだ。
黒っぽい体に白の腹帯と脚の基節が白くて大きい。さらに前屈みの姿勢で特徴あるムシである。
玄関先に植えたカラーの葉をちょこまかと歩き回っているのを見ると、ああ来たなと思うようになった。
捕まえて実体顕微鏡で確認するとこいつに間違いがない。ということになる。
剛毛は目だたないが、微少な毛を全身に纏っている。肉眼は当然、実体顕微鏡でも分からないが、金属顕微鏡で対物40Xで見ると分かる。
外骨格に彫り込みを入れて寝かせるように透明な毛が一面にある。見事なものであるが、どんな意味があるのだろうか。


2016.02.05

あれこれ471

子供の頃は家の中にハエは普通にいるもので、ハエたたきなるものも常備品だったものだ。
ハの字をした翅のズングリしたクロっぽい目だつムシで、まとわりついてきてうるさいいやなムシだった。
このハエも美しいとは言えかねる不細工なものだが、0.5センチぐらいの小さなものだし、翅も2枚重ねてキチンと腹の上にある。ハナバエのようだが、そうであれば子供の頃忌み嫌ったハエとは違う生き方で不潔なものではない。

水の表面張力はすごいので飲み込んだ水を出すと、口先に水玉ができる。どんな意味があるのかわからんが、出たり引っ込んだりを見ているのは楽しいものだ。


2016.01.30

あれこれ470

毎度のことだが名前が分からん。
ヤドリバエのようでもあるが、脚が長いのでアシナガヤドリバエか。などとノー天気なものだ。
哺乳類は牛などの草食動物がいて、それを食べる肉食動物がいる。たくさんの草食動物がいてこその肉食動物だ。
昆虫もその点では哺乳類と同じだ。草食の昆虫がたくさんいて、それを捕食する昆虫がいるし、卵を産み付けたりする寄生昆虫もいる。
生命はどこかしら繋がっていると思うとおもしろいものだ。
このハエはヤドリバエならば寄生ハエで、ある昆虫を退治するためにいるとも言えるだろう。


2016.01.25

あれこれ469

MWS珪藻プレパレートDL-TESTのキンベラ(クチビルケイソウ)だ。
DL-TESTは精製された優良個体を精密に並べたプレパラートで、この珪藻はその中でも大型で見栄えがするものだ。細かく見ていくと中央部の胞紋とそれ以外はかなり違うし、両端もなにやら黒ずんで微細構造が予想できるし、検鏡の腕が上がると新しい世界に突入できる種類なのが分かる。
照明法は、自作部品をコンデンサにはめ込んだ輪帯照明だが、中心があわなくて影の出方が偏っているので、輪帯偏斜照明だなどと開き直って掲載するのだが、もちろん負け惜しみだ。


2016.01.20

あれこれ468

去年のこの日は和紙に狩り蜂を描いたものをだしているが今年もそれに倣おう。
水張りなしで描いて皺になって懲りたので、今回は水張りしている。スキャンしても綺麗に平面が出て気持ちがよいものだ。
ハチの名前はさっぱり分からずだが、尾に長い産卵管があるし、胸に接続している腹部が細長くて体を二つ折りできる体制を持っているので狩り蜂は間違いない。


2016.01.15

あれこれ467

MWSのKMR_TDP(沿岸 )は小さい珪藻がほとんどで、目視だと細かいところがいまいちなのでウェッブカメラでピントの位置をずらしながら沢山撮影してモニターでしっかり見ると言うことをした。

ピント位置の差で形が変わるが、それで元の形を想像するわけだ。

@はハリケイソウだと思うが大きめのヤツで半分しか写らないので全体をスケッチしたもの。
ABCは上から下へピント移動した画像だ。内側を上向きにしてU字溝を置いたようなものだと思う。

Aを見ると両端の立ち上がり部が片方は単純な板、片方は穴あき板の様に見える。
BではAの明確なスリットが消えてなにやら傾きのある様子がうかがえるしCは不透明物体なら見えないはずの表面にちがいないのでスリットの様子が内外で違うのが考えられる。
というので考えたのがDの断面図で凝った形であるが、練達の人が見たらにやっと笑って、おしいけど違うけどね。などと言われそうだが、小生の現在の画像解析力はこんなものだ。
ついでにもうひとつ想像すると、胞紋が見えないくらい小さいのと、頑丈な二重構造の殻からすると、泥質で浪の激しい海岸に翻弄されいてる珪藻の姿が浮かんで、なんか楽しくなってくる。


2016.01.10

あれこれ466

国立科学博物館に展示されているカンブリア紀〜オルドビス紀の節足動物の生痕化石である。

生物の上陸は、シルル紀半ばに初めて植物が上陸し、その後に昆虫が続いた。というふうに思っていたが、

国立科学博物館の解説では「有害な紫外線をさえぎるオゾン層が形成されるにつれ、生物は海中から陸上へ進出していった。この生態系の変化は、生物進化における大事件であった。オルドビス紀中期(4.6億年前)に植物が、その4000万年後のシルル紀後期には昆虫が上陸を果たした。しかし、5億年前の地層から、陸上進出した節足動物の足跡化石が発見されておりまだなぞは多い。」とあり、
「この足跡化石は、砂丘堆積物から発見され、左右の足跡の幅やそれらの間に見られる引きずり跡から、かなり大型で尾をもった節足動物(広翼類)のものと考えられている。植物の上陸以前に、菌類や藻類が水辺に広がり、それらをエサにした小動物と小動物を捕食する動物の生態系ができていたのかもしれない。」とあった。

意外と早くから上陸を目指していたようだ。というより、水辺で出たり入ったりをしていたのだろう。昆虫の祖先の節足動物は偉いものだ。ということになるのだろうか。もちろん、早々と上陸した昆虫も偉いが。


2016.01.05

あれこれ465

今年の年賀状に使ったもの。いつまでたってもオリジナルの山水は描けないのと勉強になるので、李成の「茂林遠岫図」の部分模写をした。

李成(917〜967)は唐が滅びて五代の戦乱時代を生きた人で、芥子園画伝では「字は咸煕(かんき)出身地の営丘(山東益都)に因み李営丘≠ニ呼ばれる。儒者の家柄の出身で、五代後周の枢密王朴に招かれて開封にのぼったが仕官を遂げず、淮陽(河南)の客舎で酔死した。遙かな山水の眺望に士大夫の高邁な理想を象徴した平遠山水≠フ画風を創始した。」とあった。

原画は遼寧省博物館にあり高さ45.4センチ幅141.8センチの横長の大きなもので絹本の悠然とした山水である。模写したのはほんの一部でしかない。

黄河の作った沖積地から見晴らした台地と、そこを流れ落ちる川共々画家の眼に見えたままに描かれたものだろう。日本の山河からは想像しにくいが千百年か弐百年前ぐらいの華北の偽りのない姿だと思う。


日本は藤原時代で、この時代の画家は巨勢派の金岡以後の相覧、公忠、公望、弘高らが活躍したそうであるが、名のみ残り実物は残らなかったのと較べると、李成の絵が残っているのは素晴らしい。大事にされていた証拠だ。


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